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見えすぎる??

受付嬢から声が掛かる。


「先生、予約の方ではないのですけど、ご相談がある方がいらっしゃいましたけど、受診していただいてよろしいですか?」


「いいですよ。」


買い物帰りに受診した80代の女性が診察室へ入ってくる。


問診票を読んだ医師が困惑している。


「えーと、見えすぎる?見えすぎて困る?ってことで良いのでしょうか?」


「そうなのよ!この前、白内障手術したの。目がよく見えるようになったのは良いのだけど、見えすぎて頭が痛くなるの。」とマダムは答える。


「見えるのは良い事だとは思うのですけど、かかりつけの眼科の先生にはご相談をなさったのでしょうか?」


「しましたよ。でも、『そうですかー。』で終わりなの。私はものすごく不自由を感じているの。見えすぎて、眩しくて、サングラスをしないと家の中でも辛いの」とマダムは続ける。


「それで、大きな病院の眼科を受診希望ってことで宜しいのでしょうか?」


「そうよ。だって、不自由なのよ。」


「そうですか・・・。」


他院で手術した場合、他の病院が受け入れてくれるかどうか、しかも、見えすぎるって・・・。どうしたものか、医師は考えこむ。


「ご希望の病院へ紹介状を書くことはできますが、そちらの病院が果たして診察をしてくださるかは、ちょっとわかりかねます。あなたの視力が悪くなったと言うことなら、紹介しやすいのですが、よく見えると言うのは、なかなか・・・。」


「でも、診てほしいのよ。手紙を書いて!」


「わかりました。紹介状を書くことはできます。ご希望の病院にあらかじめ紹介状を送付してみましょう。ただ、断られる可能性は高いと思いますし、紹介状を作成するので、お金をいただくことにはなりますが、良いですか?」


「はい。それでも構いません。」


多分ダメだろうなあと医師は思いつつ、紹介状を作成し、患者さんの希望病院へ情報を流してみた。結果、撃沈。


ですよねーと思いつつ、


「やはり他院で手術をし、視力が問題なく、眩しいだけでは受診は難しい。手術をしていただいた病院にご相談くださいとのお返事をいただきました。お力になれず、申し訳ないです。また、他の症状で他院に受診なさりたいときは来てくださいね。」


と不服そうなマダムに説明して、帰っていただいたのであった。


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