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ナーを抜けると同時に、内側へとラインを取った。ピットロード入り口に向かって減速していく中、彼はタコメーターを注視する。スピードリミッターを作動させ、慎重にピット作業の準備を整える。
「Pit speed」とメイが確認を入れる。
キースのピットボックスには、すでにクルーが待機していた。彼らの動きには無駄がない。
マシンが停止すると同時に、エアガンの音が響き渡る。4本のタイヤが素早く交換され、給油ノズルが差し込まれる。11秒という素早い作業。これはチーム・コリンズ・モータースポーツの、オフシーズンでの訓練の成果だった。
「Good stop! All clear!」
ピットクルーチーフの声を合図に、キースは再びマシンを加速させる。ピットレーンを駆け抜ける間、彼は前後の状況を確認する。数台が同時にピット作業を行っており、ピットアウト後のポジション争いが予想された。
新品のタイヤの感触を確かめながら、コースに合流する。温まっていないタイヤは慎重なハンドリングを要求する。第1コーナーに進入する際、キースは意図的にラインを外して、タイヤに負荷をかけていく。
「順位は15番手。前の#12と#38もピット済みです」
メイの声が状況を正確に伝える。
「タイヤ温度が上がるまで、もう少し我慢して」
キースは了承の意を示す。デイトナでは、一時的な順位の変動に一喜一憂する必要はない。むしろ、レース後半に向けてマシンとタイヤを温存することが重要だった。
第2コーナーを抜けると、後方からダリルの#48マシンが迫ってきているのが見えた。チームメイトも無事にピット作業を終え、キースと同じような戦略で走行を続けている。
「Front pack forming up ahead」
メイの声が緊張を帯びる。前方では、ピット作業を終えたマシンたちが徐々に集団を形成し始めていた。このタイミングでの集団形成は、レースの流れを大きく変える可能性がある。
キースは深く息を吐き出す。デイトナ500は、まだ序盤に過ぎなかった。これから先の長い戦いの中で、彼は何度も重要な判断を迫られることになる。新品タイヤの感触を確かめながら、彼は静かに心の準備を整えていた。トライオーバルの向こうには、まだあの鮮やかな青空が広がっていた。




