大臣の考え
バッハの部屋に颯がやってきた。
颯
「失礼します。旭の件で話があります。」
バッハは颯がくると予知していた。
颯
「どうして潜入捜査なんて旭にやらせるのですか。今の魔法界にとって旭は必要な存在なのはバッハ大臣もわかっていると思っていましたが。そんな捜査をしなくても今はまい様もいます。晃一様も育ってきています。何に怯えているのですか?」
バッハ
「トワイズ達は弱みを見せるとその隙を狙ってくる。最近颯やとみはまい様晃一様につきっきりだ。私も仕事で忙しい。そんな時、ふと娘のあやほが心配になったんだよ。あやほのフォローを旭に頼もうとしたんだ。でもどうも信用できなかった。そこで思いついたのだ。いっそ向こうのスパイとして活動してくれたらこちらが有利になる。でも旭がいつ裏切ってもこちらの情報は漏らさないように万全の体制を整えながらね。旭は怒っていただろう。トワイズの集会に行かせ、危険なことばかりさせたからね。そしてその様子をとみに監視させた。」
颯
「母さんまで・・・・。旭は裏切ったりしない!!なぜそんな事を・・こらから魔法学校を終えた後、旭をどうしていくつもりなのですか?」
バッハ
「定めだね。旭はいくら魔力が強くてもこれから役員に選ぶつもりはないし魔法界を背負っていく立場にはさせない。いくら君が次期大臣になったとしても!」
颯
「旭は・・・チャンスすらもらえないのですか?」
弱弱しい声で聞いた。するとバッハは深く頷いた。
颯
「そんなのおかしい!!」
次は大きな声で叫び、バッハの部屋を出て行った。
バッハは颯もまだまだ子供なんだと呆れた顔をしていた。とみは颯の怒りを感じていた。でも今はそっとしておこう。そう思っていた。
颯の部屋にあやほが来た。
「どうかしたの?大丈夫?」
颯
「なんでもない。今は少し1人になりたいんだ。」
あやほは冷たい颯の目を見て心配した。でもあやほにできることはない。そしてそのまま颯の部屋を出た。
すると入れ替わるように部屋の前にまいがやってきた。あやほはまいにお辞儀をして去っていった。
まいも颯の部屋をノックした。
颯
「ま、ま、まい様??ごめんなさい。今・・・」
まい
「いいの。旭のこと・・・。聞いた。」
と言ってドアを開けた。そこにはいつものクールで爽やかな颯と違い、今にも泣き出しそうな表情をしている颯がいた。そしてまいは隣に座り、思わず寄り添った。
「戦いを終わらせればいいんでしょ?旭だってそれを望んでるよ。一緒に戦ってくれる?」まいは颯に言った。
颯は深く頷きまいの肩によりかかった。安心した。まいなら全てを叶えてくれる・・そう感じた。
そして颯はふと気づいた。ドアの向こうにあやほの気配を感じだ。あやほにひどい態度をしてしまった。なのに今まいに寄りかかって・・・罪悪感に襲われた。でも今はあやほの存在を気づかないフリをした。
まいはよりかかってくる颯に心がドキドキした。
そしてドアの向こうにあやほがいることを感じ取った。その途端まいは立ち上がり、部屋を出て行こうとした。「また戦闘訓練よろしくね」まいは慌てて颯から離れた。
「大人達は信じてなくても私たちは旭の味方でいようね。」そう言い残し部屋を出た。
すると慌ててあやほもまいと鉢合わせないようにテレポートしていった。
まいは部屋に帰ってからもドキドキが治らなかった。弱っている颯を見たのは初めてだった。そして肩によりかかったことも・・・・頭の中であの一瞬一瞬が消えなかった。そしてあやほに罪悪感を感じた。