まいの結末
麻衣は33才になった。会社で出会った春樹という男性と結婚し、今は1歳の子供の子育てに奮闘する日々を過ごしていた。
麻衣の好きな時間は子供がお昼寝をしている時間。テレビなどはつけず、ただひたすら無音の中でコーヒーを飲む時間が至福の時である。子供が泣き出すと一気に落胆して、泣き止ませるのが日課だ。
しとしと雨の音がする木曜日の昼下がり、麻衣はかわいい我が子の寝顔を見てほっと一息ついた。いつものようにコーヒーを飲み、雨が降る外を窓のカーテン越しに眺めていた。そして麻衣は昔を思い出していた。そしてふと思春期の頃を思い出した。
中学生の頃の私は他者から認められたい、自分の承認欲求との戦いで必死だった。高校生になってようやく自分を認めてくれる存在に出会って、自分も周りを認められるようになったし自信ももらった。
そしてあの頃いつも心にあった"まい"を思い出してクスッと笑った。
そしてふと思った。"まい"って最後、どんな結末を迎えたのだろうか・・・。疑問に感じた。自然といなくなっていったまいに寂しさを感じたのだ。
1人の時間を堪能できる今・・・まいの物語を終わらせてあげたくなった。
物語の最後というのは必ずハッピーエンドが良い。
きっとまいはあの戦いを無事周りの仲間と一緒になって、勝って終わらせたんだろう。でも大人になると残酷な悪役の死もいやだった。最後、悪役も改心する話を子供に読んであげたくなるものだ。
だからきっとトワは友達のいづみを殺した事を後悔しながら何十年もの間、封印され続けていた。そうすることにした。
そしてトワの許しを出したのは旭ととみだ。旭は皆に信頼され、役員の1人となり魔法界を守った。そしてリカと結婚し、子宝にもたくさん恵まれたであろう。
颯は戦いを終えて、あやほの所に帰った。あやほは泣いて喜んだことだろう。颯はまいという親友でもあり戦友と、一旦別れをし、またの再会を約束しただろう。そしてあやほと結婚し、今では大臣となり魔法界を守っていく存在になった。
晃一ももちろん次期大臣候補に成長し、立派で偉大な魔法使いになった。
主人公まいは戦いを終えて、一般界に拠点をうつした。まいは一般界でもたくさんの友人、恋人と出会い、一般人として幸せに暮らした。(でも時々魔法界にも呼ばれちゃって大仕事を任されたりもするんだけどね)これは麻衣のまだまだ満ち溢れる承認欲求の一つだった(笑
思春期の承認欲求との戦いの敵は自分自身なんだと気づいたのは大人になってからだ。あの頃の麻衣は誰かを敵にして戦っていないと自分が壊れそうだったのかもしれない。"私は悪くない"そうやって自分に暗示をかけていたのか、自分という基準からはみ出るものを悪と見立てていたのか、愚かで浅はかでもあるが思春期である麻衣はよく頑張っていたなと自分を褒めてやった。
そして小学生の頃、麻衣の母は忙しくあまりかまってもらえていないと感じていた。でも母になってわかる。母は想像以上に忙しいのだ。当たり前のように並んでいたあのご馳走ばかりの夕食は、母の物凄い努力の結晶だったのだ。そして母は思春期の私を信頼していつでも見守ってくれていた。そんな偉大な事、自分にできるのか・・・我が子が傷ついている時、何もしてやれない事がどんなに苦しいのか想像するだけで胸が締め付けられた。
私の母は偉大だった。
大人になった麻衣の人生は友達、恋人、上司など様々な立場の人と出会いながら自己肯定する力を身につけていった。
あのつまらなく、平凡だった麻衣は本当はとても恵まれた環境にいて、それがどんなに特別かをもう理解していた。そして今・・・また特別な存在が麻衣のお腹に宿っていた。
おわり。




