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特別な存在 MAI   作者: Macou
麻衣
13/20

中学2年事件

中学校の帰り道、家が近所で小学生の頃から仲良くしていた愛菜とはクラスは違うが待ち合わせをして一緒に帰るのが日課だった。


愛菜には兄がいた。学年は一つ上の中学3年生。容姿は爽やかで成績も良い。学校でマドンナと呼ばれるような存在の彼女もいる。愛菜はその兄がいることが自慢だった。


家が近所の麻衣は愛菜の兄とその彼女が学校帰りに家の前で話しこんでいる姿をよく見た。麻衣は異性と付き合うってこういう事なんだ・・・と気になって仕方なかった。


愛菜はある日の帰り道麻衣に秘密の相談をした。

「お兄ちゃんね。高校どこに行くか悩んどるんだって。彼女さんと同じところに行きたいけど少し成績の内申点が足りないんだって。それで毎日喧嘩しとるの。親も"恋愛は進路に関係ない!"て毎日怒っちゃってて・・・もう帰るのが嫌になる〜〜〜」


麻衣はびっくりした。そして心の中で

(あのクールで爽やかでかっこいい愛菜のお兄ちゃんは彼女を追いかけたくて必死なんだ・・・追いかけられている彼女は勉強頑張ってよ〜とか言って応援してるのかな・・恋愛ってス テ キ・・・・・☆☆)

麻衣の容姿は不細工でも可愛くもない。成績も中の下。そんな自分にはまるで縁がない世界が近くにあって漫画のように感じた。そして愛菜が悩んでいる気持ちなど汲み取ることは兄弟のいない麻衣は全くできなかった。


麻衣は愛菜にへぇ〜〜〜なんて適当な返事をして夢物語を想像していた。


そして次の日、いつも通り愛菜と登校し別々のクラスに別れた。麻衣のクラスの女子は、明るくいつもクラスの中心にいる一軍グループ、一軍グループを巨大化させたい時にくっつく二軍グループ、その他のグループが5組くらいあった。女子の世界は厳しい。一軍二軍グループに嫌われるとクラスに馴染めなくなる。


クラスでは美羽とその他5人ほどで出来た一軍二軍グループが麻衣を待っていた。

美羽はクラスでも中心人物。明るくおてんば。学校には持ち込み禁止の香水を隠れて持ってきたり、目立つ事が大好き。周りには友達がたくさんいる。

中学2年の最近の話題は恋愛話ばかりだ。狭い田舎中学の世界の中でモテる男子は5人ほど。成績や運動神経が良いクール男子か、ちょっと悪ぶって見た目ばかり気にしているヤンキー男子か。麻衣はどんな男子でも全て意識してしまいまともに話すこともできなかった。


そんな中みんなは美羽の好きな男子の話題でもちきりだ。みんなでキャーキャー言いながら美羽のゴマをする。「絶対内緒だよ!絶対だからね!」これが美羽の口癖だ。

麻衣は身支度をすませ美羽達の会話に自然と溶け込み、周りと同じようにテンションを合わせていった。


そして美羽は周りに話題を振り始めた。

「最近どうなのー?香織わー?」など1人ずつ自分の恋愛状況の報告をしなければならない。

1人ずつ好きな人を言い合い、また「秘密だよー!」と大盛り上がりだ。そんな中本当は思いつく話もない麻衣はいつも無理無理 話したこともない男子の名前をあげる。でもそれもそろそろ限界・・・。麻衣は話す話題が全く無かった。

そんな時、美羽が言った。

「Aクラスの愛菜のお兄ちゃんてかっこよくない??」みんな頷いた。「でも彼女おるよーー3年B組の先輩じゃなかった?」


麻衣の得意な話題だった。

麻衣は昨日聞いた彼女を追いかけている愛菜のお兄ちゃんの話をした。するとその話にみんなは興味津々。麻衣の話なんていつもは流されてばかりだったのに、愛菜の兄の話になるとみんな食い入るように聞いてくれた。麻衣は自分に注目が集まるのが気持ちが良かった。

「えーーーーー先輩素敵ーーーーそんな風に追いかけられたいーーーー!!!」みんな美男美女の先輩の恋愛に憧れていた。



その話はすぐに広まった。


そしてその日の帰り、いつものように愛菜と待ち合わせをしていると、顔を真っ赤にしてガツガツ愛菜が近づいてきた。

「麻衣最低やないの!!!秘密って言ったよね?お兄ちゃん頑張ってるのに可哀想じゃない!!!!」

愛菜は怒りながらそのまま帰って行った。麻衣はパニックを起こした。

「私・・・・やってしまった・・・・」

次の日急いで周りの友達に「昨日の話秘密にして〜〜〜」と伝えようと学校に走った。でも麻衣は学校についた瞬間から違和感を感じだ。周りの子は麻衣が近づくと さーーーっと離れていく。まいはクラスに走った。

「美羽ーー!!昨日のことなんだけど・・・」

息切れしながら美羽に近づいた。

美羽

「麻衣。あんた最低やね。Aクラスの愛菜ちゃん泣いてたらしいよ。進路の事って3年生はとっても繊細な事やのに・・・みんなに広めて」

麻衣は何も言えなかった。

そしてクラスの女子は誰1人麻衣に近づいてくることはなかった。逃げたかった。消えたかった。

自分が悪いのにどこか周りのせいにしていた。

(みんなだってあんなにキャーキャー喜んで聞いてたじゃない。何よ!みんな急に知らん顔して)


でもまずは愛菜に謝りたかった。そして放課後、愛菜のいるAクラスへ走った。そして愛菜を呼んだ。

愛菜はクラスの女子8人ほどのグループで楽しく会話をしていた。麻衣が呼びかけるとAクラスの女子達はみんなで麻衣をギロリと睨んだ。そしてリーダー格の女の子が言った。

「愛菜はあんたと話したくないってよ。よくAクラスに来られたわね」

麻衣

「あぁ・・・。そうか・・・。」麻衣は謝る事さえ許されなかった。そして学校から逃げるように帰った。

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