私はまい
枯れ果てた砂漠のような場所
かすかに聞こえるお母さんの声
「あなたを待ってる人がいる。探しなさい。三階建ての、、、、、、」
どんどん弱る母の声。それが母の最後の言葉だった
父と母と私と弟。幸せな家庭。その思い出はどれも断片的で、思い出せることは少ない。
私には家族がいない。もう今は、、、、。
中学生の私は重度の記憶障害から入院後、児童養護施設に送られた。その後、学校に通い、自分の名前はまい。
中学2年のクラスに入れられ、記憶障害があることから少し浮いた存在ではあるが日常を取り戻しつつある。
周りに馴染もうと笑顔を作ったり、外見に気を配り、
周りからは少し変わり者ではあるけれどごく普通の中学2年生の女の子 と見られている。
そんな中、転校生がやってきた
名前は リカ。
顔はきりっと目つきがきつい気の強そうな女の子だ。
転校したその日からリカはやたらとまいに話しかけてくる。
まいは初めて自分に興味を示し話しかけてくる同級生が嬉しく、転校初日からリカが気になって仕方ない
「リカ ちゃん かぁ、、、友達になれるかな」
少し嬉しい気持ちなった。
学校が終わり、児童養護施設に帰ると
「ここはどこなんだろう...なんで私はここにいるのだろう...」
毎日悩みながらの生活に戻った。
すると思い出される母の最後の言葉
「私はここにいてはいけない!!」
少ない荷物をリュックに詰めて児童養護施設を飛び出した。
まだ夕方、空は綺麗な夕日に染められたオレンジ色。
遠くには山も見える。
思い切って児童養護施設を飛び出したせいか、なぜかすっきりしていて気分がいい。
「私は何かを探さなければ...」
「お母さん・・・もう少しヒントが欲しかったな」
なんて思いながら
遠くに見える山に向かってきままに歩き出した
「なんだろう、、、なぜか私はこっちに行こう!」 そんな本能のままに歩いた。
田舎街には二階建ての同じような家が並ぶ住宅街
高いビルやマンションはひとつもない。
そんな中、一つだけポツリと他の建物とは違う造りをした3皆建ての家を見つけた。
どうも気になる家・・・
「少し寄ってみよ。」
と勇気を振り絞りチャイムを鳴らす
すると女の子の声が
「はーい。・・・・・ん?????? 強すぎるぅ、、、」
すると重たいチョコレートのような玄関ドアが
自動でガチャとあいた
勇気を出して弱々しい声で
「おじゃまします。」
とまいは重いドアを開けた。
そこは暗い玄関がありその先には暗い廊下があった。
すると階段を ドカドカドカドカ、、、と大きな音をたてて、誰かが急いで降りてきた。
「あなたなのね!!!!!」
と勢いよく現れたのは
リカ!!!!!!
「リカ ちゃ ん !?」
思わずカタコトで出たまいの言葉
リカはニヤリと笑った。
やっぱり♪ 何かを確信した顔だった。
「あなただったのね!私は番人のリカ!よろしくね!」
・・・・・????
まいは頭が混乱していた。
暗い玄関に一つだけ電気をリカがつけてくれた。
「私がここに来た時と同じ顔してるね」リカはニコッと笑った。
「まずは説明させて!私は魔法界と一般界を結ぶ番人なの!結構能力は高いは方よ♪でね!ここはその入り口ってわけ!!」
まいの表情はもちろん
・・・・?
「あなたはまいよね?あなたは魔法の力を持ってるでしょ!しかも強大な!!だからすぐここのドアを開けたってわけ!!!
2階にいけばリビングがあるの!一緒に紅茶でも飲んで一息つかない?みんなあなたを探してるのよ!」
「まってまって何もわかってない!私魔法なんて使ったこともないし存在するって信じてもない!」
「だから一息つこうって言ってるじゃない!!」
リカは強い口調で言った
そしてまたヅカヅカと階段を登って行った
まいは混乱しながらもリカについていった
2階に上がると1階とはうってかわって
明るく開放的なリビングが広がっていた
そしてソファに腰掛けると
リカはキッチンからガサゴソ何かを用意してくれる音がした
まいは周りをキョロキョロと見まわした
誰かここに住んでるのかな、、、と思うほど一般的な家庭のおうちのリビング。
魔法界と一般界の番人がいるような家じゃない
でもなぜだろう
この家に吸い込まれるようにチャイムを押したのは、、、自分の行動も不思議に感じ少し身震いがした。
リカは温かい紅茶をいれてくれた。一口飲むとまいはほっとした。
そして混乱していた心がなぜだか落ち着いてきた
それを見たリカがこう言った
「まずは上の人達に報告しなきゃ!」
そして少し待っていると
涙目のおばさんがまいに勢いよくかけよってきて抱きついた
「な、、、、なんてこと、、、、生きてた、、、、やっぱりあなたはここにいた、、、」
おばさんは急にまいに抱きつき、嬉し泣きをしているようだ。
まいは抱きしめられた温かさで身体がポッと、ほてる感覚だった。
いつぶりだろう、、、抱きしめられたのは。
なぜだかまいも何もわからないのに泣けてきた。
そして
「おかえりなさい〜〜〜〜泣」
と泣くおばさんを前に
まいは
「た だ い ま ?」と言葉が自然とでた
そしてリカはおばさんの分まで紅茶をだした。
「ありがとうリカ、、、なかなか泣き止めなくてごめんなさいね。 嬉しいの。 まい様が生きていて こうして私の前に現れてもらえて !
お腹は空いてない?今クッキーを出すわね」
とおばさんが手を回すと机の上においしそうなクッキーが並んだ
リカは嬉しそうに1番に手を伸ばした
まいは魔法を初めて見て、また困惑した
「え、、、いま、、、」
まいが1人驚いていると
リカが
「そうよね♪私も初めて見た魔法がこのクッキー!まいと同じ!私も一般界からきたの!今では番人よ!すごいでしょ!私も親なし♪」
[おばさん]
「リカ!!!!もう少し口の利き方は丁寧にしてちょうだい!!まい様 ごめんなさいね! 今大臣もきますから!」
まいは訳もわかっていないが
美味しそうなクッキーに手を伸ばした
[まい]
「ほっとする味、、、、 ありがとう」
また泣きだしたおばさん。
するといきなり黒い帽子をかぶったいかにも偉い人!!!というおじさんが目の前に急に現れた
「これはたまげた、、、」
まいをみるなり 黒い帽子のおじさんは驚いた表情でたっていた。
まいもまた、いきなり目の前に現れたおじさんに驚いていた
おじさんは
隣でつかえている家来のような人に言った
「すぐに知らせろ!役員を皆集めろ!」
そういうと家来のような人はすぐに消えいなくなった
[おばさん]
「大臣!脅かさないで!今まい様の頭の中は混乱しているわ!少し休ませてあげて」
[黒い帽子をかぶった大臣]
「もちろんだとも!とみ!お前が全てのフォローを頼む」
[おばさん とみ]
「もちろんそのつもりよ!まい様のお母様も私がフォローだったんだから!」
[まい]
「フォローって??」
[とみ]
「お世話係みたいなものよ!魔法力が高い人には皆フォローがつくの!そうねぇ。ひつじのような役割かしら?」
[大臣]
「私はバッハだ。詳しいことは全てとみから聞いてください。 私は忙しいのでこれで失礼させてもらいます。
リカ!!!!よくやったぞ。」
そういって大臣はさっと目の前からいなくなった。
どうやら魔法は本当にあるらしい
そして皆の反応を見ると私もどうやら使えるみたい!!!!少しまいはこれから始まる新しい毎日に心踊らされた。