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七十三話 龍の国入国

 ヘルクレナの門番、ヒルズにイヤだと思わぬ入国拒否を受けた後なにやら解決策を匂わせてきた暗鬼。


 正直、あんまり良い予感はしないな。


「なんや、疑っとるな?まぁ、任しとき。こういう時の対処法はよう知っとる、踏んできた経験の数が違うんや」


 儂の疑心の視線に気づかれていた、なんか自信満々にヒルズの方に近づいていく。


 .....ん、待て。言い方をそれらしくしてるが、てことはつまりこれまで何回も拒否されたってことか?だとしたら運が悪いにも程があるだろ、いやむしろお前が嫌われてるんじゃないだろうな。


「あ、暗鬼。戻ってきたの?」


「エルズちゃん、入れてくれへんか?」


「無理無理、お帰りくださーい」


 一人で近づいていった暗鬼は分かりきっているようなことを確認している、それに冷たく返すエルズ。心なしか、いや思いっきり儂の時とは態度が違う。


 やっぱりお前が嫌われてるんだろ、コイツは帰らせるべきだったかもしれん。大丈夫なんだろうな、明日も入れないなんて事態にならんと良いが。


「ほな、しゃーないな。ふぅ、誰かぁぁぁぁ!!出てきてくれぇ!」


 儂が不安ながらも消えかけている期待で一様見守っていたその時、暗鬼が突然深呼吸したかと思えばでかい声で叫んだ。


 な、なんだ⁉︎いきなり叫びやがった、誰か呼んでんのか?


「なんダなんダ、何かあったのカ?」


 暗鬼の声で誰かが出てきた、なんかめっちゃ青い奴が。といったのもその人物、女は青髪ショートに青い甲冑、青いツノと尻尾、と全て青で統一されているのだ。背中には剣を二本背負っている。後何故か腹の辺りと足の太もも辺りが無防備にもさらされている、いや過ぎていると言っても良い。エルズがしっかりした甲冑を着込んでいるため余計に目につく。


 なんだあのデザインは、意味あるのか?まぁ、龍族は頑丈だから良いのか。だとすると、あえて着てるのか?そう考えるとエルズもだな、オシャレってやつなのか?


「エフトちゃんが出てきたか、呼んだ理由はわかっとるやろ?」


「あぁ、またカ。エルズ、くだらない事してるんじゃないゾ」


 出てきた女に暗鬼が手慣れた様子で話しかける、なんか相手側も慣れているのかすぐに事態を理解。エルズに対して注意を始めた。


 ん?いやいやランダム一組を入国拒否は龍族共通じゃないのか、なんで普通に咎めてるんだ。しかも今、確かにくだらないって聞こえたぞ。


「あーあぁ、ま、こうなるか。良いよ、入っちゃって」


 エフトとかいう奴の言葉でコロッと発言を変えるエルズ、そこに一切の躊躇や恥といった感情を感じる間らしき間はなかった。


「お義父さん、入れるらしいで。.....な、言うたやろ?」


「は?.....はぁぁぁ?」


 目の前で繰り広げられた理不尽に一回は飲み込んだが、結局声が出た。


 ーーーまぁ、儂の納得いかない叫びは置いておいて。やっと龍の国『ヘルクレナ』に入ることができた、話し合いしかしていないのにドッと疲れた気がするのは気のせいではない。


「やっと入れたか、なんで入国だけでこんなに疲れにゃならんのだ」


 入れたは良いが素直には喜べない自分がいる、ヘルクレナの中を進む馬車の中で儂はそんなことを呟いてしまう。


 まぁ、いつまでも引きずるわけにはいくまい。街並みでも眺めるか、改めて見ると崖ばっかだな。峡谷にある岩山に建てられた要塞みたいな国だからな。うわぁ、今あっち崩れたぞ!


「なぁなぁ、君名前は?私とは初めましてやな?それ美味しいんか?」


「..........はむ、んむんむ」


 なぁんか聞こえてきた。見ると、いやわざわざ目を向ける必要はなかった。目の前で暗鬼がしつこくミロに話しかけていた、がミロはこれを全て無視し黙々とマシュマロを食べている。


 無理無理、そいつを口説くのは。何せ菓子以外に興味がないからな、っていうかなんでしれっと混ざってやがる。この馬車に五人は狭いんだよ!


「って、全く手を止めてくれへん!この子手強いで」


「どうでも良いことだが、聞いても良いか?入国の時のあの龍族二人のやり取りはなんだったんだ」


 結局聞いてしまった、景色を眺めて追い出そうとしたが頭から出てってくれなかった。


「なんや、興が削がれてもうたわ。しかもどうでもいいとか言って、おもっくそ気になっとんの丸わかりでダサいで?」


 儂の問いに絶対に必要がないであろう挑発を加えて返してきた、儂も今の言動には指摘せざるを得ないような矛盾があったと反省しよう。だがそこを汲んだとしても、


 コイツ、腹立つなぁ!


「.....まぁ、答えたろ。お義父さんが今聞いたんは私もおもろいと思っとる龍族の習性や、あの子らはなんと客観視するとびっくりするくらい無情に切り捨てんねん。気持ちは理解してるし、いざ自分がその立場になったら譲らへんくせに第三者になった途端に裏切るんや!」


 これまで以上に楽しそうに熱弁を始めた暗鬼、その熱とは裏腹に内容はどれだけ滑稽かといったものである。興が削がれたとか言ってた口はどこへ行ったのか。


「自分のプライドがしょーもない言うとるようなもんやで、自分自身もそうだからってことを加味してもくだらないが勝つかなぁ?な、おもろいやろ?」


 そんな、共感を求められても.....

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