表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/75

六十六話 ジンカイのキメラ

 んなバカな、あれだけ近づいた上に剣を介してではあるが実際に触れた。なのに、


「核らしきものを一切感じなかった、だが無いなんてことがあり得るのか?」


「.....?一体何を呟いていらっしゃるんですか、攻撃されないのであれば僕がいきますよ!」


 混乱し、身体が止まってしまっていた。しかもどうやら声まで出していたらしい、想定外の事態とはいえ戦闘中にこうなるのは絶対にあってはならないことだ。目の前にはちょうど拳を振らんとするキメラの姿が。


 .....ハッ⁉︎儂は思っていた以上に予想外に対して弱いらしい。ジンカイに話しかけられるまで意識が帰って来んとは。しかし全く、わざわざ言う必要はないというのに。


「お前は戦闘に全く慣れていないな、この状況で敵を気遣う度胸はすごいと思うぞ。だがな、心配せんでもそんじょそこらの奴に一発入れられたからって狼狽えるほど、ヤワな身体はしとらんわ!」


 ジンカイのキメラから放たれた拳を儂は剣で弾く。思いっきり弾いてやったため、キメラは大きく体勢を崩す。


「ーーーしまっ⁉︎」


「おっと、儂はこの機を逃す気はないぞ!」


 ジンカイが何か喋ろうとしていたが、儂は気にせずキメラの腕に剣を振るう。キメラは体勢を立て直そうとしていたが、間に合わなかった。今度はモロに入り、切断された腕が床に落ちる。


 まぁ、これは避けれんわな。あのキメラみたいに不自然な避け方ができれば話は違ったろうが、このキメラは違うようだからな。


「さて、まずは腕一本だな。次はもう一本も.....ん?」


 儂がやってやったと話していると、途中で言葉が途切れる。目の前のキメラがその場でゆっくりと腰を落としたかと思えば落ちた腕を掴み、切断部に押し当てくっつけたためだ。


 こいつ、再生能力があるのか?.....いや待て、それよりもなんで上手いこと落ちた腕を拾えた?この肉塊同然の化け物に今の繊細な動きができるはずはない、こんな複雑な身体を核がここまでうまく動かせるなんざまるで.....


「少し取り乱してしまいましたが、腕を切られた程度なら問題はありません」


「.....ちょっと試してみるか」


「今何かおっしゃいましたか?」


 ちょうど今、頭をよぎった可能性。キメラの微妙にではあるが違和感を感じる動き、そして若干耳に残るジンカイの発言の違和感。儂の小さい呟きに反応したジンカイは置いておいて、儂はキメラでジンカイを視界から隠す。


 信じ難いがやってみるだけなら問題ないだろ、やるだけの価値もある。儂の頭によぎった勘が正しいなら!


「一体何をしていらっしゃるんでーーーえっ⁉︎」


 また口を開いたジンカイだったが、その後に魔の抜けた声が聞こえてきた。


 まぁ、それもそうだ。キメラの背中から突然剣先が生えたんだからな。なるほどな、これで分かったぞ。


「このキメラ、お前が操作してるな?」


「.....はい?な、何を言っているんですか?できる可能性がないとは言いませんが、僕の研究ではまだそこまで到達はできてーーー」


「ほう?今の儂は結構ゆっくり刺したんだがな」


 儂の言葉に一瞬取り乱すジンカイ、軌道修正したようだが無駄だ。儂はさっきジンカイから隠れた後、これまでの剣より遅めに突きをキメラの中心あたりにくらわせた。


 今までキメラが自身で動いていたなら同じように対処できたはずだ、だが避けなかった。それどころか儂に対してなんの動きも見せなかった、奴はほぼ確実にキメラの動きを操っている。


「儂もそんなことができるなんざ見たことも聞いたこともないが、結果がこれじゃあ。後もう一つ当ててやろう、今お前が手に持ってるソレで操ってんだろ?」


「.....ご明察です、僕がこちらのコントローラでキメラを動かしています」


 儂の次の言葉にジンカイは観念したように右手に持つコントローラと呼ぶ何かを見せてくる、それには最初にも見た複数の突起と光る石のようなものがはめ込まれていた。


 あ〜、そりゃないわけだ。そこにあったのか、核。キメラを倒してって考えてたが、こりゃあ戦い方を変えんとな。


「おそらく魔族が成し得なかったことを人間がやってくるとはな」


「ええ、僕も最初は出来ないと思っていましたが、核はある程度なら距離を置いても機能することを見つけました。そして幸運なことにお金の当てまでできてしまったもので。尤もこんな非人道的なこと、誇れるものでもありませんが」


 ジンカイはなんとも寂しげな表情を浮かべる、そういえば戦闘中ジンカイは一貫して辛そうな顔をしていた。


 自分の研究の成果を披露できてるのに嬉しそうじゃない、こういうことは本意じゃないらしいな。まぁ、それはどうでもいい。問題はキメラをいなしてジンカイ本人を叩かんといかんこと、さてどうするか。


「ですが、気づかれてしまいましたか。ではもう隠す必要はなさそうです、本腰を入れさせていただきましょう」


 儂が思考している間、続けて口を開いたジンカイ。そう言いながら懐からもう一つのコントローラを取り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ