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六十五話 キメラ研究所での最後の戦い

 明らかに敵を待ち受ける奴がするべきではない状態で儂を待っていたかと思えば、今度はその状態を共有しあろうことか謝罪を始めやがった。魔族にだ、滑稽すぎる。


 それに、コイツは多分儂が黙っている限り謝り続けるだろう。キャウのことに関しては儂が勝手に許す許さないを決められる話じゃない。


「さ、君も立ってください」


 今、ジンカイのやつは一緒に座っていたキメラに対し優しく声をかけている。


 最初の方から怪しかった、そもそも人間が魔族を殺すことはただの貢献でしかない。魔族に対して罪悪感を覚えること自体がおかしいし、なんならその死体を有効活用しているのだから人間は讃えるだろう。人間はそんなものだ。


「お前はやっぱり異質だな」


「僕が、ですか?そんなことはありませんよ、こんなことをしてはいますがあなたの見てきた人間と何も変わりません」


 儂の口からつい出た一つの呟き、案外大きかったらしくジンカイに聞こえてしまったらしい。


 んなわけあるか、儂は魔族にも敬語は使う奴はいても謝罪をする奴なんざお前が初めてだよ!まぁ、だがはっきりした。コイツは本来人間が持っているはずの魔族への価値観が備わってない、まるで人間以外に対等レベルの知性体と接してこなかったかのような。コイツ、まさかーーー


「では、始めたいところなのですが」


「なんだ、まだ何かあるのか?」


 ジンカイの隣にキメラが並び、やっと始まるかと思いきや待ったが入った。儂は呆れ気味に返す。


「一つ、改めて名乗りをさせていただけませんか?おそらく最期になると思うので」


「.....好きにしろ」


 呆れた儂にさらに呆れる言葉が飛んできた、半ばヤケな言葉を返す。


 魔族相手に許可取ろうとすんな、もしかして儂の態度がいかんのか?もっと魔族らしく殺意むき出しで有無言わさん勢いが.....あれば良かったんだろうがな。


「では、失礼して。第七研究室室長、兼第七研究所所長、名前を仁海悠也(にうみゆうや)。研究テーマは『合成生物(キメラ)』、僕の研究の成果をお見せしましょう!」


「ウグウオオオッ!」


 ジンカイの名乗り、そしてそれに呼応するかのようにそれまで一言も発さなかったキメラが雄叫びのような叫びを上げる。それにも驚きだが、それよりも気になることが、


 ジンカイの奴、今出したあれはなんだ?刀身がない剣、にしてはやたらと突起が多いな。まぁだとしてだ、このタイミングで出すのは不自然だな。


「考え事ですか?」


「ーーーは?」


 ジンカイの妙な動作に気を取られていた時だった、ジンカイの言葉が聞こえて視線を戻した瞬間目の前にキメラの姿が。今にも拳を振らんとばかりの体勢で。


「はやっ⁉︎ぐっ!」


 剣での防御まではギリギリ間に合ったが、弾くことはできず拳の重みをモロに受けて退いてしまう。


 間に合ったか、いつのまにこんな距離まで。どうやら、今までのキメラとは違うらしいな。とりあえずこのキメラに集中した方が良さそうだ。


「僕の話を聞いてくださったあなたに失礼だったかもしれません、ですがこれに関しては遠慮してしまうと僕の方が危ない」


 まだなお、丁寧なジンカイ。それだけでなく申し訳なさそうな表情。


 また罪悪感を覚えていやがる。判断はそれで良い、何も間違っちゃいない。


「何も気に病むことはない、儂も容赦なくいくからな!」


 剣を構え、目の前のキメラに接近する。手加減をしてやる理由はない、間合に入り即座に剣を振るう。


 どうせこのキメラも同じようなもんだろ、核を見つけて割って仕舞えば儂のーーー


「.....な、何っ⁉︎」


 避けられた、しかもバウと戦ったあのキメラのように不自然な避け方ではない。床を蹴り、後ろに飛ぶことで儂の剣を避けた。それに、


 .....気のせいか、今核がなかったような?いやそれだとキメラが動くはずがない、たまたま見つけられなかっただけだ。


「今のは危なかったですが、そう簡単に攻撃を許したりはしません」


 儂は驚きのあまり固まる、ジンカイは焦った様子で口を開く。


 なんだ、まるで自分が攻撃を避けたみたいな言い方するな?まぁいいか、このキメラは楽しめそうだな。


「一度避けたのがなんだ?まだいくぞ!」


「はい、僕も死なないようやらせていただきます!」


 儂の言葉に自分も構えるジンカイ。


 核がある場所が本体、そう簡単に切り離されては駄目な場所に必ず配置される。


「なら、胴か頭のどっちかだろ」


「そうはいきません、そう来るのであればこちらはーーーえ?」


 後ろに避けるのならばさらに踏み込み振り下ろす、そうしたらキメラは右に体をずらして避けようとした。が、儂は即座に剣を傾け横に払う。流石にそれは反応できなかったらしく、モロに入った。


 深くはないが結構入ったぞ、それに結構近づけた。これで、核の位置が.....う、嘘だろっ⁉︎


「核が、ない」

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