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五十三話 反乱軍アジト

「ま・さ・か!同行させてさせてもらえるとは。感謝するよ、魔王さん」


「感謝してる時の態度には全く見えんが?」


 儂は今、バウとニュイそして数人の騎士団と共に反乱軍のアジトへ馬車で向かっている。当たり前のようにミロはまたもお留守番。もう分かる通りだがヴィクターは同行させることにした。


 こいつは態度こそふざけてるが、言ってることに嘘はないように見えるからな。まぁただの勘だが、万が一があってもこのメンツなら大丈夫だろ。


「先に言っておくが、良いと言うまでは反乱軍の連中の前に姿を現すなよ?」


「私は本来城でお留守番、もとい投獄されていたはずの身。それに宣言もしたので、そちらさんの言うことには従おうとも」


 流石に初っ端から姿を現されては証明とか面倒になる、最初は隠れていてもらわなければ。


 分かってるなら良い、もう何も言わん。このおふざけを一度でも許してしまった、まぁ自業自得だな。.....やめときゃ良かったな、このテンション相手にしてたら立場の認識が壊れそうだ。一様捕虜と王の関係性のはずなんだがなぁ、これじゃお隣さんと話してるのとなんら変わらんじゃないか!


「大主人、主人、到着しました」


 ヴィクターと話していたら、外からバウの声がした。どうやら目的地に着いたらしい。


「おう、分かった。儂は行ってくるがヴィクター、お前はまだ出るなよ?」


「もちろん、私は許可が出るまで大人しくしておこう」


 ヴィクターは相変わらずの太々しい態度で返してきた。


 .....まぁ、言うこと聞いてくれるなら良いか。それよりも反乱軍のアジトだ、一体どんな場所にーーー


「こ、これは廃城か?随分と朽ちてるな」


 馬車を降りて目に入ってきたのはかなりデカめの廃城、その大きさから栄華を誇っていたのだろうことが感じられる。しかし、今はところどころに植物が絡み付きヒビや穴も多く見受けられる。


 寂しさっていうのか、虚しさっていうのか。なんだろうな、こういうのを見た時のこの感覚は。魔王城もいつか場所が移動したりして儂のいる今の城が旧魔王城とかになるのかね。


「ここは.....はっ!ねぇねぇパパ、私が説明するね」


「え?ああ.....」


 廃城を見たニュイは何かに気づいたように呟いた後、何故かウッキウキで儂に話しかけてきた。目の前の城を前に物思いに耽っていたせいで返事が変になってしまった。


「ここは魔族の城だよ、この国が人間に落とされる前の魔族の国の王様がいた場所」


「人間に攻められるより前に機能してた城か。まぁ、それは良い。早いこと反乱軍の連中に会わないとな、あまり時間をかけて遅くなって心配をかけるわけにはいかん」


 ここまでそれなりの移動距離だった、ちょっと日が傾いてきている、今はいらんことを考えて時間を無駄にするわけにはいかない。


 見張りの姿が複数見えるな、格好からしても反乱軍の連中で間違いなさそうか。だが、こっちに気づいとらんな.....仕方ない。


「バウ、頼めるか?」


「大主人、お任せください!」


 儂の言葉に対し、意図をすぐに理解してくれたようでバウはいい返事を返してくれた後廃城に近寄っていく。


「おい、反乱軍!我々はスイラム王国騎士団だ、逃げることは許さん。今すぐ出てこい!」


「よしよし、やっぱりバウの声はよく通る。さて、反乱軍の連中はどう出るか」


 少数とはいえ、こっちには実力者が揃っている。最悪の場合でも対応できるくらいには準備してきた、なんなら今から戦いが始まっても問題はない。


 まあ、戦いに来たわけじゃないからできれば穏便に終わってほしいものだが。


「分かりました、すぐに出ます!」


 帰ってきたのは思っていたより素直な回答、その後すぐに城の門が開き始めた。


「ようこそ、きてくださいました。ここに来たということはリーダーから話を聞いたということですね」


 門が開き中から出てきたのは非武装の反乱軍と思われる面々、驚いたことに歓迎といった雰囲気。その様子から殺意や恨みといった感情は微塵も感じない。


 武器を隠している様子なし、伏兵の気配も感じないか。正直なところ七割くらい疑っていたが、どうやらヴィクターの言う通りやり合う気はなさそうだ。この様子なら確認する必要もなさそうか。


「どういったイメージを持っていたかは分かりませんが、我々は見ての通り戦う意志はありません。もう友を失いたくはないので」


「そうか、よく分かった。じゃあ、あのキメラは一体なんなんだ?」


 ここまで来て結局はそれだ、行方不明事件に関わっているであろうキメラについて何も分かっていない。


「まだ呼ばれていないが話はまとまったようなので、失礼!そのキメラとやらはどうやらすぐに分かりそうだ?」


 そんな話をしてたら背後から声が、呼んでもいないのに勝手に出てきやがった。


「おい、勝手にーーーは?」


「あれ〜、反乱軍を潰してキメラの証拠を残してくればいいって話じゃなかった?な〜んで、もう騎士団がいるのさ」


 ヴィクターの声に対し、そう言いながら振り返った儂の目に入ってきたのはキメラ複数体と見知らぬ白衣の男だった。

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