四十七話 反乱軍の暴動
「おい、こっちで合ってるか?」
「はい、そちらを真っ直ぐ行けばすぐです大主人!」
儂らはバウの案内の元、反乱軍が暴れているという広場へ急ぐ。何故ジンカイでは無いのか、それは聞かないで欲しいところ。
あいつは道中の節々で余計に長い説明を挟んできたからな、最初からバウにしとけば尚良かったがそれは流石にジンカイに悪いか。
「と、とても申し上げにくいのですが、もう少しペースを落としていただけるとありがたいです。み、みなさん、お早い」
そんなことを考えていると、背後からご本人の声が。見るとフラフラしながらギリギリでついてくるジンカイ。
研究者らしいしな、普段鍛えていないような人間が魔族にここまでついてこられただけ上出来か。.....言っちゃあ悪いがバウがいるし、もう真っ直ぐだしなぁ。
「もう直前だ、自分のペースでくればいいだろう」
「もうそんなに来ていましたか、では僕は少しペースを落とさせていただきます」
儂の言葉にジンカイは疲れた様子でペースを落としていく。儂はそれを横目に見ながら前に向き直る。
「お、見えたな」
走っている中、だんだんと広場の様子が明瞭になってくる。大体数十人くらいが暴れている様子。
ーーーと、
「おい、魔族ども!さっさと呼べよ、この国の頼もしい騎士団の奴らをよ!」
「全く早く逃げるか、呼ぶかしろよ。これ以上反抗するなら何されてもかまわねぇよなぁ?」
「分からせてやらないといけないと思いますよ!」
広場の様子が見えてくるのと同じく広場から反乱軍のものと思われる複数の声が聞こえてくる。どうも騎士団が目的らしい。
何人か倒れてる奴がいるな、反抗してやられたクチか?まぁ、何にせよ、助けにいかないとな。さて、
「ニュイ、儂の剣を」
「うん、分かったゆパパ。はい!」
儂は隣を走るニュイに話しかける、スライムには収納能力も持っている。儂はいつもニュイから剣を取り出している。が、何と儂の言葉を聞いたニュイがした行動は、徐に服のボタンに手を掛けたかと思いきやガバッと大胆にも胸元を露出させあろうことが儂に向かって突き出してきた。
「んなっ⁉︎.....何してる、ニュイ!誰だ、誰から吹き込まれた。怒らないから正直に答えてごらん?」
ニュイの唐突の行動に思わず足を止め、ニュイの両肩に手を置きそう口走ってしまう。
ニュイがこんなことをするなど、ジェリエの口調といいやっぱりうちの娘に変なこと吹き込んでる奴がいるな。
「.....パパ、一体何の話をしてるの?いつもパパが手を入れてるじゃん、ほら剣がいるんじゃないの?」
儂の言葉にキョトンとした様子、次にその口からは衝撃的な言葉が飛び出した。
な、何?いま、なんて.....まさか、いつも儂が手を突っ込んでたのは。
「儂がいつも手を突っ込んでたのは.....」
「.....?ここだよ?」
「なっ⁉︎ぬわぁぁぁぁっ!」
思いがけず儂は絶叫に似た叫び声をあげてしまう。
儂がいつも手を突っ込んでたのがまさか胸だったとは!擬態化状態の場合での位置関係でスライム自体に胸の概念はないが、でもこれはまずいだろ。次からは手を突っ込んで武器を取り出すのはやめよう。
「ど、どうなさいましたか、大主人!」
「「「大主人!」」」
儂の叫びにバウ、そして後ろからついてきていた騎士団員が心配の声を上げる。
「あ、大丈夫だ、心配するな。ニュイ、武器はお前が取り出してくれ」
「うーん、よく分かんないけど分かった!じゃあ出すね」
ニュイは元気よく返事をすると、胸の谷間に手を突っ込んで剣を取り出す。徐々に顕になっていく剣身まで真っ黒な剣、柄に埋め込まれた宝石だけが真紅に怪しく光る。
まぁ、剣なんかより今は目の前で行われてる光景の方に目がいく。まじで胸部分から取り出すんだな、儂はこれをどういう気持ちで見てればいいだ?
「はい、パパ!」
「ああ、ありがとなニュイ」
純粋な笑みを浮かべ、儂に剣を差し出すニュイ。儂は少し戸惑ったが、すぐに受け取る。
「おい、俺たちを前にして何悠長に喋ってやがる!おっと、後ろにいるのは騎士団じゃねぇか。やっと来やがったな」
反乱軍がこちらに気づいたらしく、からんできた。
「ちょうど良い、鈍った身体に良い運動になる。お前ら!構わんから全員で来い、軽く捻ってやろう」
儂は剣を構え、そんな奴らに挑発をかます。
さて、簡単にやられてくれるなよ?
「なんだと?どこのどいつか知らないが、調子に乗るなよ?やってやる、いくぞ!」
「「「おーーー!」」」
儂の挑発に乗った一人が発した言葉を皮切りにそこにいた反乱軍の連中が一気に武器を構えて向かってくる。
「威勢は良いな、じゃあ一発目っ!」
儂はそんな連中に対して、大きく剣を振るう。次の瞬間には半数以上が血を流し、倒れる。
「い、今何しやがった!」
「ば、バケモノだ.....」
たった一振りでビビり上がり、何か言ってはいるがこれ以上向かってこようとする奴がいなくなった。
おいおい、拍子抜けも良いとこだな。まだ一回しか剣を振ってないのに、まぁそうそう強い奴なんていないか。
「おおっと、血の気の多いコイツらがま・さ・か!こんなに怖気付くとはなぁ、恐れ入ったってヤツか」
完全に尻込みしてしまった反乱軍、その中からやけに元気の良い声が響いてきた。




