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四十六話 研究者

「えー、まずは軽く説明をば。この場所におられたということはこの国で起きている行方不明についてはご存知のことと存じます、つきましては今更の説明は無粋と判断し省略させていただきます。では、前置きをそろそろに本題といかせていただきます。最近、僕の研究所でも行方不明者が出ていましてーーー」


「長いわっ!!」


 ジンカイと名乗ったその男は驚くほど丁寧な口調で話してきた、悪い気はしないがいかんせん長い。


 あ、しまった。つい口から出てしまったか、気をつけねばな。


「いや、すまん。気にせず続きを話してくれ」


「そうーでしたね、ついついいつもの癖で長々とした喋り方を。申し訳ございません、僕もできる限り簡潔に話せるよう努めているのですが。あ、また僕は長々と説明をしようと!と、とにかくです、僕の研究所でも行方不明が起こるようになってしまったので同じ境遇の者同士スイラム王と協力させてもらっているのです」


 つまり、自分たちのところでも行方不明が起こるようになったから解決のためにこの国と協力体制を築いているといったところか。いや、長い!頑張っているのだろうが、堅い言葉遣いを使うだけでここまで話が延びるとは。


「と、いうことで私たちと協力してくれている人間だよ、パパ」


 スイラムが最も簡単に短い言葉にして答えてくれた、それはそれであの長い説明をしたジンカイが可哀想な気がする。


「人間と協力か、まあスイラムが良いなら儂が言うことは無い」


「いやー、スイラム王、ありがとうございます。僕の長々とした話し方よりあなたに任せるべきだったかもしれません。改めまして、僕は人間ではありますがよろしくお願いします」


 ジンカイは申し訳なさそうにスイラムに礼を言い、儂の方に向き直りうんざりするくらいの丁寧な口調で頭を下げる。


 研究所.....白衣、やはり儂には覚えがある。こいつまさかーーー


「おや、どうかしましたか?僕に何か?」


 ジンカイは儂の視線に気付き、問うてくる。


 しまった、顔に出てたか。さてどうするか、ここで何でもないといっても不自然か。


「お前のところにサキという名前のやつはいるか?」


「サキ、ですか。えぇ、少々お時間を。サキ、どこかで確かにその名前を.....あぁ、そうです。確か第三研究室の!」


 儂の問いにしばらく考え込んだのち、思い出したらしくそんな言葉を発する。


「やっぱりお前のところにいるのか」


「いえ、僕のところにはいません。彼女は第三研究室、僕は第七研究室ですので。所属が違います、顔を合わせるのも年に一回の総合研究会議だけですから。あ、この説明では不十分ですね。詳しく説明をーーー」


「いやいい、気にはなるがお前に説明させたら日が暮れそうだ」


 さらに詳しく説明をしようとするジンカイの言葉を儂が静止する、あの調子で説明されてはいつ終わるかわかったもんじゃない。


 .....ん?そういえばーーー


「お前は何の用でここにきたんだ、急を要する内容とかではなかったのか?」


 話の中で儂はふと思い出し、疑問を問う。


 まあ、落ち着いて長い話をしてたから急を要する話ではなさそうだが。何かがあってきたのは間違いない、もしかしたら邪魔をしてしまったかもしれんな。


「ああ、そうでした!反乱軍の方々が街の広場にて暴動を起こしておりましてーーー」


「それは早く言え!」


「「それは早く言って!」」


 ジンカイの言葉は途中で儂とニュイとスイラムの三人の重なった声に阻まれた。


 悠長に長々説明してる場合か!広場ってことは街のど真ん中だろ、んな緊急事態早く対処しねぇと!


「すぐに行ってくる、おいジンカイとかいったか。案内を頼めるか?」


「ええ、もちろんです」


 儂はすぐに判断し、ジンカイに話しかける。


「待って、パパ。私も行く」


 そこへニュイが口を開く、今回は声が重ならない。スイラムは王である手前、公に歩くことはできないのだ。


「大主人、私もお供させていただきたい」


「お前、もう大丈夫なのか?辛いならもう少し休んでも、儂が何とかしてくるから心配いらんぞ?」


 次に口を開いたのはバウ、意外にもしっかりと立ち上がり真っ直ぐ儂の方を見つめている。


「いいえ、私は騎士団長。私情で国の一大事に姿を見せないなどできません!」


「お前.....わかった。無理はするな」


 ーーーで、


「お前はさっきからずっと食ってるが、まあなんだ.....わかりきってることだが来るか?」


「いや、もぐんぐ.....行かない」


 儂はそこでやっとある奴の存在に触れる、一部始終を最初から最後までしっかりそこにいて聞いていたはずなのに我関せずと菓子を貪る少女。


 ミロ、こいつこの状況で良く平気で食ってられるな。毎度驚かされる、もちろん悪い意味で。


「大丈夫、私が見てるよ」


 それを見てスイラムがそう言ってくれた。

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