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四十二話 失踪

「.....っ!くそ、頭がいてぇ」


 あの宴会は一晩中続いた、儂は途中でリタイアしベッドに向かったが案の定見誤っており二日酔いをかましてしまった。若干ふらつきつつ、木製の廊下を歩く。


 やっぱり酒は嗜む程度がちょうどいい、少なくとも日常的にバカみたいな量の酒を飲む連中と飲むもんじゃない。もう二度とあんな馬鹿げた催しには参加せんぞ!


「あ、こんなところにいらっしゃいましたか魔王様」


 額に手を当て、自分の失態に苦しむ儂に声がかけられる。見ると、そこにはルイナが立っていた。


「ん、どうしたルイナ。何か用事か?すまないが、話があるなら後にーーー」


「いえ、大事な話です。ニュイ様が昨夜にこの国を出て行かれました、かなり焦ったご様子で」


 ズキズキする頭の痛みに耐えながら、後にするよう促すがその言葉を遮るようにしてルイナは発言する。


 .....は?今ニュイって言ったか、レンセツじゃなく?ルイナは嘘をつく奴じゃない、だがニュイが儂に何も言わずに勝手に行動するなんざにわかにゃ信じがたい。まぁ、ニュイだし万が一はないと思うが。


「聞いたところ、出て行く瞬間を見てたんだろ?理由は聞いたか?」


「はい、当然ながら何をしに行くのかを聞いたのですがすぐに帰ってくるから大丈夫とはぐらかされてしまい.....並々ならぬご様子でしたのでそれ以上の追求は控えました」


 儂の問いにルイナは少し心配そうな顔で答える。


 なるほどな、何も言わずにってところが少し気になるところ。せっかくの旅行中に私情で台無しにしたくないって考えたら説明はつくが、だとしてもルイナがこうも心配そうな顔をするのは珍しい。


「長い旅だしな、少しくらい離れるのも良いか。ルイナ、儂がニュイの様子を見に行ってくる」


「え、魔王様が?その必要はございません、そういったことでしたら私をお使いください!私の発言が正しくありませんでした、ご旅行を邪魔する意図は決して!」


 儂の答えに自分の言葉に責任を感じたのか、ルイナは即座に否定を入れてくる。


 確かにこういった情報収集やら追跡やらはルイナの方が適任だろうが、今回は四天王案件だ。ルイナには少し荷が重いだろうし、何よりニュイは儂の娘も同然やはり父親である儂が助けに行くのが道理だ。それに大体どこに行ったかは見当がつく。


「気にするな、離れるといっても少しの間。ないだろうがもしかしたら今回はかなり危険かもしれん、だからルイナは娘のことを頼む」


「.....かしこまりました、お気をつけて」


 ルイナは少しの間考えた後、承諾してくれた。


「お前なら理由もいい感じで伝えてくれるだろうから言うことは、ないか。合流は.....そうだな、龍の国としよう。後、馬車は使うから乗り物は鬼に用意してもらえ。じゃあ、任せた」


 儂はそう言い残すと、ルイナに後を任せる形でその場を後にする。


 数分後、儂は馬車を見つけて千歳京を出る準備を始める。


「よし、さて向かうか。ちと遠いからな、気張ってもらうぞ馬たちよ」


 今回は一人のため、わざわざ馬車の中に乗る必要はない。儂はルイナが座っていた御者の席に腰を下ろす、手綱は必要ないが雰囲気で握る。すると、早速馬は地を蹴り駆け出す。その速さはこれまでの道中でのものとは比べ物にならない。


 おっと、久しぶりだがこの疾走感は最高だ。やっぱりこいつらはこうでないとな!.....はえぇが尻がいてぇ、がこれも娘の為だ。ニュイが、それも本体が焦って向かう場所って言ったら十中八九あいつの国だ。


「この速さなら半日くらいか?着く前にニュイに追いつくのがベストだが、スライムの移動は早いからなぁ」


「む、父、どこに向かってる?安全第一、かなり揺れてる、お菓子が食べづらい」


「どわっ⁉︎み、ミロ!なんでお前が乗ってる!」


 不意に背後から声がしたかと思い、振り返ると小さな小窓からこちらを見つめるミロの姿があった。


 まじでいつのまに入った?くそ、ちゃんと中を見とくべきだったか。今、すごい危険運転どころじゃない状況なんだが、こんな時も菓子のことか。.....つうか、もしかしてこいつ試してねぇだろうな?いやいや、今はんなこと考えてる場合じゃない。


「先に戻って寝てた、目が覚めたとき誰もいないのに動いてたから.....もぐ、一瞬誘拐でもされたかと思った.....もぐんぐ」


 後ろからバリバリ咀嚼音がする、当たり前のように菓子を口に運んでこれまた当たり前のように食いながら喋っているであろうミロ。


 何食っとんじゃい、食えないとか文句言ってなかったか?


「お、おう、そうか。どうする、引き返すか?まだ今なら戻れるぞ」


「いや、良い。もぐ.....街に戻ってねぇたちを探すの.....んぐ、めんどくさい」


 儂の確認になんとも適当な返答、終始変わらない声のトーンで咀嚼音と共に淡々と会話する。


「今回は儂もよくわかっとらんからな、もしかしたら守ってやれんかもしれんがそれでも来るか?」


「父、くどい。自分の身は自分で守る.....もぐ、心配は不要.....もぐんぐ」


 儂の最後の確認にもこんな返答。


 こいつ本当に食うのやめねぇな、さっきから尋常じゃないくらい揺れてるはずなんだがな。しかも何も聞いてこねぇし、菓子以外に何も関心がないのか?まぁ良い、ならーーー


「わかった、じゃあ悪いがこのまま向かうぞ」

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