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「ただいまー」

 依普が玄関のドアを閉めて、靴を脱いで放り出す。重かったランドセルを片手に持って家の中に入った。

「おかんー、いないの?」

 居間に寄ると、テレビが付けっぱなしになっている。リモコンでテレビの電源をオフにすると、静けさが戻った。ランドセルを片手に2階に上がり部屋のドアを開けると、勉強机に双子の兄の依空(いく)がこちらを向いた。

「おかえり」

 依空がまた勉強机に向かう。

「依空兄ちゃん、おかんは?」

「買い物に行ったよ」

「テレビつけっぱなしやろ、消したかんね。何してんの?」

「宿題」

「僕もやろっと」

 依普がランドセルから教科書を出して、隣り合わせの勉強机に並べる。途端、電話が鳴った。

「僕が出る」

 依空が部屋のドアを思いきり開けて出て行った。依普は勉強机に座る。依空が戻って来た。

「誰からやろ、土手に来いって。依普、付き合ってくれへん?」

「女ー?男ー?怪しいやろ」

「それがな、おとんの友なんやけどって言って。土手まで直ぐ来てって」

「直ぐー?行こう」

 二人揃って居間に降りると、依空は紙におかんへと書いて土手まで行ってきますと書いた。

「行こうか」

 依普が靴を履いてると、依空は鍵を持って靴を履いた。

「なあ、誰かついていかんやろか」

 不安そうな依普にふんと言って依空は笑った。

「大丈夫やろ、散歩やと思って行くやろし」

 依空が玄関の鍵をかけて、いつものところに鍵を隠した。二人揃ってなんやかんや笑いながら土手に続く坂道を降りると、カラシを連れた迩菜と槻樺に遭った。話をすると土手まで付き合ってくれることになり、四人と一匹で土手に続く路を歩く。

「何してたん?」

「宿題」

「だからさー、『氏曰兵防是泣好』ってさ」

 階段を上った。頂上付近に赤い帽子を被っってマスク姿のお爺さんがいた。

「電話くれたひとやろかー?」

 依空が頂上付近に到達すると、お爺さんは「死ねー!」と言って依空を突き落とした。四人もろとも階段を転げ落ちってしまった。カラシが吠えていた。お爺さんは自転車に乗り、猛スピードで走り去っていく。

「みんな大丈夫?」

 迩菜が起き上がって言った。

 全員起き上がるとカラシが吠えているのに気付いたのか、土手の下の家の人が出てきて助けてくれた。依空が足を引きずっている。

 暫くすると、救急車の音が聞こえてきた。


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