第六話 YouTuber
「それにしても驚いたな」
「ああ」
「まさか俺たちが入れ替わってるていで動画取ってる事に感づかれたかと思ったわ」
「じゃあ、もう、ネタ晴らしするか?」
「ふはははは。勇者ヒカルよ。この魔王の前になすすべがないか」
(くそっ。このままじゃシェリーが死んでしまう)
「なぁ、魔王」
「何だ、ヒカル」
「まえすを助けてくれ」
「ふははははは! まさかあの独善的なヒカルが、この魔王に教えを乞うとはな!」
「そんな事は、今は、どうでもいい! 俺たちは、あの日、ヒカルと名乗ると決めた時、一緒に」
「一緒に?」
「一緒に昔俺たちを見下していた大人たちを見返してやろうって決めたんだ!」
「それが私たちだ」
「だから大人は嫌いなんだよ。いつも年配ってだけでマウントを取って来る」
「じゃ、どうする? 武器を捨て、頭を下げ、満面の笑顔を見せれば、助けてやらなくもないぞ」
(ヒカル! ヒカル! お前ならどうする! 世界一のYouTuberのヒカルなら)
「ロケマサ、名人、相馬、ミッキー、いくみん、まなと。俺たちは、誰一人遊びでYouTubeやってんじゃねぇーんだよ!」
「何をほざいてる。YouTubeなんてたかが暇つぶしだろう」
「そうだ! YouTubeなんてたかが暇つぶしだ! なのになぜみんな本気になっちまうのかな?」
「あはははは。本気? お前たちゴミくずが心の底から取り組めるはずない。本当は、常に思ってるんだろ? もっと簡単に稼げないかなって?」
「違う!」
「違う?」
「もっと簡単に笑わせられないかなって思ってんだ!」
「一緒じゃないか!」
「違う違う違う!」
『もろうたでー』
「何が違う!」
「俺は、好きなんだ。YouTubeが」
「なら証明してみせろ! この魔王を倒す事で!」
『ラファエル! シバター! 俺たち三人で炎上軍だ!』
(きっとこれが最後だ。いや、最初で最後だ)
俺たちは、サラリーマンからしたらクズかもしれない。
でも、それでいい。
なぁ? まえす?
「だって、いつか一番になればいいんだから!」
「この光は?!」
「ようやく分かってきたよ。なぜ俺たちがYouTubeを選んだか」
名人「自由だからだ!」
ロケマサ「自由だからです!」
相馬「自由っしょ!」
みっきー「自由最高!」
いくみん「自由が一番」
まなと「自由万歳!」
店長「自由に生きる」
シバター「無理してどうする? 自由だ」
ラファエル「自由人最強!」
「せ、聖剣エックス」
「なぁ? 魔王?」
「な、なんだ!」
「大人ってどういう事だろう?」
「そうか……。私もまだ子供だったんだな……」
「食らえグランドクロス!」
「ようやく思い出したよ。この胸のドキドキを」
まるで暗闇の中のパソコンの光だった。
その光は、一気に天空城を覆っていく。
「なぁ? ヒカル?」
「何だ、まえす」
「もしもう一度生まれ変わったら何になる?」
「そうだなぁ……〇〇〇だな……」
「なら俺はナンバーワンのカメラマンだな」
おわり
PS.ヒカルチームのスタッフは今日も徹夜で頑張ります「フリーダム!」