第五話 聖剣エクス
「まえす、全然伸びないな……」
「まぁ、まだ始まったばかりやからな」
「もしかしたらゲームじゃないのかもな」
「さっきから何をぼやいている? 伝説の勇者よ?」
「はぁー」
「それとももう諦めたという事か?」
「ミスったは。簡単に天空城に入れたから忘れてたけど、FF17の魔王を倒すには、溶岩の海で聖剣エクスを手にいれなきゃいけなかったんだ。終わったわ」
「ふふふ。まぁ、よく分からんが、これで終わりだ」
漆黒の部屋。
その中央で玉座に座っていた魔王ルシファーはいきなり無数の隕石を落としてきた。
それをヒカルは、ただ見守っていた。
(待てよ……。これ強くてニューゲームだよなぁ……)
「なら魔法が効くか! 試してみるか!」
とは言っても、魔王の闇の羽衣に魔力は吸収されてしまう。
なら拳を強化してぶん殴る手もあるが、魔王の常闇の目は、こちらの動きを予知できる。
もしかしたら暗黒の指輪がある限り、魔力も尽きないかもしれない。
「サークル!」
「うわぁぁぁぁー」
「よく分からんが、効いてるみたいだな」
「ヒカル?!」
その時、突然、魔王の体から触手が槍の様に伸びてくる。
それはとても急だったためヒカルもかわせそうになかった。
だが、
『ヒカル。別にアンチにいくら嫌われようと、俺は、お前と運命共同体だぞ』
シェリーが飛び込んできて、間一髪回避できたのだ。
「シェリー! ちょっと待て! これ! そんなシリアスな展開なの? なんで……」
「ヒカル……。絶対……、ナンバーワンのYouTuberになってね……」
なぜならヒカルの代わりにシェリーが壁になったからだ。
「……」
シェリーのわき腹は真っ赤な血で溢れていた。
(まえす! どうせどこかで見てんだろ! なんとかしろよ!)
『今、緊急で動画取ってます』
『まじで有り得へんな』
『なんとスクエニから会社に招待されました』
「それでどっちがヒカルなの?」
『……』