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俺と壊れた世界と機械仕掛けの女神様  作者: 遠近
1章 こんにちは、壊れた世界。
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34 ギルド設立!

 頭の中でメニューを思い浮かべると、その中に『ギルドを立ち上げる』の項目があるのに気付いた。

 申し訳ないが、俺はギルドを設立したことがない。

 LINDAが立ち上がるから来なよと誘ってくれたのに乗っかっただけなのだ。


 その項目を選択。


『ギルドメンバーが足りません。(3人〜)』


 そりゃそうだ。

 俺1人でギルドってなんだよって話だ。


『セイジ:ギルド立ち上げるから参加してくれ。』


 そう言って2人に申請を飛ばすと、ジキルの顔が輝いた。


「そう言うことね! いいと思ういいと思う!」

「ジキル、わからない。説明。」

「セイジが全部やってくれるから楽しみにしててよ。」

「むぅ。」


 ジキルの目はキラッキラ。

 シズはよくわからないらしくぶうたれた顔をしているが、ウキウキ感が隠せていない。

 俺だって、これから始まるぞって感じに心が浮き足立つのを抑えられない。


『ギルドを立ち上げます。ギルド名を入力してください。』


 え…。

 ギルド名?

 あれ、名前つけなきゃダメな感じ?


 うちはハングリー・アグリー・ベアーズ、略してHABって呼ばれていた。

 由来をギルマスのLINDAに聞いたら、


「熊獣人だから『はらぺこくまちゃんず』にしようとしたけど、アカツキにダサいってキレられたから…。あと、動物はちょっとブスの方がかわいい。」


 って、わけわかんないこと言われた。

 あと知ってるギルドって言ったら、ジキルの憧れのジキル(本物)のいる『蒼穹のカタストロフィ』。

 他もなんかちょっとこういう厨二感ある名前が多い印象だ。


 名前…『はらぺこくまちゃんず』じゃだめだろうな…。


『セイジ:審議。ギルド名を決める必要があります。』

『ジキル:蒼穹の』

『セイジ:却下。』


 どれだけchronoさん好きなんだよ。

 ジキルの提案を即却下してシズを見る。


『シズ:セイジと愉快な仲間たち、とかでいいんじゃない?』

『ジキル:やだ』

『シズ:セイジメインだからいいと思ったのに。』

『ジキル:そういうネタみたいなやつやだ』


 嫌な予感がする。

 俺たち3人…もしかしてそっちの方のセンス…ないんじゃないんだろうか?


『シズ:セイジはどんなの考えた?』

『セイジ:はらぺこくまちゃんず。』

『ジキル:だっさ! …幽玄のグリモワールとかよくない!?』

『シズ:厨二感が痛々しい。』

『ジキル:なにそれ、ひどくない!?』


 ジキルさんや、俺もシズに同意だ。

 あと、おまえグリモワールの意味ちゃんと知ってるか?


 これは…ちょっと大変だぞ?

 俺はセンスないし、ジキルは厨二病全開だし、シズは投げやりだし。


 どうしたものかと視線を巡らすと、こちらがチャットで話していることに気付いていたらしたフリオさんと目が合った。

 その頼れる風格。

 仕事のできるドラゴニュート。


「フリオさん、俺たちの工房の名前を決める必要があるんですが…。」

「「え!?」」


 ジキルとシズが信じられないとばかりに俺を見ている。

 すまない、俺たちには名付けのセンスというものがないみたいなんだ。


「研究所みたいに名前が必要ってことかな?」


 頷くとフリオさんはうーんと考え込んだ。


「…君たちにの作業内容はバラバラだし、そう言った意味も込めて『アトリエ』とかはどうだい?」


 それに反応したのはシズだった。


「芸術集団ってこと?」

「そうだね。私から見れば、君たちの作るもの全てが芸術作品だからね。」


 シズは頷いた。


「アトリエだけ? 何か足した方が良くない!?」


 厨二病を患っておいでなジキルは物足りないらしい。


「夢幻のアトリエ…とか?」

「ジキルは未だ厨二病なんだね。」

「そ、そんなことないし!?」


 夢幻…って、十分患ってると思うぞ。


「じゃあせめて、セイジのアトリエとか!?」

「俺は錬金術師だし、なんか某ゲームが過るからやめい。」


 旧世代技術復興研究所とかつけられると思ったから、正直びっくりした。

 うん、下手にごちゃごちゃするよりいいんじゃないだろうか。


「じゃあ『アトリエ』で。」


『ギルドネーム アトリエ』


 そう決めると、ギルドメンバーとして俺たち3人の名前が出てきた。

 立ち上げたのが俺だからギルドマスターのところに俺の名前が入っているのがむず痒い。


「まぁ、3人合わせての拠点名だから、各々店を開くってなったら好きな名前つければいいしさ?」


 そう言うと、ジキルも頷く。


「セイジの店がかわいい名前だと…ちょっとあれだしね。」

「…面倒。薬局とかにしよう。」


 2人ともそれぞれなんか言っているが、とりあえずギルドの立ち上げは成功した。

 となれば次はギルドハウスの建設だ。


「フリオさん…庭のどの辺だったら何か建てていいですか?」


 そう尋ねるとフリオさんの目が輝いた。


「もしかして、あの謎の建築が見れるのかい!?」


 謎の建築がよくわからなくて頭を捻るとフリオさんが続けた。


「あの、予定地と目隠しがされた数秒後には終わっているヒューマンに関わりのあった建物の建築のことさ!」


 あ、何言ってるかだいたいわかった。

 

 ギルドハウスを建てる時はまずG。

 リバクロだとギルド結成には一銭もかからないが、ギルドハウスとなると話が変わる。

 ギルドハウスを建てる街にもよるが、結構な額が必要になるのだ。

 それでもギルドハウスのあるなしはリバクロ内でかなり大きい。

 1番はWストレージであるサブキャラのヒューマンをログインしていなくてもインした状態にできることだ。

 そのおかげでどこでもものを取り出すことができるんだけど。

 ギルドハウスがない人は宿屋でお留守番させておくのが定石だけど、それだとGがかかってしょうがない。

 だからギルドハウスのために小さいギルドが数個合併するっていうのもよく聞く話だ。


 そんなギルドハウス、Gさえ用意しどこに建てるか決まればすぐに建つ。

 あれを目の前でやられたら、どんな手品だよって思うよな。


「あー…たぶん、前と同じならすぐに建ちますねぇ。」

「さぁ行こう! あの奇跡をこの目に!」




 フリオさんは興奮して、俺の腕を引いて庭まで連れてきた。

 この興奮度合いだから、窓を割って外に出ないでくれて本当によかったと思います。


「さぁ!」


 そう言ってフリオさんは庭一帯を両腕を使って指し示す。

 これはどこでも好きなところに今すぐ建てたまえ。そう言うことだろうか?


「…本当に建てちゃっていいんですか?」


 一応聞くが、フリオさんは赤べこのように頭を振るだけ。

 後が怖いから一応バルゾフさんを見ても頷かれるだけ。


「ジキルとシズ、場所の希望ある?」


 聞いてもジキルは困ったような顔をする。


「ごめん…家建てるって時にすぐその場で聞かれても答えにくいかな…。」

「まぁ…そうだよね。」


 言われてみればその通りで、問題がなければ暫く…いやできればずっと住み続けたい。

 そんなのをあっさり決めてもいいもんだろうか?

 そう思考の渦に囚われていると、助けてくれたのはシズだった。


「1番目立ちにくいとこどこ?」


 バルゾフさんに聞いているのだろう。

 あのどんぐり眼はこちらを向いていない。


「でしたら本館の脇の…。」


 バルゾフさんが案内してくれたのは、だだっ広い庭の中。

 食料やら何やらの倉庫が3つ並ぶ場所の裏だった。

 先程のフリオさんの執務室があった本館から近く、外壁からは離れている。

 そして、倉庫のそばなのでまず客人は来ない。


「セイジ、ここにしよう。」


 シズは俺を真っ直ぐ見ていた。


「そうだね、そうしよう。」

「うん。」


 頷くシズの頭を撫でる。


 俺はその場に立ち、『ギルドハウスを建てる』を選択した。

 Gはアカツキたちにもらったから、ギルドハウスを建てるぐらいわけない。


「おぉ…!!」


 フリオさんの感激する声が聞こえるが無視。

 俺は頭の中のメニューに集中した。

 頭の中にはいくつものギルドハウスの見取り図。

 

 俺たちに必要なのは、それぞれの個室と工房…いや、アトリエ。

 ならば、それぞれの部屋は壁を共有しない方がいいだろう。

 いつ何時何か作りたくなるかもしれないしな。

 リバクロ内では存在しなかったけれど風呂トイレ。

 キッチンは料理人のジョブは誰も持っていないけれど、俺だって簡単な料理はできるからいる。

 

 そう考えると正方形の中を八角形みたいにわけてある間取りがいいんじゃないだろうか。

 正面に俺の個室とアトリエ。

 左にシズのと右にジキルの。

 それぞれの部屋の間に倉庫や水回り、キッチンなんかをセット。

 真ん中に空いた空間には、フリオさんが覗きに来るだろうから応接間を兼ねたリビングダイニング。

 どちらかと言えばギルドハウスらしい、大きなテーブルでもあれば便利だろう。


 大方どんな感じにするか決めると、俺は決定を押した。

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