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俺と壊れた世界と機械仕掛けの女神様  作者: 遠近
1章 こんにちは、壊れた世界。
19/47

18 赤射、焼結っ…からの!!

 未だジキルは光続けている。

 あれだ。静香と買い物に行った時に、すごい時間かかるのと同じ感じなんだろう。

 ということは、奴はいったいアイテム所持枠のどのくらいを装備品(紙防御力)で埋めているのかということだ。


『シズ:セイジも今のうちに着替えちゃえば?』

『セイジ:そうするわ。』


 俺も所持枠の中の装備品の項目を開く。

 全て頭の中でできるから楽だ。

 アサシンの職業柄、いつも暗めな格好が多い。

 リバクロでは頭部装備、装備(上)、装備(下)、脚部装備のメイン4か所に加えて様々なアクセサリーがつけられる。

 胴体の装備には上下一体型のものや、頭から脚まで一体型のものもあった。

 俺も確か着ぐるみが何着かあったはずだ。

 そして、それらの装備やアクセサリーをセットで設定しておけば瞬時に着替えができるシステムもあった。

 それが無事に使えそうなことを確認すると、俺はその4つ設定してあるもののうちからどれにするかと悩んだ。


 1.ガチ装備

 全力を出す時にする装備だが、まずまずい。

 全身スクリロメノンを使っているからだ。

 ヒューマンがフルスクリロメノン装備な時点で絡まれるし、マサハル(ヒューマン)でガチで狩りに行く時しか使わなかった。

 フリオさんは名も知らない鉱物と言っていたから気付かないかもしれないけれど、スクリロメノンをフリオさんとバルゾフさんの前に出すのはやめておいた方がいいだろう。


 2.そこそこ戦闘用装備

 普段着に使っていた。

 ゲームだからそのまま戦闘にもいく。

 これもちょこっとだけスクリロメノンの入った装備があるが、擬態させていたのでよく使った。

 だが、スクリロメノンが入ってはいるのでガチ装備と同様却下。


 3.一般人擬態装備

 NPCみたいな服。をテーマに鍛治師ビーノと作り上げたやつ。

 鎧には見えないシャツとベストもそこそこな攻撃は防ぐし、チノパンにしか見えないズボンもバフがかかりまくる。

 ぱっと見なんてことはない革靴も移動速度がかなり上がる。

 なかなか便利。

 だが、万が一フリオさんたちに性能がバレるとまずい。

 あと材料もかなりいいものを使っているからそのへんもまずい。


 4.ネタ装備

 毎年正月にもらえたその年の干支の着ぐるみ。

 リバクロが、干支一周できなかったのはかなりくるものがあるが、俺の干支は巳年なのでもらえてよかった。

 ただ、全身装備なはずなのにヘビから腕と脚が突き出ている挙句、何もつけていない状態なのでかなりあほっぽい。

 ただ運が上がるため俺は嫌いじゃない。

 ちなみにプレイヤー間では賛否両論で、攻略掲示板はかなり荒れた。



 だめだな。

 どれもこれもだめだ。

 そう思った俺は、大人しくジョブのアサシンを選択した時にもらえる初期装備を選んで装備した。

 フードと上げ下げできるマスクが付いているため頭部と装備(上)が一体型の【隠者の装衣】、装備(下)は【隠者の細袴】、脚部は【隠者の足袋】。

 細袴にはベルトがわりにアイテムやらなんやらをつけられるホルダーがあって、腰に短剣をつけている。

 武器があると落ち着くものだ。


 装備が終わると、目の前が晴れる。

 皆が俺を見ていた。

 ところかしこにある謎のベルトのバックルがシルバーなぐらいの黒い服。

 しかもフードを被ってマスクを上げているものだから目元しか出ていない。

 

「セイジ、ちょっと怪しい。これ、ポンチョ?」


 シズがそう言いながら俺の装衣をめくった。

 中には薄らと防御力のある長袖のトレーニングウェアみたいなのがあるため別に焦りはしないけれど。


「あと、モラルは?」

「…ちゃんとあるから大丈夫です。」


 ここでズボンも脱がされたらたまらないので答えておく。

 ちゃんと俺にも例の黒スパッツがあった。


「…残念。お尻のところ余裕あるからオムツ履けるのに。」


 隠者の細袴はふくらはぎのところだけが細くなっていて、膝上はゆったりめだ。

 だからといってオムツを履く予定はない。


「また面倒くさそうなブーツを一瞬で……。」


 アミナさんが絶句している。

 あの人はロングブーツに何か恨みでもあるのだろうか。

 隠者の足袋は足袋と言ってもブーツだ。

 ただモチーフは忍者なんだろう、これにも速度上昇の効果がある。

 軽くその場でジャンプしてみると、初期装備とは言えアサシン装備。

 かなり動きやすい。


「その装備は見たことがあります。ですが、売っている店は発見できませんでした。」


 さすがプレイヤーウォッチャー。

 ジョブ選択後の初期装備ならば見たことがあるだろう。

 そして、売っているわけがない。

 選択したら自動で着てるんだから。


「これはまたハイカラな。」


 バルゾフさんもほっほっと笑っている。

 いやハイカラの意味、違うだろう。とは思ったがスルーした。


 それよりだ。

  


「何でまだ終わってないんだよ!?」


 そう、ジキルだ。

 ジキルは未だ白い光に包まれている。

 

『セイジ:ジキル。わかってるだろうが、出したらまずいものは出すなよ?』


 俺と同じことが起きている可能性があって、一応釘はさしておく。


『ジキル:…あ。』


 セーフ。「あ。」じゃないだろう。「あ。」じゃ。

 シズはただ、にこにこしていた。

 この顔はジキルがしでかしているのが予想通りだったんだろう。


『シズ:セイジもしでかすかもしれないとはちょっと思ってた。』


 そう言って、そのどんぐり眼で俺を見る。


「金稼げるようになったら、他の服も買おうな?」


 頭を撫でるとまた嬉しそうにキャッキャした。


『ジキル:セイジもって何!? 僕まだしでかしてないから!!』


 側から見たら、俺とシズがキャッキャしているようにしか見えないだろう。

 だが実際は俺とシズの心の中はひりついていた。


『シズ:ジキル…大丈夫? 私もセイジも着替え終わってる。』


 さすがに長すぎる。

 こちらの世界にも、女性は買い物に行くと長い。みたいな風習があればいいのだが。


『ジキル:やばっ、時間かけすぎた? …OK、完了』


 ジキルから白い光が消える。


「やだ、かわいい!!」


 アミナさんがテンション高く叫んだ。


 ジキルは白に黒っぽい細いストライプの入ったジャケット、ベスト、ミニスカートのスリーピースのスーツを着ていた。

 シャツは黒。

 胸元と袖口からそのフリルがわかるほどわさわさしている。

 スカートの下からもそのフリルのわさわさが出ているが、どう言う仕組みなのかはさっぱりだ。

 髪は緩く巻いてサイドの高めの位置で結んでいる。

 頭には黒い小さなシルクハット。

 ハットと胸元には同じ花のコサージュがついている。

 足元はサイハイのソックスに頭が丸く大きめなショートブーツ。


 俺はと言えば、その材質チェックに忙しかった。

 あの、わかりやすい花はぱっと見アザミとバラの合体したみたいなやつで、MPポーションの材料になる花だからその辺に大量に生えていたから問題なし。

 ヒューマン用装備なのでバフはもとからないし、紙装甲。

 布の材質はぱっと見わからないけれど、そこまでレアなものではないだろう。


『ジキル:鍛治始めて初期の方に作った奴だから、素材も大丈夫なはず。』


 そこをちゃんと考えていてくれて安心した。


「おや、懐かしい。メルケの花ですな。」


 コサージュの花にバルゾフさんが反応した。


「昔はたくさん生えていたのですが、最近はとんと見なくなりましたねぇ。」


 やっぱり環境変化してたか。

 リバクロでは森に入ればいくらでもあったんだけれど。


『シズ:セイジ、あの服、出して大丈夫そう?』

『セイジ:たぶん大丈夫だと思う。そこまでレアな素材使ってないから。』

『ジキル:あったりまえ。そこを色々考えてて遅くなっちゃったのもあるんだから』


 鍛治で自分で装備品を作っていただけ、素材のレアリティは頭にたたきこんであるんだろう。

 少しだけ安心した。


 アミナさんにかわいいかわいい言われてジキルは満足そうだ。

 そのスカートがどうなっているのかとか質問されたことに答えている。

 その顔は得意そうだ。


「そういった格好を好むなら、私たちが用意した服はお気に召さないのも当然だね。」


 フリオさんも苦笑している。


「セイジさんもね。」


 そんな風に言われては申し訳なくて半笑いで謝るしかない。


「でもでも、本当にかわいいですよ? え、男の子なんだよね?」


 アミナさんは相変わらずテンションが高い。

 ジキルの両手を握り、その紫色の爪まで確認している。


「肌も綺麗。爪のケアもしっかりしてるのね。」

「…ちょっとだけですよ。」

「ちょっとでどうにかなるものですか! 美容には時間と手間と金がかかるのよ!?」


 そんなアミナさんを見ていると静香を思い出す。

 あいつも限定コスメだ何だと買い漁り、美容にいいと言われた食材を夕飯にリクエストする。

 どこの世界も妙齢の女性は変わらないんだなぁと思った瞬間、耳に飛び込んできたのは


「これは着替えに随分時間がかかるのも納得よ。」

「うーん….いっぱいあるから選ぶの大変だしね。」


 

 ジキル!? 他のアイテムの存在、ばらしやがった!!

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