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卒業パーティです① ※改稿版

※第一話~第六話まで2021.06.19に大幅改稿しました。

詳しい経緯・詳細は第一話の前書き&後書きをご覧下さい。

第七話からは新規投稿となります。

 お姉さまとグレン様に協力させて頂く形で、リニューアルオープンするお店の企画会議に参加させて貰ったり、実際にわたしの作った料理を食べて貰ったりしていたら、あっと言う間に学園の卒業パーティの日を迎えていた。お店の工事は始まっており、オープンはわたしが学園を卒業してから約一週間後を予定している。


 卒業パーティへと参加する為、お父様にエスコートを頼もうと思っていたら意外な人物から申し出を受けた。第一王子のロビウムシス殿下だ。ロブ殿下とも幼馴染で、三つ年上の殿下の事は自分のお兄様の様に慕っている。クリス殿下と婚約を結ぶ前はお茶会などでエスコートして頂いた事もあったけど、それは子供の頃の話だ。


 わたしが戸惑っているとロブ殿下は「弟が迷惑かけたんだ、これくらいさせてよ」と満面の笑顔で我が邸へとやって来られた。婚約解消がなければクリス殿下にエスコートして頂く予定だったので、確かにロブ殿下からの申し出は有難い。


「アリー、とても綺麗だよ」

「ありがとう御座います。ロブ殿下も素敵です」


 邸まで迎えに来てくれたロブ殿下にエスコートされて、王家の馬車へと乗せられる。今日の為に豪奢な馬車を選んでくれたのであろう。馬車の中もすごく豪華な造りで少し緊張してしまう。そんなわたしにロブ殿下はクスリと笑われた。クリス殿下と同じ透き通る様なホワイトブロンドの髪がサラリと揺れて、パステルブルーの瞳が優しげに細められる。


「やっぱりロブ殿下のお顔って顔面凶器ですね」


 わたしが少し顔を赤くしながら言うと、ロブ殿下は声を出して笑われた。


「そんな事言うのはアリーくらいだよ、普通のご令嬢は口に出さない」

「一応褒めてるんですけどね」

「だろうね。アリーは昔から俺の顔が好きだしね」

「ロブ殿下のお顔が整い過ぎてるんですよっ」


 まさに物語から飛び出して来たかの様な甘い王子フェイスを持つロブ殿下のお顔は、いつまで経っても見慣れない。会う度に惚れ惚れして見てしまう。国王陛下似なクリス殿下もお美しいけど、ロブ殿下はその比じゃなかった。王妃陛下似の端正なお姿は眩しくて後光が差してるかとさえ思ってしまう。


「俺としては顔だけじゃなく、中身も好きになって欲しいけどなぁ」


 そう言って隣に移動したロブ殿下は、わざとわたしへ顔を近づけて来る。ち、近いっ! 近すぎですから、ロブ殿下!


「俺は好きだよ、アリーの顔も中身も全部」


 途端にボンッ! と茹でだこの様になるわたし。こ、この人はいつもそうやってわたしをからかうんだから、もうっ。


「わたしだって、ロブ殿下の中身も好きに決まってるじゃないですか! 何をいまさら……」

「そうかなぁ……アリーの()()と俺の()()はちょっと違う気がするけどね」


 ロブ殿下のおっしゃる事がよく分からなくて首を傾げるわたし。「まぁ、いいけどね今日はそれで」と更に訳分からない発言をされた後、サイドに少し残したわたしの髪へ軽くキスを落して向かい側の席へと戻られた。殿下と居ると、いっつもペースを乱されてしまうのよね。困ってしまうわ。


 そういえば、こんなに素敵すぎるロブ殿下なのに未だに婚約者を作られていない。噂では意中の女性が居るとか居ないとか……。もしかしたら異国の姫君にでもお心を寄せられているのかしら? 殿下だったらどんな姫君でも虜にしてしまわれるでしょうに。


「学園生活は楽しめたかい?」

「はいっ、とても楽しく過ごさせて頂きましたよ。まぁ、最後はちょっと大変でしたけど」


 そう言って苦笑いを浮かべるわたしにロブ殿下も眉を少し下げられた。


「クリスのせいで苛められたりしなかった?」

「……大丈夫です。皆、暇を持て余してるだけですわ」


 クリス殿下との婚約解消後に王立スフィーリア学園へ登校したわたしは、周囲の好奇の目にさらされていた。わたしとクリス殿下の婚約が解消された事はあっという間に噂が広がり、更にクリス殿下がココレシア嬢にやたらと話し掛けている事から面白可笑しく噂に尾ひれがついていく。


 元々、わたしは漆黒色のセミロングの髪に、瞳の色も茶色で地味な見た目だ。侯爵令嬢とはいえ、そんなわたしが両殿下と親しい事をやっかむご令嬢たちも多かった。そんな事もあって、悪い噂は拍車がかかった様に広がっていった。中にはわたしがココレシア嬢を苛めていた事がクリス殿下にバレたせいで婚約が解消されただの言う噂もあった。


「何かあれば俺に言うんだよ、俺はいつでもアリーの味方だから」

「ふふ、ありがとう御座います」


 そんな話をしていると、どうやら卒業パーティの会場である学園のダンスホールに到着した様だ。

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