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リップル王女の恋物語②

「……っ!」


 サズレア王国からジャスティン王子が到着した。お父様に呼ばれて謁見の間に赴くと、そこには金色の髪を緩やかに後ろでまとめ、海のように澄んだ青い瞳の美少年が居た。その瞬間、私は恋に落ちた。


「ジャスティン王子、これから学園生活を共にする第一王女のリップルだ」


 お父様が私の事を彼に紹介してくれた。私の目は、まるでキラキラとした光を纏ってるかのような少年の姿に釘づけになっていた。――なんて、なんて素敵な方なの……。胸の奥がぎゅうう、と何かに掴まれたかのように苦しくなった。


「初めまして、リップル王女。私はサズレア王国第三王子のジャスティンです」

「あ……っ、うっ……り、リップルです……」


 あまりにもそのお姿が眩しすぎて、何とか挨拶だけはしたけどとてもお顔を見れない。ど、どうしよう。


「三日後から学園へ入学されるから、頼むぞリップル」

「は、はい……」


 その翌日、ジャスティン王子との交流を持つ為に設けられたお茶の席で私は俯いてばかりで。ジャスティン王子が気を遣って色々と話し掛けて下さるのに「はい」「そうですわね」と答えるしか出来なくて、きっとつまらない子だって思われてしまったに違いない。


 学園でもそんなに交流を持つ事もなく、あっと言う間に留学期間であった一年が過ぎてしまい……ジャスティン王子は故郷のサズレア王国へと帰国されてしまった。


「うううっ……なんでもっとアピール出来なかったんだろう」


 一人ベッドで枕を濡らす日々を送る私。でもアピール出来たとしても、互いに王族の身だ。好きだから結婚したいだなんて通用する筈もない。それに私は知っている。サズレア王国が舞台の()()()のゲームに、私は悪役令嬢として行く事になる運命だという事を――。


◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆


 そんなある日。私はサズレア王国の第一王子であるロビウムシス王太子の婚約者候補として、サズレア王国へ留学する事となった。私が呼ばれたという事は、どうやらあちらの国では続編のゲームが開始されたらしい。


「でも……なんでアリエッタが同じ候補者の一人なのかしら?」


 サズレア王国のゲームでは、アリエッタは一作目の悪役令嬢だ。続編にも登場しない訳ではないのだけど、それはクリストファー王子の婚約者として登場している。しかもクリストファー王子には新たな婚約者が居るらしい。ココレシアだなんて聞いた事も無い名前だ。


「まぁ、()()()のゲームも予想外な結末が起きてるものね……」


 大好きなイーロイズお兄様と結婚されたカナルディアお義姉さまは、こっちのゲームの悪役令嬢だ。別にそれだけなら、ヒロインがお兄様ルートを選ばなかっただけの話になるのだけど……どうもヒロインは攻略対象者以外のモブ護衛騎士と結ばれたと聞く。


 ――ゲームの中の世界とは言え、イレギュラーな事が起きてもおかしくないのかもしれないけど。


 私はジャスティン王子への恋心を抱えたまま、ゲームのシナリオ通りにサズレア王国へと留学に向かった。そこで同じ転生者であるアリエッタやプリメラとの出会いが待ち受けてるとは予想もせずに。

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