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プリメラからの楽しいお誘い

 あれから数日間わたしはロブ殿下から散々甘やかされながら過ごし、元気に回復した。そして両陛下の元へとわたしは両親と呼ばれ、正式にロブ殿下との婚約を結ぶ書類にサインする事となった。どうやら無事に王太子妃試練はクリア出来た様だ。婚約発表は一ヶ月後、そしてその半年後には結婚式を挙げる事になった。元々クリス殿下の婚約者として王子妃教育を終えていたので、王太子妃教育に関しては少しだけ補足分を補うだけで良いらしい。


「そういえば、クリスが留学したよ」


 わたしがベッドの上で過ごしている時、ロブ殿下からそう聞かされた。クリス殿下は側近のオーフェンと共に隣国オルプルート王国への留学に旅立たれたそうだ。基本的な勉学は我が国で終えておられているので、見聞を広める目的でオルプルート王国の王立学院へ特別に編入され一年半ほどで学院を卒業した後、あちらのローゼン公爵家で武術の鍛練を一年ほど積んでから帰国される予定だ。


 ローゼン公爵家といえば武術に長けた一族として近隣諸国では有名で、精神を鍛えるのにうってつけなんだそうだ。クリス殿下の婚約者となったココレシア様も予定通り、修道院での生活を始められていると聞く。


 そんな中、わたしはようやく邸へ戻ったと思ったら朝からお針子やデザイナーの手によって次々とドレスを脱ぎ着させられている。婚約発表に着るドレスを始め、結婚式のウェディングドレス、それから王族としての公務に必要なドレス、夜会用のドレス……などなど、一体どれだけ仕立てるの!? と悲鳴をあげそうになる。そんな内心を隠しわたしはひたすら背筋を伸ばして、着せ替え人形状態になっていた。


「うう……さすがに、疲れたわ」

「お疲れ様です、お嬢様」


 夕方になり、やっと解放されたわたしは部屋のソファーへと沈み込む。侍女のベッキーが甘いチョコレート菓子と紅茶を淹れてくれたので、遠慮なく堪能させて貰う。


「お手紙が届いておりますけど、どうされますか」

「どなたから?」

「プリメラ様からですね」

「今、読むわ」


 ベッキーが可愛らしい封筒と一緒にペーパーナイフも手渡してくれた。よく出来た侍女だわ、と常々感心する。王太子妃になった後もベッキーはわたし付きの侍女として一緒に王城へ来てくれるので、とても心強い。


 開封した手紙を読むと、どうやら近々王都の街では夏祭りが行われるらしい。その祭りに合わせて王都に店を構える飲食店の多くが店の前や噴水広場で屋台を並べるのだが、プリメラのパン屋と一緒に共同で何か屋台をやらないか……との話だった。


「やだ、すごく面白そうだわ」


 何だか気分は学園祭とかのノリに近いかもしれない。勿論互いに商売である以上、利益を見込める様なものを出さないといけないのではあるけど。まずはお姉さまとグレン様に相談をしなくてはならないけど、出来たら実現させたいな。王太子妃になったら、そう簡単にこんな催しに参加する事は出来なくなるだろうし……。

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