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王太子妃選考の試練……開始

 とうとうこの日がやって来た。試練の準備用に王宮内に部屋を一つを用意されていたので、わたしは前日から登城していた。侍女のベッキーにシンプルなドレスを着せて貰い、陛下たちの待つ謁見の間へと向かった。途中、リップル王女と遭遇したのでそのまま一緒に向かう。


「いよいよ、ですわね。アリー」

「はい、リップル殿下」


 謁見の間の扉の前で二人で頷き合い、扉を守る衛兵に目で合図を送る。衛兵は中へ聞こえる様に「リップル王女殿下ならびに、ネリネ侯爵令嬢が到着されました」と声を掛けて重たくて大きな扉を開けた。中へ入ると両陛下、ロブ殿下、そして宰相であるわたしのお父様が待っていた。


「二人ともよく参った。本日はこれから王太子妃を決める試練を行うが準備はいいか」

「「はい」」


 リップル王女と共に膝を折り、陛下たちへ礼をする。


「ここからは、(わたくし)が案内致します」


 そう言って王妃陛下が玉座から降りて来られ、「ついて来なさい」と目線で合図された。それに従って廊下へと出て、暫く長い廊下を歩いて行く。そして幾つかの扉を抜けた先の、とある場所へ辿り着くと大きな扉の前で王妃陛下は何か呪文らしきものを唱えられ……カチャリ、と鍵の開く音がした。


 扉の番をしていた衛兵たちがその扉を開くと王妃陛下は躊躇する事無く中へと進まれる。わたしとリップル王女もそれに続いて中へと入ると、そこには地下へと降りる階段があった。一歩一歩、慎重に階段を降りると長い地下道に繋がっていた。


 護衛騎士が二人率先して先頭を歩いて行き、王妃陛下、リップル殿下、わたし、再び護衛騎士二人……といった順で細長い地下道を歩いていく。きっと魔道具なのだろうが、わたし達が地下道へと足を踏み入れると同時に壁に備え付けられていたロウソクの灯りが一斉に灯されていった。その光景を見ながら、前世で観たアドベンチャー映画のワンシーンみたいだな……なんて思ってしまった。


 ひたすら長い長い地下道を、どれくらい歩いたのか……突如として現れたその不思議な空間にわたしは息を呑む。


「綺麗……」


 リップル王女が感嘆の声をあげた。大きな円形のその空間は、壁から天井まで全てがクリスタルの原石で覆われている。灯りもない筈なのに、天井からふりそそぐ光はキラキラと輝いていて、足元は虹色に輝く石が敷き詰められている。そして中央には大きな魔法陣が描かれていた。


 わたしは声を出すのも忘れて、その幻想的な景色に目を奪われていた。


「リップル王女、ネリネ侯爵令嬢……こちらへ」

「っ! はい」

「あ、はいっ!」


 わたし達は魔法陣の少し手前に並ばされた。


「今からこの魔法陣の中へ入って貰います。ここから出られるのは、王太子妃の試練をクリアした時か……或いはクリア出来ずリタイアした場合のみです。個人差はありますが、長くて二日ほどになるでしょう。ここまでで何か質問はありますか?」

「はい、リタイアはどういった場合ですか?自主的にリタイアする事もあるのですか?」


 リップル王女がすかさず質問を投げかけた。


「自主的なリタイアはありませんが、こちらから二人の健康状態や精神状態を見て継続不可能と判断した場合は試練の途中であっても強制的にリタイアさせて呼び戻します」

「それは身体はこちらにあって、精神世界で試練を受ける状態という事でしょうか?」

「ええ、そうです。その認識で合っています。魔法陣の上に横たわり、眠った様な状態になるといえば良いのでしょうかね……夢の中という表現が一番近いかもしれませんね」


 プリメラの言っていた『仮想空間』という言葉を思い出す。なるほど、VRみたいな感じかしら。それをこの魔法陣で行う……。なんか、これこそゲームの世界みたいだわ。


「もう一つ宜しいですか……その精神世界で会話とかした場合、実際にこちらでも独り言の様に話しているのでしょうか?」

「いいえ、それはありません。試練中の内容は本人以外には分からない様になっています。そしてそれは候補者同士も同じです。それぞれが、全く別の夢を見ている様な状態です」


 という事は、同時に試練を開始していてもリップル王女とは別の仮想空間に放り出されるって事なのね。


「それでは、他に質問もない様なので……始めますよ。二人とも、魔法陣の中へ入って横になりなさい」


 わたしとリップル王女は無言で頷き合って、魔法陣の上に横たわる。


「二人とも、気を付けて……行ってらっしゃい」


 王妃陛下が呪文を唱え始め、それに呼応するように目を閉じてても魔法陣が光り輝くのを感じる。そして自分の魔力が魔法陣へと流れ込んでいってるのか、身体が温かさに包まれた。




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