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中年冒険者、家を買う。  作者: 小雅 たかみ
1棟目 ~始まりの元宿屋~
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第9話 エルフⅣ

エルフのキエナが家に住むことになって、キエナに何が出来る?手伝える?等、まったく期待してなかった。


そもそも言葉が通じないし、エルフってベジタリアンのイメージが強かったから。

だから、家事手伝いなんて到底無理だと思っていた。


36歳とはいえ現役冒険者の家主。

それに、年取ったら油っこいものもキツくなるという年齢すら超えていそうなロンやミラも普通に肉を食う。

そんな環境でキエナに満足させる料理が出来るのか?


全然問題無かった。肉OKだそうです。

だから肉々しいのか…


寧ろ俺が作るより格段に美味しかった。

俺の料理は良く言っても男料理である。比べるのもおこがましいかもしれない。


しかし、エルフ料理は調味料の種類が多いらしく、本来の味ではないとキエナは落ち込んでいた。

美味ければどうでも良かったが、空気を読まない奴らの琴線に触れた。

何処かへフラッと消えては新たな調味料を持ってきてキエナにプレゼントしてた。

それでもっと美味い物を作れということらしい。


言葉の壁もミラのお陰で何とかなった。

最初は全然ダメだった。あの時の言葉はロンとミラがただ言葉を教えただけで意味は分からなかったようだ。

その後、3日程してからミラが何やら飴玉のような物をキエナに渡し、それを口に含んでいる時はこちらの言葉で喋れるようになった。もちろん聞き取りも出来る万能薬のようだ。


キエナはとても喜んでいた。

リオもとても喜んでいた。


だってめっちゃ可愛いから。


効果時間も考慮して大きめの飴玉もいうこともあり、もの凄い美人が片っぽの頬をぷっくり膨らませて喋る光景は大好物だった。

時折、キエナの頭を撫でては「可愛いな……。」と呟くヤバい事案が発生する程大好物であった。

キエナは顔を真っ赤にしながらも、それがバカにされていると思ったのかロンやミラの空いた時間を捕まえて必死で言葉の勉強をしていた。


家のルールも大体覚えさせ、風呂の順番もしっかり決めた。

肉々しいキエナの後に男を入れるのはババアの一声で却下され、ジジイや中年の後の汚湯に浸からせるのも同じくババアの一声で却下された。


キエナ、ババア、ジジイ、中年の順番で、結局家主なのに風呂掃除担当は変わらなかった。


だが、食事用意の負担がかなり減ったのは家の環境的に良いことのはずだった。

3人でも大変なのにまた1人増えて4人になった。

4人分を毎日となると結構な手間が掛かる。

それをエルフだから悪目立ちすると外に出れず。かつ、やることが無いからとキエナに全てを押し付けるのもどうかと思い、俺も少し手伝ったのだが、それが良くなかった。


隣に並ぶキエナが肉々しいのだ。

俺が肉を切っていても、隣の肉が気になる。

肉料理を作ってるのに、隣の肉を料理したくなってしまう。


色々あり過ぎて疲れているんだと決めつけ、たまには外で酒でも飲んでくるかと次の日の予定を立て、翌朝出る前に皆へ伝え1日リフレッシュも兼ねて遊び歩いた。


実際、疲れていたんだろう。

ブラブラと適当に出歩いては夕方頃から冒険者ギルドの連中と飲み始め、帰る頃には本当に久しぶりに酔っていた。


だから5日前に部屋が変わったことも忘れ、キエナの部屋に入り、装備を外してキエナのベッドで寝たのも仕方の無いことかもしれない。


キエナがまだ環境に慣れてなくベッドの端で寝ており、俺が倒れ込んでもぶつからず。

ビックリして起きたキエナは上半身を起こして、酒臭い元凶をどうしようかと悩んだ。

そのタイミングで元凶が寝返りをうち、キエナ側の腕は枕へ、もう片方の腕を使って掛けるシーツを探し、キエナを見つけて引き寄せ倒し、見事、腕枕しつつキエナを抱くというミラクルを起こしても仕方の無いことかもしれない。


朝起きた時、そう何度も仕方の無いことかもしれないと腕の中のその肉々しいエルフが目覚めるまで、そう思うことにした。


起きてからはめちゃくちゃ怒られた。

1階に降りるとジジイには冷やかされ、ババアにはヘタレと罵られ、家に帰りたい気分になる。

しかし、家はここだ。逃げる場所もない。

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