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中年冒険者、家を買う。  作者: 小雅 たかみ
1棟目 ~始まりの元宿屋~
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第84話 化け物

家に化け物が加わるのだ。

こちらの準備もしておかないといけない。

アルバも荷物がどこかの宿にあるだろうから、取りに行かせてその間に住人へ説明しておこうと思っていた。


「アルバ、さん?は今何処に泊まっているんだ?荷物とかあるだろ?それを持ってきてくれ。」


「アルバでいいヨ!ボクの方が年下なんだし。今はココに泊まらせてもらってるヨ!」


ならもうココでいいんじゃね?

とは思っていても口には出せない。既に依頼を受けてしまったのだから。

お互いに冒険者同士。

冒険者同士で受けた依頼は絶対に反故に出来ない。暗黙のルールというやつだ。


てか、ギルドはあからさまにその情報隠してやがったな。

ギルドマスターを睨むと、ニヤリとしながらも本当にすまんと手を添えてハンドサインした。


「こちらもリオでいい。なら荷物を持ってから、ウチに案内しよう。」


「荷物なんて無いヨ。ボクは次元収納魔法が使えるからね。全部そこに入ってるヨ!」


流石、化け物だ。

なんでもありかよ。

ジジイとババア並だな。


「では。私は荷物を取りに戻りますので。」


驚愕とドン引きを両方していると、ギルド職員がよく分からないことを言う。


「待て。ちょっと待て!なんでアンタが?荷物?」


「ええ。アルバ様の専属職員になりましたので。一緒に住もうと思います。」


などと意味不明なことを言う。


「聞いてねぇよ!そんな依頼じゃねぇだろ?

ギルドマスター、どうなってんだ?」


ギルドマスターはこそこそと俺に近づき、


「すまん。今朝強引にねじ込まれてな。どうにか出来んか?」


「ふざけんな!あんたの家に泊めてやれよ?ギルドマスターなんだろ?

ウチよりよっぽど良い家だろうが。

大体ギルド職員なんだから俺より金持ってるだろ?」


どうにか?しねぇだろ!

どうにかするのはギルド側だ。

何故俺が希望を聞いてあげなきゃいけないのか?


来る前に思っていたことが、より酷い形で現実となった。

これを実現させてはいけない。

絶対ロクな事にならん。


断固たる意志を持って、その条件は絶対飲まない。


そんな事など、どうでもいいかのように、ギルド職員はアルバへ申し訳なさそうに謝罪する。


「アルバ様。私共ギルドも貴方様へ万全のサポートをしたいと思い。こうして一緒にと思っていたのですが……。」


「リオー?ラキちゃんのこと、どうにか出来ないかな?その分も私が払ってもいいヨ?」


クソッ!

その『どうにか』はもう脅迫だろ!

言った相手が化け物のせいで俺に選択肢が無い。


「……金はたんまり払ってもらうぞ。そして、アルバが居る間だけだ。」




中年冒険者の家に、ギルド職員が強引に加わった。

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