第5話 老婆Ⅱ
アルメルダとロンが呼んでいた老婆はミラと名乗った。
ミラ・アルメルダということなのだろう。
そしてロンも、ロン・ボーザックになるのだろう。
どちらも何処かで見たのか聞いたのか思い出せないが聞き覚えあった。
しかし、どうでもよかった。ロンにもミラにも「爺さん」、「婆さん」としか呼ばずあまり関心が無かった。というより下手に関わり合いたくもなかった。都会人?の嗜み。其の弐だ。
その反応にロンは元からだが、ミラはとても嬉しそうに笑っていた。
Mな老婆に需要は無いと思うのでやめて欲しい。
ロンは魔法関係が凄かったが、ミラは魔道具作成や錬金術に長けていた。
ロン担当だった風呂のお湯関係の仕事を、サクッと魔道具を自作してしまい仕事を奪っていった。
光の魔道具まで自作しだしては部屋中を光り輝くようにしてくれたが、ココはパチ屋じゃない。パチ屋ってなんだ?まぁいいか。
外から見ても光が漏れまくっていてご近所迷惑にもなるので、住んでる場所のみの最低限にしてもらった。光が漏れていたところは後で補修しないと。
ロンとミラが来てから生活が一気に豊かになった気がする。
ロンとミラはまだ不満そうだったが、がらりと生活が変わった。どちらの意味もこめて。
リオの1日の流れは朝3人分の朝食を用意し、昼食はそれぞれなので、ロンと2人の頃と一緒。夕食にまた3人分作り、ミラ、ロン、リオの順で風呂に入り最後のリオが風呂掃除。
冒険者ギルドで依頼を取らなければ戻って洗濯やトイレ掃除と、冒険者だけしてれば良かった頃に比べ格段にやることが増えていた。
ロンやミラから食費や滞在費を貰っているので、収入は安定感が増したことは良いことかもしれないが、冒険者をしながら宿屋っぽいことはさすがに無理があるかもしれない。
それでも日々が忙しかったとしても、生活が快適になり、ある程度充実した毎日を幸せに過ごしていた。
ちなみに、ミラも朝食を食べたらどこかへ出掛けたり、部屋に篭ったり、またにロンと一緒に出掛けたりするのを見る。デートなのか?その歳でデートなのか?
こっそり尾行しても見つかったら最後、エンシェントドラゴンに遭遇するようなものなので絶対にしない。危険回避力は冒険者に必須技能だ。
中年冒険者のリオと、老人のロン、そして老婆のミラが加わってから1ヶ月が過ぎ、特に変わったことも無くそれぞれが気ままに時を過ごしていた。




