第43話 結婚式Ⅱ
兎にも角にも、アキヒコが言うには指輪が絶対必要らしい。
そしてその指輪にダイヤモンドの宝石があると尚良いとのことだった。
「アキヒコ。何故ダイヤなんだ?」
「うぅ。確か……傷が付きにくいとかで永遠の愛と、かけているそうです。」
「ん?ダイヤなんて簡単に壊れるぞ?
オリハルコンとか、ドラゴンの素材とかの方が断然強いぞ?」
「うぅ。そうでした。ここファンタジーなんですね。」
ということで、
「とにかく割れにくいとか傷が付きにくい綺麗な石を指輪にしてください。」
とアキヒコに言われた。
そうなると俺の予算次第だ。
へそくりは無いので、今から作らなければならない。
かと言って副業しようものならディアナにすぐバレるだろう。
今の冒険レベルを怪我しない範囲ギリギリで上げるぐらいしか考えれなかった。
そこからは必死だった。バレないようにするのが。
稼いだ時もこっそり預けて、全然稼げなかったと、自分から、しばかれに行ったり。
やりすぎとバレるので、ちゃんと稼いだ分を渡したり。
感の鋭いディアナに悟られないように必死で頑張った。
そうしてなんとか必要経費が集まったのは1週間前だ。
目星を付けてた赤黒く光る石を3つ買い、指輪にしてもらったのだ。
確か何かのモンスターの胆石だったはずだが、誰にも……特にディアナやキエナには絶対に言わない方がいいだろう。
加工できるギリギリの壊れにくい素材だったので良しとしよう。
そしてふと思った。
これって魔道具に出来ないか?と。
そこからはアキヒコプロデュースに、監修ミラが加わった。
ことの説明をし、アキヒコが補足して話したら大いに喜び、1枚噛ませろと自ら売り込んできた。
「ヒッヒッ。しっかり男を魅せて頑張りな。」
「あぁ。で、婆さん。この指輪なんだが。」
「ヒッヒッ。この素材だと、あまり高い効果は見込めんが良いかね?」
「高くなくていい。効果は回復で頼む。」
「ヒッ。解毒じゃなくていいのかぇ?」
「あぁ、少しでも回復してくれれば、後は俺が助ける。」
「アタシに言われても困るさねぇ。ヒッヒッ。惚れてしまうぞぇ?」
「やめてくれ。婆さん。では2つ頼む。
俺の分は何も入れなくていい。それに頼ってしまうからな。」
「ヒッ。律儀なこった。」
という感じで当日を迎えてるワケだが。
神父の長々とした神への祈りを聴きながら、
ディアナとキエナを見る。
指輪だけで予算はギリギリだった為、3人とも普通の服だ。
アキヒコが言うには綺麗なドレスを着たりとかするみたいだが、流石に手が回らなかった。
まぁこんなもんか。と思う。
2人がどう思うか分からないがこれが俺の精一杯だ。
これで我慢してくれ。
そう思っていたら教会の扉がバァンと開かれた。
「ちょっと待った~!!」
お?ちょっと待ったコールか?




