第124話 アルとメルⅡ
そんな信頼されている奴はやたら静かだな?と思って、ルキウスを見る。
ルキウスは、ファルが抱きしめ慰めている兄妹を見ながら、拳を強く握りしめていた。
「ルキウス。どうした?」
「リオさん。僕にこの子達を、いえ、この子達だけじゃありませんね。あの街にいる子供達は皆、似たような境遇です。そんな子供達を、僕が導いて本当に良いのでしょうか?」
「ん?子供が嫌いになったのか?
それとも教えるのが嫌になったのか?」
「違いますよ!僕なんかじゃ背負いきれないんです。この子達の両親のように……なんて、僕には無理だ。重すぎる……。」
「アホか。親まで背負ってどうする?
お前が見るべき相手は子供だけだ。
残酷だが、居ない親など気にするな。それは仕方がないだろ。居ないのだから。」
「そ、それは……そうなのですが……。」
「王都の孤児院では、ちゃんとやれてたじゃないか!皆、褒めてたぞ?
街の子供達の事情を間近で知ったら出来ないのか?
王都の孤児院の子供達だって、それなりに事情はあったはずだろ。」
「……。」
「ルキウス。お前は子供が好きなんだろ?
今も好きな事をしてるんだろ?
なら、迷うな!突き進め!
そんなお前だから、俺は託したんだ。
俺はお前の事をまだちょっとクズだと思っているがな。しかし、俺の家族や友人達がお前を信頼している。好きな事をやってるお前をな!
だから俺も信じている。
まぁ弱音を吐きたくなったらまた来い。話ぐらいは聞くぞ?ファルが居るから、本当に来るとは思ってないがな。」
「リオさん……。」
「っと、ここは俺達が話す場じゃないな。
そうだな。爺さん達にも相談してみると良いさ。
アルとメルが落ち着いたようだし、2人は俺が預かるから、ルキウスとファルは爺さん、婆さんとしばらく話しておくんだな。」
ファルから兄妹を引き取り、俺は部屋から出る。まだグズってる兄妹をどうにか元気にさせなきゃなぁと思っていたら、部屋を出る前にポワポワ達が目についた。
ポワポワとプクプク。そして久しぶりに会ったのかシルキーも寄り添って3羽で羽繕いをしていた。
コイツらの力を借りるか。
「ポワポワ、プクプク。それにシルキーだったか?
子供達と遊ばないか?ちょっと来てくれ!
ルキウス。シルキー、借りて良いか?」
3羽に頼み、ルキウスにも声をかけたのだが、返答を聞く前に、3羽が頭上に舞い降りてきた。
「ピッ!」「「チュン!」」
はえぇよ。
それにシルキーは肩じゃねぇのかよ!
俺の時だけ、なんで頭上なんだよ……。
結構カッコイイ事言った後だったのによぅ。
全然しまらねぇじゃねぇか。
ルキウス見てみろよ?
さっきまで俺に感動してたんだぜ?
今では、笑いこらえてるじゃねぇか。
ジジイもババアもファルまでも……。
クソ鳥達め。
しかし、グズっていた兄妹も3羽が頭上にとまる俺を見て、グズりも収まり笑顔が咲いたので、まぁこれで良いか。とも思った。




