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中年冒険者、家を買う。  作者: 小雅 たかみ
1棟目 ~始まりの元宿屋~
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第32話 吟遊詩人Ⅲ

クルーべは吟遊詩人ということもあり、生活リズムが他とは全然違った。

日が沈む前に家を出て、酒場等で吟遊詩人の仕事をし、朝方帰ってきて朝食を一緒にとり風呂に入り、昼過ぎまで眠る完全夜勤者だった。


それもあり、ギシアン案件で防音対策を施した部屋にも大いに気に入ってくれた。


自分の家を褒められて、俺の家は完璧だと調子に乗った。


が、クルーべも色んな宿に泊まり慣れており、色んなアドバイスや指摘をした。

その中に、他の設備と比べてベッドの寝心地が微妙な件があった。

それにボケコンビとディアナが食いついてしまった。


長年冒険者として過ごしている為、遠出の依頼で土だろうが木の上だろうが、寝れればどこでも何でも良かったが、食いついた各々はそんな俺に非難轟々だった。


やれベッドが堅くて腰が痛くなるや、寝つきが悪いだのとジジイとババアは今までまったく言ってなかったことをここぞとばかりに言う。

ジジイ、ババア。そいつは歳のせいだ!諦めろ。


そして違う意味で寝る仕事をしていたディアナからもネチネチといつ終わるのかわからないダメ出しが続いた。

最終的には「リオの臭いがシーツに染み付いてる。」「こっちまで臭いが移らないか恐い。」と個人攻撃にまで発展した。


調子に乗った天下は3日と持たなかった。


ディアナの憂さ晴らしも次第に鎮火していくと、今まで空気を読んで空気になっていたクルーべから提案があった。


「では、私が利用してきた中で1番素晴らしかったベッドの宿に話を通してみましょうか?

作っている商会ぐらいは聞き出せると思いますよ。」


「あー。それはいいわね。」


ちょっと待て。

うちには数も必要だし、俺のベッドはキングサイズだ。

そして質良しなら値段も半端ないこと間違いなしだ。


「待て待て。ウチにはそんな金はないぞ?」


「あー。確かに無いわね。」


「ディアナ、そこまでハッキリ言われると俺も凹むぞ。」


「ヒッヒッ。ならワシらから出そうかぃ?」


「ぐっ、さすがにそこまで甘えたくないな。」


これ以上甘えてしまうとダメになりそうと思った。

「じゃあ、いつになったら買ってくれるの?」と可愛子ぶってディアナは催促するが、「2、3年後……ぐらいかな?」としか言えない。


それを言ったら今度は老い先短いジジイとババアは騒ぎ出した。

「ワシらが使う機会が無くなる!」と。


その通りだ、早めに死ね。

あ、ウチの家計の大部分はジジイとババアからの収入か。

ごめん、やっぱ生きろ。

そして騒がずに生きろ。



結果。

財布をどう叩いても、逆さにしてもお金が増えることは無く。

何をやっても無いことには変わらず。

しかし話が出てしまったこともあり、せっかくなら早めに欲しい。

渋々ロンとミラからお金を借りてベッドを新調することになった。


やばい借金が増えた。

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