表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中年冒険者、家を買う。  作者: 小雅 たかみ
3棟目 ~エルフの国境街~
293/349

第83話 救出戦Ⅱ

やってみた最初の感想を言おう。


生き残った住人が多いところから救援に向かうのは間違いだったかもしれない。



それだけの人数が多くても生きていける物資や設備があったということだ。

当然、緊急性は低い。だから心の余裕は他よりも出来やすい。


そうなると、どうなるか?


周囲のゾンビを若いパーティ2組と一緒に頑張って殲滅し終えたのに。

感動の救出劇……ではなかった。


まだ年若い冒険者に詰め寄る生き残った住人達。


「何故もっと早く助けに来なかった?」

「今までお前達の為にどれ程のお金を払ってきたのか!」

「肝心な時にまるで使えなかった!」

「そんなお前達のことなど信用出来ない!」


等、非難轟々だった。


中年であり、この場を仕切っている俺には誰も言い寄って来ない。

頭にポワポワが乗ってるので滑稽なはずだが、かえってソレが防波堤になっているのかもしれない。

そして立場の低いだろう年若い冒険者達にその矛先が向かった。


確かにそう言われても仕方がないのかもしれない。

彼らはそれこそ文字通り必死に生き残ったのだから。

俺達の頑張りなど、彼らと比べれば屁みたいなもんだ。

だから若い冒険者達は何も言えない。そして更につけ上がる。


ヒートアップして住人の一人が必死に抑えていた冒険者に殴りかかっていった。

すぐに駆け寄り、その拳を払い、逆に殴り倒した。


「色々言いたいことはわかるが、俺達は冒険者であり、今は人を助けに来た。

冒険者も人だ。人を襲うってことはお前はゾンビなのか?もしそうなら容赦しないぞ?

今まで人同士、助け合って生き残ったのだろう?なら、これからもそれを忘れないでくれ。」


なるべく他の住人達にも見せつけるようにハッキリと言い放つ。


「リオさん。すみません。手を煩わせてしまいました。」


「気にするな。こういう役目は年長者が受け持つべきだろ。

だが、アレだな。最初の救出場所としては失敗したかもな。

これでは他も周れないし、拠点まで引き連れて戻るのも一苦労だな。」


「では、ここへ他の住人も集めましょうか?

周辺もある程度は安全になりましたし。

先ほどの地図も記録してますから、僕らが向かいます。」


「なら、俺たちのパーティは拠点までの退路確保をするぜ!

リオさんは、ここで守護と指揮した方がいいんじゃないか?」


「ああ。それがい……っ!すまん。誰かが襲われてるらしい。

ちょっと急いで向かってくる!ここはもう安全だろ?お前達は先ほどのことを頼む!」


返答しようとしたら、ポワポワが何かに気付き、すかさず頭をつついてくる。

言いつけ通り何処かのゾンビが動き出したようだ。


走り出す後ろで、「俺達もやるぞ!」と2組のパーティは気合を入れ直していた。

アキヒコ達に負けず劣らず良いパーティだ。


まだ経験は浅いが、いずれ俺を抜いていくのだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ