第28話 第1回会議
「あー。では、第1回リオ家会議を始めたいと思います。
司会進行は私、ディアナが努めさせて頂きます。」
パチパチパチ
食堂のテーブルにつくのは、俺、ディアナ、ロン、ミラの4人。
ポワポワも居るが、カウントするのも変だろう。
キエナは屋上で皆の部屋のシーツを洗濯中。
ネルとアキヒコは王都散策というデートだ。
いやデートみたいな何かだ。
エスコートしてるのは年齢も身長もアキヒコに負けているネルであり、アキヒコもそれが当たり前のようになってしまっているので、まったくデートには見えない。
からかってもネルは首を傾げるだけなので、からかい甲斐も無い。
さて、会議の内容とは、主に我が家の家計簿に関する議題と今後についての議題の2つだ。
たかが、ペット1羽増えた程度で会議をしなければならないほど火の車だったかというと耳が痛いのだが。
されどペット。
ポワポワはグルメであり、ディアナとキエナの料理ならばなんでも食べるが、一般的なペットの餌には見向きもしなかった。
要するにペットではなく、人が1人増えたと考えてくれ。
かつ、ポワポワの大好物はキエナ産の調味料の中に入ってる香辛料のひとつだった。
この世界の香辛料は高い。
ロンとミラがプレゼントしたので、俺が買った訳ではないが、無くなってしまったらどうするのか?
ロンとミラに強請る?いや、流石に申し訳ない。
この会議中にもロンとミラはもっと滞在費を出そうか?と言ってくれたが、そういう問題でもない。
まだ部屋に空きがあるので、また何かを拾う可能性があり、そんな金ヅル…ゲフンゲフン。いや住人から滞在費を貰う時、ロンやミラとの差がとんでもないとこになるのは目に見えてるからである。
寧ろ既に十分過ぎるほど貰っているのだ。
滞在費とは別に、キエナへの調味料だったり、
ディアナへは服を作って欲しいといって良さげな布やら素材を渡したり、
ネルとアキヒコには王都散策の為のお小遣いも渡していた。
俺個人としても、ミラからマジックバッグを借りたりと、何処ぞの激甘老夫婦かよと言いたくなる程だ。
では何故ロンとミラがこの会議に参加しているか?というと次の議題だ。
今後についてだ。
ロンとミラは老い先短いので、まぁ今後なんてあと少しだろう。
ディアナとキエナは俺の嫁なので、死ぬまで一緒に居てもらうつもりだ。ぐふふ。
ポワポワも鳥だからそんなに長い寿命を持ってないだろう。
そう、ネルとアキヒコの今後についてだ。
ずっとこのままここに住むというのは若い彼らにとっても良い事とは思えない。
ネルはなんだかんだやっていけるだろうが、アキヒコのお姉さんとしての生きがいみたいなものを見出したっぽいのでセットで考えてもいいと思っている。
なので、アキヒコの今後がメインとなる。
もちろんアキヒコ次第になってしまうのだが。
せっかく勇者としての力があるなら冒険者の道でも良いのではないか?と思っている。
ネルとアキヒコが冒険者として稼げるようになれば滞在費を貰い、リオ家の家計の負担も軽くなると皮算用している。
ロンとミラに会議参加してもらった1番の理由は、アキヒコへ色々教えているようなので、どんな感じか聞きたかったからだ。
ネルと合わせて暗殺者と魔法使い。
かなりパーティバランスが悪いので、新しくパーティを作って募集するか、どこかのパーティに入るかしないといけないのだが。
「ヒッヒッ。おまえさんが入ればいいんじゃないかぃ?」
「いや、年齢が離れすぎている。
何かあった時どうしても俺を頼ってしまうようではパーティとしての未来は無いからな。」
「フォッフォッ。意外としっかり考えてるおるのだのぅ。」
「爺さん、意外は余計だ。」
「フォッフォッ。」
その考えもあるにはあった。
しかし年齢的に、俺の方が先に冒険者引退になる。
そうなるとまたパーティを探さないといけない。
経験者の俺に頼りきった状態でだ。ろくなパーティにはならないだろう。
「出来れば同世代の新人と組ませるのがベストだな。」
「ヒッヒッ。おまえさんがまた拾って来ればいいんじゃないかぃ?」
「あー。リオならありえそう。」
「やめてくれ。そんなホイホイ拾ってたまるか。」
「フォッフォッ。」
フラグじゃないよな?いやマジで。




