第64話 酒
家に帰ってからも住人達で三次会をした。
皆それぞれ自由に食堂に集まって飲んだり、二次会の残り物をつまんだり。
子供達を寝かせて、ドバルやメイド達も混ざってワイワイと楽しんだ。
レナとシルバは非常に残念がったが、見た目は子供だ。
「まだ眠くないよ!」とゴネていたが、ディアナとキエナにあやされ、渋々寝に行った。
もの凄く騒がしいかと言うと、そうでもない。
普段の男子飲み会と変わらない程度だった。
実は住人達の中に、『酒が何よりも大好き!』な人が居ない。
酒に強い弱いはそれぞれにあるが、嗜む程度にしか飲まない人がほとんどだった。
お酒を飲むことにより、日々抑圧された生活からの解放感や高揚感を得る。
しかし、そもそも日々抑制している住人が居ないのだ。
ここには変人しか居なかった。
最初から頭のネジがぶっ飛んだ奴にとって、お酒は酔うか酔わないかの違いしかない。
元々変人が酔ったところで変人でしかないのだ。
そして周りも変人だから、誰も驚かない。日常だった。
強いて挙げるならば、ファル、オウガ、そしてアキヒコ達が若干変わるぐらい。
ファルがルキウスに対して甘え上戸になったり、
オウガが王族の愚痴を王族であるテトルやナトリーに聞かせたり、
獣人のネルとタロトが盛ってしまい、アキヒコとパルムが必死に抑えたりしていた。
むしろ、呑み過ぎ酔い過ぎで気持ち悪くなった奴が静かになる程で、下手したら男子飲み会よりも静かかもしれない。
そんな三次会も楽しく過ぎ。
翌朝。
食事を摂り、それぞれの準備をする。
レックス達は式を挙げたばかりなので、今日は休みだった。
リオ家、クルーベ家はそろそろ家に戻る準備となり、レックス達も手伝ってくれた。
クルーベ家やアキヒコ達はもう少しゆっくりしても良さそうだった。
しかし、リオ家の、特にエルフ達がいち早くエルフの国で結婚式を実施してみたいらしく帰りたがっていたので、合わせて準備していた。
式の余韻に浸りつつ、別れの寂しさも漂わせつつ、帰りの準備をしていると、昨日会ったばかりのスッキリ顔ギルド職員が駆け込んで来た。
「皆様、まだいらっしゃいますか?
あぁ!良かった。居てくれた!」
「どうした?何かあったのか?」
皆を代表して聞くと、スッキリいや真っ青な顔のギルド職員は震えつつも早口で説明してくれた。
「アルバ様、アキヒコ君達、そしてリオさん。非常招集が発令されました。
この王都から2つ街を超えた先の村で上級悪魔が発生しました。
配下を従え、村は壊滅。村の住人はゾンビとなり勢力を拡大させ今にも1番近い街に突撃しそうとのことです。
皆様、どうかお願いします!悪魔討伐を手伝ってください!」




