第41話 道中
それから、のんびりとしつつも割と順調に前の家まで向かっていた。
普通よりも少しだけ見た目の良い馬車が3台。
特に護衛も付けずに突き進む。
先頭は御車台に座るリオ。
リオの腰にはディノルート。頭上にポワポワとプクプク。
そして馬車の中にはロン、ミラ、ディアナ、キエナ。
そしてレナとシルバ。
真ん中はベロスが御車台に居り、中にはブラントとメイド達。
後方はオウガが馬車を操り、テトルとナトリーが居た。
たまにキエナとシルバがこっちに行くこともあった。
計画ではもう1台居る予定だった。
結婚式を伝えに来た元E級冒険者パーティだ。
早めに戻って俺達の出発を伝えることと、迎え入れる準備があるらしい。
そういうことだったので、彼らは俺達が出発する前に、先に戻って行った。
大所帯なのにも関わらず、冒険者は1人だけ。
危険かというとそうでもない。
至って平和?な旅だった。
まず、王族の護衛リーダーであるオウガが居る。
その肩書通り、当然のことながら俺より強かった。
街道沿いに出てくる魔物など軽く捻っていた。
数が多ければ、ちょっと俺が手伝うだけで済んでいた。
賊の類も出なかった。いや、恐らく居たとは思う。
馬車の足止めの為、倒れ木が街道を塞いでたり、
不自然な地滑りで街道が滅茶苦茶になっていたりもしていた。
その度にロンが天まで立ち昇るかのような火柱を発生させ、倒れ木を一瞬にして消し炭にしたり、時が戻っていくかのような程、土を操り、何事も無かったようにさせたりしていた。
正直、やり過ぎだ。
レナとシルバは魔法を使うと大変喜ぶので、ジジイは加減をしなかった。
家に居るときは自分達の家庭菜園に被害が出るので、可愛い感じだったのに、外に出ればそんなのは知らんとばかりに高火力をぶっ放していた。
アレを見せられたら、賊も出て来れないわな。
なので、至って平和?な旅だった。
メンツ的に野宿は厳しそうなので、途中の街や村に泊まりつつ、まったりと俺達は前の家を目指す。
ぶっちゃけ、ジジイを頼れば転移魔法で一発だが、距離もあるし、人数も多い。
そして何よりジジイがこののんびりした旅を気に入っている。
無理にお願いするのも悪いし、何かあった時だけ頼れば良い。それだけで皆、落ち着いていた。
ポワポワとプクプクの驚異的な索敵範囲もあって、危険などまるで無かった。
そして、昔の我が家へと辿り着く。
すでにレックスの家なのだが、やはり懐かしさが込み上げてくる。
皆を馬車から降ろし、案内も兼ねて先頭に立ち玄関の扉をノックする。
ソレが良くなかったのかもしれない。
ノックしてからしらばくすると、パタパタと小さい足音がいくつか聞こえ扉が開く。
すると4~5歳くらいの3人の子供達が飛び込んできた。
「「「パパー!おかえり!!」」」




