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中年冒険者、家を買う。  作者: 小雅 たかみ
2棟目 ~北の国から~
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第96話 恋のキューピット(中年)Ⅱ

「僕は、大人が嫌いでした。そして、子供が好きです。

ふぅ。それはリオさんも知ってますよね?何故だと思いますか?」


孤児院へ通う前から不審者になるほどだ。

子供好きを知らない訳がない。

だが大人嫌いは知らなかった。そしてそうなった理由も分からなかった。


「いや、俺はお前にそこまで興味が無いからな。考えたこともない。」


「ふぅ。リオさんは本当に酷いですね。普通の人なら話す気が無くなりますよ?

僕よりもリオさんの方がよっぽどですよ。話が脱線するじゃないですか!

ふぅ。僕の実家は知っているでしょう?」


ルキウスが怒ってきたので、すまんと謝りつつ答える。


「すまんな。フライデー商会の支部長だったな。」


「そうです。その店が何を売ってるか知っていますよね?リオさんも度々載っていたみたいですし。」


「ああ。アレだな。

そうか。それでか。」


「そうです。僕は、ずっと大人達のスキャンダルを見て育ってきました。物心ついた時から大人の醜い部分をずっと見せられてきたのです。誇大表現や嘘があったとしても、子供時代の僕には分かりませんでした。

そして、僕は歪んだんでしょうね。大人全員が醜く見えて、純粋な子供達しかマトモに見れなくなってしまいました。」


「だが、今はそうでもないだろ?

俺やファル、他の住人達とだって普通に話しているじゃないか。」


「そうですね。歪んでいたのに気づいた。

原因は貴方ですよ。リオさん。」


「俺が?」


「僕はリオさんと会った時は何も知りませんでした。リオさんと同じように人に興味もありませんでしたし。しかし、ラキティスさん達が実家へ押しかけた時に、両親から聞かされました。

リオさんや他の人達も、実は凄い人達だったのですね。当然のように沢山の記事がありましたよ。リオさんのアレは全部本当の事ですか?」


「いや、そんな訳ないだろ!?

結果的にそうなった事はあるかもしれんが、それでも事情があったり、色々あったんだ。」


「ええ。分かっています。

リオさんの記事を読んで、そして等身大のリオさんを見て気づきました。いえ、気づかされました。

そしたら、他の醜い大人達のスキャンダルも見方が変わったんです。醜くなくなった。この人達も必死に今を生きているんだという風に見れるようになったんです。」


「そうか。良かったじゃないか。

だが、それとファルにどう繋がるんだ?」


「僕は歪んでいた。でも本当に直っているか分からないんです。

ふぅ。ファルは好きですよ。ファルと一緒に子供達と遊んで、学んで、本当に楽しいです。

でも僕でいいんでしょうか?

まだ歪んでいませんか?直っていても、また歪みませんか?

それが怖い。そのせいでファルを悲しませるかもしれない。それがもっと怖い。」


「そうか。」


相槌を打ちながら、椅子から立ち上がり部屋の扉に手を掛ける。

そして、扉を開けて目の前の人に話しかける。


「そういう事らしいぞ?ファル。」


「……ルキ君。」


「なっ!?リオさん。謀ったんですか!」


「そうだな。だが、こうでもしないとお前は何も言わないだろ?特にファルにはな。

別に俺を恨んでも構わんぞ?だが、ファルとはしっかり話し合ってみろ。じゃ後は2人でな。」


ファルの肩をポンポンと叩き、ファルを部屋に入れ、入れ違いに出ていく。


後は2人でなんとかやるだろ。

どちらにせよ両想いだ。悪い方向にはならんだろうな。


それにしても、恋のキューピットがこんな中年でいいのだろうか?と、しみじみ変なことを考えていた。

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