第33話 クズ再び
翌朝、ラキティスを連れてギルドへ行く。
昨日ここへ着いたばかりで、ギルドへ挨拶すらしていなかった。場所も知らなかったようだ。
良く俺の家にたどり着いたなと思って聞いたら、そこら辺の人に聞いたらすぐ教えてくれたそうだ。むしろ、『何故行くのか?』『あんな所に行っても良いことは1つも無い。』とまで言われたそうだ。ウチの評判がおかしい。
そんな事を話して歩いていたら、ご近所の旦那が話しかけてきた。
「おはよう。リオさん。
これまたべっぴんさんを連れてどうしたんだ?
まさかこの人も嫁なのか?」
「おう。おはようさん。
いや、コイツは嫁じゃない。ギルド職員だ。」
「ギルド職員のラキティスと言うので。これから宜しくお願いします。」
丁寧に挨拶をするラキティス。その仕草に鼻を伸ばすご近所の旦那。嫁じゃないのが嬉しかったのか、近づいてきた。尻でも触ろうとしたかもしれないが、止めておいた。
「やめとけ。嫁じゃないが、ウチの住人だぞ?」
俺の発言にラキティスは察して、あの魔道具ステッキを取り出す。ご近所の旦那はそれを見た瞬間に遠ざかった。
「リオさん!そういうことは早く言ってくれなきゃ困るよ!」
「お、おぅ。すまんな。そっちも気をつけろよ?」
「ではまた何処かで。」
ご近所と別れてまた2人でギルドへ向かう。
「ラキティス。お前よく単身でここまで来れたな。」
「いえ、護衛を雇っていたので1人では無かったですので。それに私もギルド職員ですので。コレを使わなくても、大丈夫なので。」
「そうか。気をつけてな。
既に他の住人達が色々やらかしているのでな。節度を持って行動しろよ?」
「リオさんだけには言われたくないので。」
そんなこんなでギルド前に着くと、何故かルキウスが居た。
「ふぅ。やっと……来た。リオさん!見つけましたよ。」
「おー。ルキウスか。事件以来だな。元気そう……でもないな。」
ほんのちょっとだけルキウスはやつれていた。
若干めんどくさい空気を感じ取ってかラキティスは
「では。私は挨拶や仕事もありますので。」
と言ってギルドへ入っていった。
そそくさと逃げていったラキティスを妬ましく睨むが、職員の仕事なんて出来ない。今日はラキティスのギルドへ案内しに来ただけなので、何か依頼を受ける気も無かった。ただ邪魔になるだけかと思い至り、渋々ルキウスに向かい合う。
「で?ルキウス、どうした?」
「ふぅ。聞いてくださいよ。
家から追い出されてしまいました。」
お前もか。




