↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/30

Chapter:20 荷物の三角関係はめんどくさい

「タマコは、『テレコ発送』っていうの、やっちゃったことある?」

「テレコ発送?」


「たとえば、3人のひとに荷物を送るとするじゃない? そのとき、宛先《あてさき》の貼り間違いとかでさ、AさんにBさんの荷物を、BさんにCさんの荷物、CさんにAさんの荷物を送っちゃう――みたいに、入れ違いにして発送しちゃうこと」


「荷物の三角関係ってことぉー?」

「呼び方はもうなんだっていいけど……あるの? ないの?」

「ウチは発送ミスをしないようにするため、封筒とかダンボールに、じかに、受け付けコードを書いてるから、そんなうっかりでおっちょこちょいなこと、したことなんか一度もありませんよぉ~」

「…………」

「もしも~し、メイちゃ~ん、聞こえてる~? なんでいきなり音声通話でそんなこと聞いてくるの? 販売はやめたって言っておきながら、もしかして――」


 あたしは通話終了の赤いアイコンをタップした。


 ……チッ。使えないゴミめ。


 お馬鹿なタマコのことだから、一度や二度、誤発送《ごはっそう》の経験があるのではないかと思って訊いてみたけれど、無駄話に終わった。


 コンビニ発送の手続きを終えたあと、あたしは帰宅して自室にこもり、〝ギルマ〟のヘルプガイドを読んでいた。

 まだ入れ違い発送をしたと決まったわけではないが、そうなってしまった場合、どのような対応をしなければならないかを、確認するためである。


 結果、かなり厄介《やっかい》でめんどくさくなりそうだ、ということが判明した。

 間違って送った荷物を相手から送り返してもらって回収するのは、絶対に無理だと思った。

 なぜなら、匿名状態を解除しなければならなくなるため。

 互いの住所、氏名、電話番号などを開示したあと、相手から着払いで誤荷物を送ってもらうことになりそうなのである。

 ……これは是が非でも、さけたい。

 だって、あたしの個人情報を、あたしが着古したTシャツを好んで買うような変態野郎に開示することになるのだから。

 メルトダウン級に最悪な事態。


 どうにかなるだろうと軽く見積もっていた自分が浅《あさ》はかだった。

 匿名解除の必要性があるとわかっていれば、あの場での発送を中止していただろう。

 荷物を落としてシャッフルしやがったおっちゃんに、燃えたぎったラッキーストライクで根性《こんじょう》焼《や》きを入れてやりたい。


「これからはタマコが言っていたように、荷物に直接、コードを書こう……」


 そうしておけば送り状の貼り間違いは、ほぼ確実に防《ふせ》げる。

 今までは、たとえ数字のみであろうと自分の筆記を変態に教えてなるものか、と躍起《やっき》になって付箋《ふせん》を使用していたが、もう懲《こ》り懲《ご》りだ。

 コンビニ発送も、絶対使わない。


 ――誤発送時には、荷物をあきらめ、取引キャンセル。


 もしもの場合の対応は、こうなりそうだった。

 間違って届いた商品はタダであげるので、今回の注文は無かったことにしてください、という手はず。

 取り引きがキャンセルになると、支払われていた代金は購入者に全額返金される。本来希望するTシャツではないにしろ、相手には別の使用済みTシャツが無料で届けられることになるので、むしろ、ラッキー♪、と喜ぶに違いない。『良い』評価を維持できるだろう。


 3つとも誤発送しちゃっていたら、合計1万円近くの痛手。

 3匹の変態にTシャツを無償《むしょう》贈呈《ぞうてい》するという愚行《ぐこう》のおまけ付きで……。


「どうか、勘《かん》が当たっていますように!」


 と、あたしは心の底から願った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。