表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セブンズゲート  作者: すかーりー
4月編
1/5

てかお前誰?

 俺がこの世界で初めて目にしたものは、少女の瞳だった。


 嘘でも誇張でもない。

 1番初めに目に飛び込んできたのが、その奥に宇宙が広がってそうなほど、美しく澄んだ瞳だったのだ。

 呆気にとられた顔でそれを見つめていると、彼女の方も俺と同じ表情をしていることに気がついた。

 しばしの間、時間と沈黙が並んで歩いた。


 そして彼女が先に静寂を破った。


「……あんた誰?」


 いやこっちが聞きてぇよ。 お前は誰だ、ここはどこだ、さっき光ったあの鏡は何だ。溢れた疑問で混乱していると、彼女がまた口を開きやがった。


「ねぇ、あんた誰?今、か、鏡から出てきたよね?ちょっ、どういうこと?何者?」

「待て……待って、待って、待って!」


 マジで待ってくれ。まだ会話できるほど頭の整理がついてねぇのに話しかけるなよ。一旦落ち着かせてくれ、追いつかねぇってマジで。てかラノベとかの主人公ってすげぇな。こういうときの状況を飲み込むの早すぎだろ。あれ普通におかしいよ。と、明後日の方向に思考が曲がっていくくらいに俺はパニクっている。

 いや、どうでもいいこと考えてる場合じゃねぇ、とにかく一旦深呼吸しよう。


 俺は文字通り深呼吸して辺りを見回した。

 目に入ったのはベッドや机、タンスに本棚、そして目の前に中世の短剣か弓使いのような服装の美少女。

 よしなるほど。とりあえずは理解した。理解した、うん。

 ここはつまり……彼女の部屋?


「ちょっと。ジロジロ見てないで質問に答えてよ、あんた何者?」


 せっかく色々考察し始めてたのに、彼女がまた聞いてきた。

 おいおいまだ飲み込めてねぇよと思いつつも、俺は質問に答えることにした。会話で状況を掴んでいった方がいい気がしたからだ。


「……ここってお前の部屋?」

「勿論よ。じゃなくて、こっちが質問してんのよ!」

「ああ悪い。えっと、俺は有栖川勇作。麻倉高校の2年。昨日2年になったばっかりな」

「アサクラコーコー?何それ、全然分かんないんだけど」


 戸惑った。もしかして高校というものを知らないのか?

 そもそも彼女の服装とか、コスプレとかゲーム以外で見たことないようなふげけた格好してるし、部屋の感じも木造小屋感丸出しでとても現代とは思えない。そこでおもむろに彼女に聞いてみた。


「今って西暦何年?」

「セーレキ?さっきから何言ってんの?」


 いやお前が何言ってんの?


「よく分かんないけど、年代のことを言ってるんだったら今は鏡歴777年よ」

 と、彼女は続けた。


 え、めっちゃラッキーイヤーじゃん。すげぇ。てか、何?鏡歴?


 全く聞き慣れないワードだった。しかし、その聞き慣れないワードのおかげで、俺はこの状況下における1番の疑問を思い出した。


「鏡……!」


 そう言いながらバッと後ろを振り返ると、見覚えのあるアンティーク調の鏡が壁に掛かっていた。


「何でうちの鏡があるんだ……?」

「はぁ?それは私の鏡よ。」

「いやこれは俺がこないだ大器さんに貰ったやつ……」


 俺は言い淀んだ。

 違う、そうじゃない。そこじゃないんだ。大事なのはそんなことではなく、もっと不可思議な事実にある。俺は……。

 心の中でも言い淀んだこの続きは、グラスから溢れる水のように口からこぼれていた。


「俺は……この鏡を通ってここに来たのか?」

誰かのために命をかけるというのはとても美しいと思います。そして、自分の理想を主人公に押し付けるのではなく、何も無い平凡な男だからこその苦悩や葛藤を、これからの展開で味わせてやりたいです。要するに、何も無いなら何かやろう!ということです。まぁそんなに簡単なことでは無いですけど、この作品を読んだあなたが少しでもそういうことを考えてくだされば、有難いことこの上ないです。


鏡の世界で出会った謎の少女を救うため、残酷な運命に立ち向かう普通の少年の行く末を描いた異世界ファンタジー


今、開幕。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ