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アーティファクト  作者: 〜神歌〜
✯第一章 西の国〜前編〜✯
21/154

20話✯が……頑張って……頑張って増えるんだよ✯




 翌日セリアは夜光草の優しい香りで目が覚めた。

 あの後、風の魔女ウィンが鉢を持って来てくれて、貴重な夜光草を鉢植えにしてロアの家に持って来たのだ。

 夜光草はアイリが世話する事になった、種が取れるまで大切に育てるのだ。



 アイリは晴れてロアの弟子になった、今度は呪いをかけて解く方法を学ぶ、魔女として呪いを解く方法は知らなくてはならい、ロアはそう考えていた。

 自らの呪いを解けない魔女は、呪いによって精神も蝕まれて行く、やがて死体の魔女の様に言葉すら満足に話せなくなり、醜くなって行くのだ……


「アイリちゃん支度出来たかな?」

ロアが明るく言う。

「はい、私は……出来たのですがセリアさんが……」

アイリの視線を辿ると、セリアがお腹を出して寝ていた。

 寝相はいいとは言えない、可愛いとは間違っても言えない。


 ロアはニヤッとして、絵具を持って来た、そしてセリアの顔にお決まりの絵を描き始める。

 そこにアイリも加わりセリアのほっぺにお花を描き始める。

 くすぐったいのかセリアはにまにましている。

「いいんですか?魔鏡様」

「アイリもやってるじゃない、私はいつもこの子に絡まれてるんだから、いいのよたまには」


 二人は楽しそうである。


「さて、いいかな」

ロアは悪戯するだけ悪戯して家中の鏡に、魔法をかけて置き手紙を書き始めた。


「じゃ、練習にいこっか、真面目にやらないとまたお花が可愛そうだからね、ちゃんとやろうね」

「はい!魔鏡様」

そうして二人は、練習に出かけて行った。



 暫くしてセリアはむにゃむにゃと起きた、そしてリビングに置いてある置き手紙を読む。



おはようセリア、シャルルが作ってるアーティファクト昨日出来た見たいだよ、声を出さないで頑張ったね、偉いわセリア。


それで今日シャルルとセリエが迎えに来るから今日は家で本を呼んで勉強してなさい。


あとちゃんと顔洗いなさいね



 そう書かれていた。

「ふー、やっと喋れる」

セリアはそう言い、顔を洗いに洗面台に向かった。

 パシャパシャと顔を洗い、鏡を見るといつもの可愛いセリアの顔が写っていたが、何か僅かな魔力を感じた。

 だがセリアは寝起きの為に気のせいかと思った。

 その後、ロアが用意してくれていたパンを食べて、本を読み始める。

 昼が過ぎた頃だろうか、扉を叩く音がした。


「はーい」

セリアは返事をして扉を開けた、シャルルとセリエがいたが、二人の時が止まった……


 シャルルとセリエは何かを我慢している……少しずつ目に涙を溜めているのがわかる。


「ほえ?」

セリアが不思議に思いそう言うと、シャルルとセリエが吹き出し笑い始めた。

セリエはお腹を抑えて、涙を流して笑っている。

「セリア、鏡をみてよ」

シャルルがそう言いながら、手鏡をセリアに渡した。

 セリエは笑い過ぎて苦しんでいる、セリアは鏡を見ると……


「いぃぃぃ!」

セリアが驚いた、家の中の鏡は全て魔法がかけられ、落書きが映らない様になっていた。

「なっ何これ!」

「ロアにやられたのね……くっ苦しぃ」

シャルルも笑い過ぎて、腹筋が崩壊仕掛けている。


「ハァハァ……でも私の時よりいいわよ、私なんてそれで街中歩かされた事あるんだから、鏡に魔法かけるって怖いよねホントに」

シャルルは何とか話始める。


 セリアは思い出した。

ロアが昨日、言った言葉を……

(セリア、三年前からあなたに絡まれてその度に付き合ってあげてるのよ……

上手く帰れる様にしてあげるから、ちょっと手伝ってちょうだい)

「そう言う事だったのー‼︎」

セリアは叫んだ。

「さっ、これを水に入れて顔洗って来なさい」

シャルルが小瓶を出してセリアに渡そうとすると、パッとセリアが素早くそれを取り洗面台に向かう。


 セリアは洗面台の鏡の魔法に気付いた。

「ロォアァさーん!」

セリアは魔法を解こうとするが解けない、そこにシャルルが来てくれてロアがかけた魔法と波長を合わせて解いてくれる。

 



「⁈、シャルル来たのね、セリアをお願いね」

 ロアは自分の掛けた魔法が解かれた事に気付いて微笑んだ。

「どうしたのですか?」

アイリが聞く。

「ううん、シャルルがうちに来た見たいだから、私達は気にせず練習しましょ」

「はい、魔鏡様!」

アイリは笑顔で答えた。




パシャパシャとセリアは顔を良く洗い、鏡を見る、落書きは少しづつ落ちて行く。

「この落書きしつこい!」

パシャパシャ!

 シャルルは家中の鏡の魔法を解いていき、鉢植えの夜光草を見つけた。

「こっこれどうしたの?

夜光草じゃない」

シャルルが聞く。

「それアイリちゃんの!

触っちゃだめだよー」

セリアが言う。

「へー花の魔女って言うだけあって凄い花を持ってるのね……」

シャルルが関心しながら、触らずに眺める。


 セリアが顔を拭きながらやって来た。

「アイリちゃん夜光草の花畑作りたいって言ってたよ、そんなに珍しい花なんだね」

「なる程……って言う事はあれが必要ね……」

シャルルが考える。

「あれって?」

セリアが聞いた。

「アイリちゃん専用の結界用のアーティファクトよ、夜光草は高価過ぎる花だから、盗まれちゃうでしょ。


守ってあげれる広範囲用が必要ね……

後は迷いの魔法も使う必要があるね」

シャルルが教えてくれ、シャルルの頭の中ではその図面が描かれて行く。


 流石マエストロのシャルルだ、必要な魔法と結界の質、そして材料も頭に全て浮かんでくる。

 そしてその花畑が出来たら定期的にレアな材料を分けて貰おうと、算段までしている抜け目ないシャルルだった。


「綺麗なお花ですね、夜光草って言うのですか?」

セリエが来た。

「うん……昔、私が魔女になる前に海の国に夜光草の花畑があったなぁ……」

シャルルが懐かしそうにそう言う。

 セリアはシャルルとロアにとって大切な思い出に思えた。





「おい……なんだあれは」

「どうした?」

シャーゼンの街の見張り台から、守備兵達が東の遠い空を見て何かを見つけた。


 東の空に怪しい雲が見えていた。

赤い雲で奥が黒い様な異様さを見せている……

「神父に知らせろ、東の国で何かあったのかも知れない……」




「ねぇ……何か感じない?」

セリエが言った直後……


コンコンッ

コンコンッ

ロアの家をノックする音が聞こえ、セリエの目が鋭くなる。

「花の魔女じゃないわよ、もっとまともな魔女よ」

シャルルが言い、扉を開ける。



「もっとまともって、私はまともじゃないの?」

そこにはウィンが居た、少しふくれている。

シャルルは優しい笑顔で答える。

「少しね」

「少しって!まぁいいよ、実は東の国で災いが起きたみたいなんだ……」

「えっ?」

三人は驚くがセリエが感じたのはそれらしい……


「どんな災いか解る?」

シャルルが聞くと、ウィンが少し困った顔で話す。

「赤虫だよ、赤虫はイナゴより小さくて花の蜜を吸い尽くすと、その植物を食べ尽くす。

虫を操ってる魔女が、動いてるみたいなの……


今年は東の国は花が咲き続けてるらしいの……」


「それって……」

セリアが聞く。

「うん……多分、花の魔女アイリが通って来た道だと思う」

ウィンが頭をかきながら言う。


「問題は、赤虫が花をつけない作物も食べ始めたみたいなの……

もし、呪いがかかった花を食べ過ぎて赤虫が変わったなら大変な事になる。


全ての花や木を食べるようになったら……」

ウィンが不安そうに話してくれた。

「ウィンはどうするの?」

シャルルが聞く。


「私は……西の国に災いが来なければいい……

西の国に来た全ての虫は何とかする……」

ウィンはそう言うが震えていた。

「ウィンって虫嫌いなの?」

セリアが聞く。


 セリアに聞かれて、ウィンはわなわなしだす。

「嫌いだ!


あんなのが生き物だと言うことが……

数万年生世界を見て来た、私ですら信じられない‼︎


レストランに行って!

床に黒くツヤツヤした未知の生き物が這ってたのを見た私は……

その店を呪ったこともある!」

(呪っていいと思う……)

シャルルは共感を覚える。

(あれセリアは?)

セリエがセリアがいない事に気がついた、見回すと庭でこそこそしている。



「なんなの?

なんであんな物を神は作られたの?


なんであれが生き物なの?

なんで……」

ウィンが膝をついて泣いている。

世界を破滅にまで追い込んだ、風の魔女ウィンが涙を流し絶望している。


「そっそんな……

泣くことじゃないと思うよ」

セリエが困りながら言う。


「泣きたくもなるわよ!

罪を重ねなければ、ソテリア様が私と一緒に暮らしてくれるって言ってくれたんですよ!


虫に命があるだけで!

見ただけで倒せないのよ!

魔女じゃないあなたには解らないよ!」

ウィンが必死に訴える。


(いや……その……家にいる黒くてツヤツヤした子はやっつけていいと思うよ……)

セリエは困りながら聞いていると、セリアがやって来て、握った手をウィンの前に差し出した。

 ウィンが気付いた時、セリアがパッと手を開いた。



 そこには、黒くてツヤツヤした生き物がいた……。

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

ウィンは気絶した。


 シャルルとセリエはわなわなと退いた……

「勝った……」

セリアも実はかなり我慢しているが、ウィンに勝ちたかったのだろう……

凄まじい執念を見せるが、意味が違い過ぎるのは、シャルルもセリエも解っていた。


 そしてセリアは黒くてツヤツヤした生き物を庭に逃して、我慢しながら耐えながら嫌だけど、優しいセリアは言う。

「が……頑張って……頑張って増えるんだよ」

「人の家でふやすなーー‼︎」

シャルルが叫んだ。


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