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5.PCR検査を国民全員に! 百万人/日ペースでも四カ月かかるけど

夏日ということで、今日(2020年05月01日)は暑かったですね。無理をせずエアコンを使っていきましょう。

2020年05月01日、ステイホーム期間の連休初日の方も多いと思います。全国的に晴れの天気が多く、夏日ということもあり、例年であれば、水辺で遊んだりと、アウトドアの活動も賑やかになり、各地でイベントも催され、旅行に行ったり、帰省したりとエンジョイしていましたが、今年は巣籠り。折角、現状維持か減少傾向がでてきた新型コロナウィルスの感染者を、ここで気を緩めて増やしたら元も子もありません。

休日が続くこともあり、各地の商業施設を閉めている今こそが、日本人が行える最大限の外出自粛効果を測れる期間と言えます。平日と違い、出勤している方も大きく減っており、エッセンシャルワーカー(生活を営む上で欠かせない仕事に従事している人々)の皆さん以外は、巣籠りしてても問題ない訳ですから。


まぁ、結果は一週間、二週間後なので、のんびり過ごすこととしましょう。


さて、厚生労働省の新型コロナウィルス特設ページを見ると、入院を必要とする人数(+138名)に対して、退院した人数(+92名)とやはりまだまだ差は大きいです。

 ※以下の表は厚生労働省の新型コロナウィルス特設ページのものです。


挿絵(By みてみん)


ちょっと探してみたら、Yahoo! Japanの「新型コロナウィルス感染症まとめ」で、国内発生状況の累計グラフで「累計感染者数」と「累計退院者数」が出ていました。この「累計感染者数」と厚生労働省の「入院治療を要する者等」の数値とのことです。大まかな入院者数と退院者数の割合把握に使えそうですね。

残念ながら、グラフを見る限り、入院者数増加に比べて、退院者が伸び悩んでおり、一度、入院が必要なくらい悪化すると、なかなか回復しないことが見て取れます。(本日の専門家会議の会見でも話が出てましたが、1度入院すると、平均入院期間は2~3週間という話のため、なかなか入院者数は簡単には減らないとのことでした。)そういう意味でも、人同士の接触による感染を抑えるという初期対応が必要ということがわかります。


頑張るのは国民自身。誰かに助けてくれ、と言っても仕方なし。

行動変容を国民が成し遂げないと、この状況は改善できません。


目に見えず、自覚症状もでない、そして誰でも他人を感染させる可能性がある。新型コロナウィルスの性質が極めて厄介で、考えられる限り最大の注意をしているであろう政治中枢、昨日のニュースではロシアの首相が感染し、副首相が業務代行をする旨が発表されていました。これまでの政治であれば、大半の人が従い、従わない身勝手な輩は警察機構で取り締まれば治安を維持できてました。

これまでの感染症であれば、症状の悪化したわかりやすい人を隔離していけば、蔓延を防ぐことができました。


でも、今回の新型コロナウィルスはそうじゃない。問題のある人を見つけて処罰する、隔離する、治療する、という最初の「対象者を識別する」が困難です。


そういう意味で、これまでの歴史の中に答えのない新たな難問と言えるでしょう。





さて、そんな「要治療者を識別する」のに活用されているPCR検査。

先日の文春の記事で、より正確な感染率を調べるために週1回、国民全員にPCR検査を行うことをイギリスの公衆衛生の専門家達が提案した、なんてのがありました。

日本の報道を見てても思いますが、医療の専門家なる方々は、医療という視点「だけ」で語る人が多く、言うは易く行うは難しの典型例に思えます。


先日、ドイツが検査の実施数を増やして、50万件/週になってるそうです。凄い件数ですが、ドイツの人口は8302万人。これ、人口の僅か0.6%にしか過ぎない人数なんですよね。


で、検査ですが、無料じゃないし、手間もかかるし、先日、新型コロナウィルスのPCR検査を行うための検体採取は、歯科医師が特例で検査に協力できるようにするとの宣言があったように、医療従事者なら誰でもできる訳ではありません。

 ※検体ごとに陽性率は異なっており、気管支肺胞洗浄液が93%、喀痰が72%、鼻ぬぐい液が63%、咽頭ぬぐい液が32%とのこと。


……そんな簡単に増やせるなら、お医者様になるのに多額の資金と時間が必要な訳がありません。


例えば、なんとか頑張って、人も物も金もつぎ込んで、日本で100万検査/週で行えるとしてみましょうか。国民は1億2700万人いるので、検査終了までには、127日、約4カ月かかる計算ですね。


時系列も127日の期間に分かれている過去4カ月分の検査結果。

それに何の意味があるんでしょう? 日々、人は活動し、感染状況も刻々と変化しているというのに。


でもまぁ、そこをなんとか、そう、例えば、素人がやっても100%、検体採取ができて、どこかの施設に持ち込んだりする必要もなく、新型コロナウィルスの判定ができる検査キットが完成して、しかも1億2700万セット/週のペースで生産し、しかも、国民に定期的に配布できる体制も整えたとしましょう。


なんか、言ってて無茶苦茶だとは思いますが、まぁ、それを前提として。


楽天の新型コロナウィルス検査キットが14900円とかで販売するという話がありましたが、諸々の費用込みで、上記のスペシャルな検査キットが1万円でできるとしましょう。


で、検査結果はなんか凄いことに全国民からすぐ集計できるシステムも、なぜかすぐに出来上がって、運用もすぐ行えるとしまして~。


……では、費用がいくらになるか計算してみましょう。検査一回あたり1兆2700億円! いやー、凄い金額ですね。量産効果もあって、切りよく1兆円/週の検査支出ってことにしましょう。システム構築費用とか運用費用とかも込みで。破格の大安売り、お買い得です。


10週間続ければ、今回、国民全員に行動自粛を支えるために10万円配布することにしましたが、その額が約13兆円(経費込み)なんで、それとほぼ同等です。


日本の新型コロナウィルス感染を受けて、総額108兆円という膨大な予算を組んで話題になりましたが、実際は真水(現金)は39兆円とも言われてます。全国民PCR検査を12週間続けて、12週間=3カ月として、3カ月=30万円を全国民に配ったら、真水は蒸発することに。


……そんなアホな金の使い方なんてないですよね。


だいたい、国民のどの程度の人数が罹患しているかなら、献血を利用した抗体検査で合計1000検体から、過去に感染した率を調査しており、全体を把握するだけならこれで十分です。(国民全体の傾向を調べるのにこの人数でなぜOKなのかは、「アンケート調査の必要サンプル数計算ツール」とかを使って確認してみてください)

 ※第一回の調査結果は2020年05月01日に発表するとのことでしたので、後でこの部分に追記するようにします。



国民全員のPCR検査結果をして、それら全員の行動履歴も取るようにして、感染経路を明らかにして……言うだけなら簡単ですが、実際には人も物も金も時間も仕組みも法律も、何もかもそんなものを実現するには、まるで足りません。


今から数十年後であれば、全ての人がネットに常時繋がり、生体バイタルデータや、位置情報等が利用できるかもしれませんが、2020年の現代ではまだそれはSFの範疇です。





都市封鎖ロックダウンしないと感染爆発を防げない、でも、都市封鎖ロックダウンをすれば、経済活動が止まり、経済困窮者が溢れて国が壊れる。

政治家の皆さんは、今、正解なんてわからないまま、その舵取りをしなくてはなりません。


ブラジルのボルソナロ大統領が累計死者5000人を超えたことに「それで? 残念なことだ。でも私にどうしろというのか」と発言したのも、気持ちは凄くわかりますね。言い方は正直過ぎますけど。


一部の医師は、人、物、金、時間、法律など気にせず、極論を話してますが、我々は現実世界に生きてます。素人が軽く手計算する程度で破綻が読み取れるような記事は、それこそ、不要不急の報道でしょうから、控えて欲しいものです。



<補足情報>

PCR検査はそもそも最大でも70%程度の確率でしか陽性を検出できません。30%の確率で擬陽性(陽性なのに陰性と判定される)が出るという検査方法です。ですから、検査前に、ある程度、症状を見たり、CT検査するなどして、新型コロナウィルスだろうと当たりを付けてから、最終判断するのに使うしかありません。

それに、インフルエンザでもそうですが、初期過ぎると検出できるだけ、ウィルスが増殖してないために、陰性と判断されるといった具合に、検査する時期も重要です。

あと、今回の新型コロナウィルスの場合、検体採取をどの部位で行えば最適かもまだ判明していないこともあり、採取した部位での増殖が少なければ、やはり陰性になります。


簡易検査キット(検査にかかる時間を大幅に短縮)と言ったものも、2020年05月からちらほら導入され始めるようですので、それらが有効と判断されれば、日本の検査数も今後は大幅に増えていくと思います。そちらに期待しましょう。

簡単が沢山集まると大変になる、シンプルな話なんですけど、なぜかそのあたりを無視した論調を見かけることが多いので、今回の話を書いてみました。実際にはこれに検査するために集まることで感染が広がる、なんて本末転倒な話も追加されてくるので、なおさら、国民全員を~なんて話は論外とわかります。


各国の色々な資料とか観てればわかるんですが、統計データを定期的に取れるだけでも、実は凄いことで、調査も集計も膨大な手間と金と時間がかかるのだとわかります。


だいたい正確な人口を数える程度の話だって大変だというのに……。


例えば中国では黒孩子(一人っ子政策に反して生まれたため、届け出されていない無戸籍児)が1500万人!もいるというのは有名な話です。感染者数を数十人とかの単位で正確にカウントできること自体、本当に可能なのか疑問です。

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さて、最後に宣伝です。
私も一つ連載小説を投稿してまして、
彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』になります。
よろしければご覧になってみてください。。

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