18.緊急事態宣言(4回目)、範囲も期間も拡大中
緊急事態宣言(四回目)も対象地域増加と期間延長がほぼ確定という状況となった為、、近況と、新型コロナウィルスで亡くなる率と、肥満率の関係について表を更新してみました。
2021年07月12日から始まった緊急事態宣言(4回目)も、21都道府県に拡大し、9月12日の終了予定も延期する見込みとなってきました。世界各国と同様、デルタ株の蔓延がペースアップしていて、新型コロナで救急車を呼んでも搬送される確率は9.5%、自宅待機の感染者も十万人を超えています。重症者対応ベッド数も東京都は8月25日時点で94%使用中となっており、高度医療枠がパンクしている状況です。
猛暑と大雨があったせいか、思ったよりも人出は抑えられた感じで、その割には感染者がぐんぐん増えてるところがデルタ株の特徴と言えそうです。その危険性も、当初の武漢ウィルスの頃よりも、かなり早く、数日で健康な人が重症化してしまう特徴があり、以前とは別物と考えた方がいいと発言する医師も増えてきています。
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さて、新型コロナウィルスによる人口あたりの死者数と、肥満率の関係、その更なる続報です。赤い地域が多くなり過ぎたので、色分けを簡素化しました。地獄の窯の底が抜けた状態のペルーだけは色を黒にしてます。こうして見ると、2021年04月の時点と比べて、東南アジア地域の悪化が目立ちますね。ただ、それでも全体的に見ればまだだいぶマシな状態です。
インドは一時期の感染爆発時に比べると10%とかなり落ち着いてきてますが、感染爆発しきって生き残れなかった人があらかた亡くなったからであって、上手く防いだ結果ではありません。ロシアはロシアで当局発表値より実際の死者が2倍多いなんて報道も出ましたし、あれだけあちこち封鎖して大規模水害が発生してる中国は死者数の変化なし、といったように、各国発表の死者数も単純な比較は意味がない状態です。今、見るとしたら感染状況が増えてるのか、減ってるのか、現状維持なのか、その傾向を掴む程度と考えた方が妥当です。
<インド>
インドの感染爆発は最大時点の10%にまで収まりました。しかし、これは医療の勝利ではありませんし、イベルメクチンの接種や、ワクチン接種が行われたことによるものでもありません。それらも行われましたが如何せん、量が足りず、爆発速度にとても間に合いませんでした。結果として感染するだけして、耐えられなかった人が亡くなった、だから収まっただけでした。国民の七割に新型コロナの免疫がある、なんて報道も出てますが、これがどれだけ酷い状況にあったか、イメージできるでしょうか? 日本の感染者の例でいくと、免疫を持った人が数%程度と少なく、感染が続いても国民の七割が免疫を持ち、感染が終息することはない状況でした。これは、新型コロナのウィルス被曝量が少なく、通常の自然免疫で対処できてしまい、獲得免疫を得るに至らなかったと考えられるからです。
ならインドの場合はというと、それだけ多くの国民が獲得免疫を得るほどの重い症状に遭ったということです。何せ、水も空気も汚染が酷く年中、体調を崩していると言われるインドですから、インドの平均年齢は28.4歳と若者が多いという好条件はあるのですが、元々の基礎体力、免疫も落ちた状態からスタートしてるのは確実です。
あと、実は公表されている死者数の十倍くらい亡くなってるのではないか、との報道も出ています。
<イスラエル>
4月時点ではピークに比べて2%と、コロナ後はこうなる、と意気揚々としていましたが、現時点では、ピーク時の97%と感染増加が止まらない状況です。宗教上の理由から、ワクチン接種をしない人々が結構な人数いるので、その辺りも影響を与えている事と思います。新型コロナは信仰の区別はしませんから。
<アメリカ>
軍人や教師といった人達にワクチン接種を義務付ける動きが出てきてます。ワクチン接種も進んではいますが、そのペースはだいぶ鈍化してきてます。最大の問題は、やはり宗教や陰謀論に傾いた人達が多いところで、ワクチン接種する人にあれこれプレゼントしたりと、接種率を上げようとしてますが、だいぶ苦戦してます。ワクチン接種回数(累計)は3億6791万回と、なかなかのペースですが、一人に2回必要と考えると1億8000万人接種で、アメリカの人口は3億2716万人ですから、半分を少し超えた程度。だいぶペースダウンしているのは間違いありません。
<南米>
南米のチリやアルゼンチンなど、中国製ワクチンのシノワームを熱心に接種した国々は、ワクチンによる死者数削減効果が全く働いておらず、酷い状況になってます。今後は欧米産のワクチンを使うとの事。当然でしょう。一時、ワクチンの筈が中身はただの生理食塩水だったなんて酷い話もありましたが、続報はなかったので、シノワームに死者数軽減の恩恵が無かっただけと考えられます。それにしてもペルーの死者率は地獄です。
<ロシア>
あれだけ喧伝していたロシア産ワクチンですが、国民への接種は遅々として進まず、感染者増にも歯止めがかかっていない状況です。
<特定アジア>
北朝鮮は感染者ゼロの宣言は未だ変わらず。韓国も一度、陽性になったら一週間後に改めてチェックしてそこで陽性なら陽性者としてカウント(早めに回復した人はカウント対象されない)という独自方式を取ってるので増減程度しか参考にならず。
そして中国は大洪水が起きても、規模に対して死者数が極めて少なく、国内で感染者が出てあちこち封鎖し、マンション入り口を溶接して封鎖何ぞもしてる有様なのに、何故か新型コロナの死者数は変化なし。海外に提供している中国産ワクチンの残念な結果を見る限り、中国国内でのワクチンの恩恵はやはり低いと見るのが妥当です。事故車両を調べもせず埋めちゃう国なので、何が本当なのか分からない、案外、共産党すらまともに把握できてないと言うのが実状かもしれません。
<イギリス>
感染者は増えているものの、ワクチン接種の効果で、重症者や死者は大幅に抑えられているので、経済優先で活動を再開することを決めました。大きな博打だと揶揄されており、実際、競技観戦を通じて大量の感染者が出ています。それでも楽しく生活をしている彼らを見ると、ある程度のリスクは負うしかないのかな、と思えます。ただ、まだ始まったばかりなので、日本がワクチン接種をあらかた終える2021年10月頃にどんな状況になっているか気になるところです。
<日本>
高度医療枠がパンクして、自宅療養者が十万人を突破しました。冒頭にも書いたように、新型コロナ感染者が救急搬送をお願いしても、受け入れ先病院に空きがなく、9.5%しか搬送されない状況です。大きな幹線道路沿いで、救急車が何時間もずっと停まっている(搬送先が決まらないので動けない)光景もよく見かけるようになりました。
ただ、自宅療養者=重症者ではなく、その多くは自覚症状なしか、軽度の症状です。
新型コロナで亡くなっていく人数も十名とかそんなレベルで、統計的にはさざ波レベルなのは間違いありません。他国と比較すれば、日本の状況がどれだけ落ち着いてるかわかります。
また、国民への啓蒙、意識付けが効果を発揮しているようで、ワクチン接種も予想を大きく上回るペースで進んでおり、確保したワクチンの供給が追い付かない程です。2021年8月26日時点で、2回接種者も五千万人を突破しており、2021年10月頃には、希望する人へのワクチン接種はあらかた終わる見込みとのことで、これは良いニュースと言えるでしょう。
現在、病院に担ぎ込まれている人の大半は、ワクチン接種をしていない人で、ワクチン接種者に比べて、非接種者は搬送される率が29倍も違う、なんて報道もあるくらいです。今のペースでワクチン接種が進んでいけば、医療体制への負荷も減っていくことでしょう。
オリンピックも、辞退国は殆どなく、あれこれ文句は出てたものの、無観客開催にしたこともあって、感染者数はたいした数にならず、各国からその対応を賞賛される程でした。
自分達は我慢しているのにオリンピック開催するぞ、とブレーキとアクセルを同時に踏まれた、と認識した一部の人達が、あちこち繰り出してましたが、彼らは、我慢しない理由を探していただけですから、オリンピック開催をして問題があったとすれば、彼らにその理由を与えた事くらいでしょう。
酸素供給が必要な人を収容するステーションも運用が始まりましたし、渋谷で若者向けにワクチン接種会場を開いたところ、すぐ満員になりました。運用すれば問題がでて、それでも見直して進めていく、といった具合ではありますが、着々と対応は進んでると言えるのではないでしょうか。
毎日三千人以上が亡くなる日本において、数十人亡くなる病、というのが、最優先される病なのか、経済を止めて、日本全体を壊死させてまで止める話なのか、本来は議論すべき時期です。
実際、欧米各国では、日本より感染状況も死者数も遥かに酷いけれど、経済優先に舵を切ってるのですから。
ただ、野戦病院的な施設を作る、という話が出ており、大阪府はかなり乗り気で、千人規模で作ると言ってますが、ホテル利用の隔離施設ですら脱走者は出るわ、利用率六割とか言ってる状況で、残暑も厳しい中、野戦病院に担ぎ込む策が上手く行くか、ちと疑問はあります。自宅に要酸素吸入者が散ってるよりは集めたほうが処置が素早くできるし医師の数も少なくて済む、という話なんでしょうけど、病は気からの話もあるように、何百人と収容されてる大部屋であちこち逼迫した医師達の治療が聞こえて、それで体調が悪化しないかというと、やっぱり引き摺られて悪化する人がぞろぞろ出そうな気がするんですよね。だからこそ個別隔離しよう、という話だった訳で。
それよりは確保した予算も余ってる状況なのだから、これまで以上に隔離に協力してくれるホテルを募って、そこに希望する自宅療養者を隔離するほうがいい気もしますが……。
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ワクチン接種は、あくまでも時間稼ぎであり、医療体制への負荷を軽減する効果が得られるもので、効果もずっと続くものではありません。幸いにして、本命たる治療薬の開発の報もちらほらと出てきているので、治療薬が供給されるようになり、インフルエンザくらいの対応で済むようになれば、枠を五類に変更して、そこらの町医者でも治療を受けられるようになるでしょう。まぁそうなると、治療費は全額を国が負担で無料の状態から三割負担に変更になるし、治療薬があっても、別に新型コロナの感染力が衰える訳ではないので、コロナ前の生活スタイルに戻れるかというと、それは無理と思いますけれど……。
<補足1>
信じられない事に、日本では最近でも、アナウンサーがPCR検査をして陰性証明するといった施策も必要だ、などと発言して、ネットで袋叩きに遭いました。検査した瞬間の状態しかわからず、それも最大でも検出率7割しかなく、しかもPCR検査自体、スクリーニングには使えないと言われてきてるのに、そんな話をアナウンサーがする、というのは衝撃的でした。ワクチン接種の証明証発行はあちこちの国が求めてたりもするので、わからないでもないですが、新型コロナだけを高精度かつ漏れなく検査する仕組みでも開発されてから、そういう戯言は言って欲しいものです。
<補足2>
イベルメクチンは効果があるとの主張もあり、日本でも北里大学病院で四千人を対象とした治験が行われているので、その結果待ちです。テレビに出ている医師が二百人に処方して回復したという話もしているけれど、偽薬を用いた場合との対照治験もしておらず、また人数も少ない。実際、効果あり、なしどちらも医師の報告はあるので、どっちに転ぶかは、まだわからないです。
<補足3>
WHOが三回目のブースター接種に否定的見解を出したけれど、これ迄の話からして、効果ありでしょう。WHOがこれ程信頼を失う事態になるとは思いませんでしたし、今でもマスクに意味はないと言ってたテドロスがトップに居座っているのが残念でなりません。
<補足4>
mRNA技術は、インフルエンザワクチンにも使えるそうです。これまではB細胞にしか働かなかったものが、キラーT細胞や、ヘルパーT細胞も働かせるようになるので効果はかなり高まるとの事。なので、それらが普及するようになれば、インフルエンザでの死者数も大きく減る事に繋がるでしょう。ワクチン接種したのに効かない、という話も減ってくる筈。
<補足5>
人は万に一つ、みたいなレアケースは無視する性質があるそうで、毎年、登山者が数千人単位で遭難してるのに、一向に電波発信器を持てるサービス(安価)や、登山計画書の提出などが普及していないのも、この性質故だそうです。年会費四千円程度で、電波発信機は五センチくらいの大きさで軽くて薄く、専用の受信機を搭載したヘリなら最大16kmでも探知できる優れもの。山での遭難は少しでも早く救助することが命を救うことに繋がるので、これはありがたい話です。えっと、新型コロナに絡めた話に戻すと、これだけ騒がれてますが、新型コロナに感染して、重症になって酷い目に遭う、亡くなる確率は高くありません。大半の人は自覚症状なく回復してしまいます。つまり、登山者と救難サービスの関係と同じです。これを自覚させて、リスクを回避するための支出を皆が自主的に行うようになる……新型コロナ対策の徹底は、それと根は同じです。
本来なら、認知度を上げて、啓蒙活動を行い、対象となる人々の教育水準が高まれば、自然と合理的な判断をする人が増えていく……筈ですが、まぁ、そうはなってくれません。認知バイアスがかかって、手間を掛けない理由を見つけて対策しない自分を納得させる、マスコミの過剰な煽り報道に乗せられたり、と残念な人はなかなか減りません。
実際、新型コロナは風邪だと吹聴していた議員(立花孝志)が、新型コロナに感染し、退院直後こそ殊勝な態度を見せたものの、結局、元の主張に戻ったように、痛い目に遭ったからと言って、理解が進むとは限らないのが実状です。話をすれば人は分かり合える、なんて戯言は幻想だということも、今回の新型コロナで痛感した人も多いでしょう。
ここ最近、感染者が増えて、重症者も増えて、自宅療養者も増えてと、大変な中、政府批判的な報道が大半を占めているので、ちらほらと出てる数少ない他国との比較をした記事などを参考に書いてみました。
日本って、過密&高齢社会&物流網中枢という悪条件の中ではかなり善戦してるんですけど、普段の報道を見てるとなかなかそれが感じられないのは残念ですね。