17.新型コロナウィルスの死者率と肥満率の密接な関係(その4)
緊急事態宣言(三回目)が始まったため、近況と、新型コロナウィルスで亡くなる率と、肥満率の関係について表を更新してみました。また、参考情報として「感染者数のピーク時との比較と変化状況(増えてるか、現状維持か、減ってるか)の列も追加してます。
<修正>
日本の感染者数増について、秋→夏に修正。(2021/4/28 00:29)
2021年04月25日から、四都府県(東京、大阪、兵庫、京都)で緊急事態宣言(三回目)が始まりました。今回の期間は二週間(4月25日~5月11日)。その前の蔓延防止等重点措置で、感染者数、重傷者数、死者数を抑えることができなかったことから発動されました。
様々な施設が休止しており、今年のGWも静かに過ごすことになりそうです。
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さて、新型コロナウィルスによる人口あたりの死者数と、肥満率の関係、その更なる続報です。最初の掲載から一年近く経過しましたが、全体の傾向はあまり変わりません。
今回は、死者数の情報とは別に、感染者数のピーク時との比較(%)と増減傾向(増加[↑]、現状維持[→]、減少[↓])の列を追加してみました。
左側が感染者が多い上位16か国と、よく注目される2国(スウェーデン、ポルトガル)の人口、新型コロナによる死者数、死者数を人口(万人)で割った死者率、それに肥満率と南半球に位置している国かどうか示しています。ちなみに肥満率とは人口に占める体脂肪率30%超の肥満者の割合でWHOが発表しているデータです。……世界はデブで満ちている、驚きです。
※日本人は体脂肪率25%を超えると肥満と認定して治療対象としていますが、これは日本人は遺伝的に体脂肪率が高まると、生活習慣病などの問題が多発してしまい、海外ではごろごろいる体脂肪率30%とか40%なんてレベルに行く前に亡くなることが多いからなんだそうです。
そして、右側は、新型コロナウィルスに対して死者数がとても低いと話題になっている東アジア、東南アジア、大洋州の国々を示しました。少し欄が余ったので、左右の表に出てこない残りの人口1億人超の3か国(ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ)を追加しています。
それと、感染者が急増している国(南アフリカ、コロンビア、ポーランド、ウクライナ、オランダ、カタール、アルゼンチン、チェコ、ベルギー、ルーマニア、イラク)を追加しています。
死亡率の色分けは同程度の数字を私のほうでグループ化してみたものです。赤い方が死亡率が高く、水色がとても少ないことを示しています。
今回から追加している「ピーク時比と変化」列を見てもらうとわかる通り、インドは現在、ピークを毎日更新する爆発的な感染者増に陥っています。それ以外にもほぼピーク状態を示している国がちらほらとあり、それ以外にも50~90%くらいで増加傾向、現状維持を示している国もあります。南半球は現在、これから寒い時期に突入していくだけに心配です。
<インド>
インドがかなり酷い事態に陥ってますが、先月時点では、そろそろ新型コロナとの戦いも終盤だろう、などと言ってました。ワクチンの製造大国でもあり、ワクチン接種も順調で、感染率も低く抑えられていたからです。
ところが、そんな条件下では、宗教的行事(クンブメーラ祭り:ヒンドゥー教の大規模な沐浴)を中止にはできないとして、今月頭にそれが実施され、延べ500万人からの人々が、外ではあっても、密な状態、マスクも付けず沐浴しまして、で、感染爆発しました。
せめて、日本の正月のお参りと同様、一か月くらい期間の幅を広げて、一度に入る人数を制限して、ソーシャルディスタンスを空けて、マスクして、静かにして、とやってれば、状況はかなり違ったと思うのですが、後の祭り。
酸素吸入器も不足し、医療施設もパンクして、軍や欧米諸国も緊急支援を始めています。
ただ、死者数を見るとわかるように、人口との比率でいくと、まだアメリカの一割に満たない状況です。EUやアメリカの感染による死者急増がどれほど悲惨だったかがわかります。
世界各国でも、感染者数、死者数の増加傾向が明確に出てきてますが、これは新型コロナウィルスが変異し、感染率や重症化率が高くなっている特徴があり、これが猛威を振るっています。現在、前例のない速度で製造されているワクチンの効果が一割程度にまで落ちる、という情報もあり、予断を許さない状況です。
また、更に変異した三重変異株(更に感染力が高くなっている)を発見した、との報もあり、ワクチンを大量生産、皆が接種すれば沈静化していく、という甘い見通しは崩れ去ろうとしています。
<イスラエル>
表には出してませんが、国民の殆どへのワクチン接種が終わり、感染者数もピーク時の2%程度で安定しているため、屋外でのマスク不要宣言が出ました。まぁ、日本でも、熱中症を防ぐ意味もあり、ソーシャルディスタンスを維持できるなら、屋外でのマスクは不要、と通知してますが、だいぶ意味合いは違う感じです。
報道されている映像を見ると、マスクなしでダンスパーティとか屋内でやったりしてて、コロナ後の光景がそこにはありました。
……確かに新型コロナでの死者報告がゼロになったりもしてますが、本当にそこまで安心しきっていいのか、疑問があります。
まぁ、常に臨戦態勢の国だけあって、国境封鎖能力は陸続きでありながらも、海で隔てられた国並みなので、今後も案外、上手くコントロールしていくのかもしれません。
ただ、総人口933万人という小さな国で、国民が全員兵士として訓練を受けているなど、普通の国とは言い難い特徴が多いので、今後の施策の参考例としてどれくらい役立つかというと未知数なところはあるでしょう。
<アメリカ>
4月10日時点で、少なくとも1回はワクチン接種をした人が一億人以上(人口の31%)となりました。いざという時は行動力があり、人も金もある大国なので、こうなると心強いものがあります。このペースなら年内にはほぼ100%まで行く(強制ではないので、数%は未接種が残りますが)でしょう。その時に、イスラエルと同様の光景が実現できるのか、気になるところです。
<南半球の国々>
ブラジル、ペルー、チリ、アルゼンチンの感染者数がかなり多く、今後は寒い季節となることから、急増していくことが懸念されています。メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドは低めで、このまま、キープできるか気になるところです。
<日本>
ワクチンを接種すると、新型コロナの後遺症が改善されるという情報も出ており、ワクチン接種の効果に期待したいところです。ただ、ワクチン接種+三密回避、のようにこれまでの施策を組み合わせないと、夏頃には増加していくのが避けられない、との予想が出ています。
日本の場合、インドのような宗教的暴走はありませんが、食事処で食べ終わってもマスクをせず話をしているオバチャン達とか、酒を飲みつつ大声で話をしているオッサン達を見ていると、緊急事態宣言を出す前から、三密を回避するなど対策に取り組んでいる層への+αの上積みがどれほどできるか、ちと微妙な気はしてます。
インドの惨状がばんばん放送されているので、それによる抑止効果は多少は期待できそうですが……。
<中国>
ずっと情報が出てこないので、現状は誰もわかりません。本当に感染者数がほぼゼロ、死者数ぜロなら、多くの地域で行動制限をしてる訳もないので、実情はかなりものがあるでしょう。中国産ワクチンの効果はかなり低い(16%とか)報道も出てきているので、一部で言われているような「中国は予め効果のあるワクチンを保有していた」というような都市伝説は誤りだったと言えそうです。そもそもGNPですら、中国で正しくそれを把握している者はいない、とトップが認めているくらいですから、感染者数、死者数を完全に把握できている、とそこだけ認めるのは、微妙な話でしょう。
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幸い、メッセンジャーRNAワクチンは変異に合わせて、短期間に設計を変更して生産開始できる特徴があるので、新型コロナウィルスの変異に合わせて、ワクチンをバージョンアップしていくことはできそうです。また、まだ動きは鈍いものの、感染者増の地域では次々に新型コロナウィルスの変異種が生じることから、ワクチン確保に難儀している国々へのワクチン提供の流れも始まろうとしています。
膨大な資金を必要としている施策(1回分=225~1860円)で、世界人口(78億)全員に2回分のワクチンを提供するとして、価格は概算1000円とすると、78000億=7兆8千億円となりますが、それって、この前、日本が国民全員に十万円ばら撒いた施策(1.2億人×10万円=120000億円=12兆円)に比べるとわかるように、それが十分実現可能な額とわかります。
ちなみに、2020年の世界の軍事費は前年比2.6%増の約213兆7千億円なので、軍事費の4%程度を捻出するだけで、全員にワクチン提供くらいできるぞ、って話だったりします。
そう考えると、こんな時くらい、軍事費を抑えて世界が一つになって動いて欲しいところですが、それを望むのは詮無き事なのでしょう。
それでもうまくいけば年内には、遅くとも来年にはアメリカ+EUのワクチン接種が一旦完了するでしょうから、そうなれば、状況は大きく変わってくる筈です。
<補足1>
こんな状況ですが、まだ、東京オリンピックの開催という方針は揺るいでません。各国から選手団を招けるのか、という根本的な問題もあり、もし開催したとしても、1980年のモスクワオリンピック(参加国81)並みに参加国は少なくなるんじゃないでしょうか。
準備不足との話も多く、あと三か月で本当に開催するのか、開催中に感染者が出たらどうするのかなど、疑問は尽きません。
選手、関係者などせめてワクチン接種2回を全員行うくらいはしないと、スタートラインにも立てないと思いますが……。
緊急事態宣言も、期間が過ぎたら自動解除ではない、とのことです。
なので、場合によっては緊急事態宣言下での東京オリンピック開催、という流れもありそうです。
<補足2>
こんな惨状ですが、中国の軍拡ラッシュが止まるどころかブーストがかかっています。台湾領空へ多くの戦闘機が侵入するなど、空気の読めなさは驚くレベルです。イギリスの空母打撃群が日本を含めた地域にやってくることも決まりましたし、何とか新型コロナ騒ぎが落ち着いてくるまでの期間、EU+アメリカ+日本が圧力を掛けることで、中国の暴発が防げればよいと祈るばかりです。ソ連とアメリカが睨み合っていた冷戦期とは、対峙の構図がまるで違うだけに、今後も当面の間、混沌とした状況は続くでしょう。頭が痛いです。
<補足3>
世界はこんな惨状ですが、ロシアも十六万もの軍を一時、ウクライナ付近まで展開して、EU(四万)と対峙する状況でした。そんな数の軍を感染者増をさせずに展開、なんてできる訳もないので、今後、感染者数が増えそうですが、ロシアも、途中で公表してた感染者数や死者数が違っていた、と四倍も跳ね上げた前科があるだけに、今後、どうなるのか気になるところです。
グラフを更新してみると、やはり肥満率が高い=死者が多い、の図式は変わってませんでした。今後、インドでも多くの人が亡くなるのは避けられませんが、それでも人口比で行けば、アメリカやEUに比べれば、大きく下回る状況は変わらないと思います。
ワクチン接種が進むことで、状況が好転することを祈りましょう。それまで我々ができることは、実はこれまでと何も変わりません。
・三密を避ける
・手洗いうがいをする
・マスクをする
・痩せる
・適度な運動をする
・精神的なケアを欠かさない
短距離走ではなく、マラソンのつもりで無理のない範囲で続けていきましょう。