13.緊急事態宣言の全国解除(2020年05月25日)になりますが……
緊急事態宣言が全国で解除されることになったので、ちょっと情報を残すことにしました。
2020年04月に実施された緊急事態宣言も、明日、05月25日に全国で解除される見通しとなりました。本日(2020年05月24日)時点での「入院治療等を要する人」は2130名となり、「退院又は療養解除となった人」は合計13396名になりました。退院された方おめでとうございます。
以下、記録してなかったところは青点線で補足してますが、ステイホーム期間(2020年のGWの別名)、多くの国民が行動変容をして、外出を控え、三密を避けて、外出時にはマスクをつけることで、他者への感染を防ごうと皆が努力した結果、以下の図のように、05月08日時点では7000人近かった入院を必要とする人が、05月24日時点で2130人と、大きく減ることになりました。新型コロナウィルス感染者に対応するために確保していたベッドも9割が空く状態にまで回復したそうです。
新型コロナウィルスが感染から発症までの平均日数は5.7日と言われているので、05月14日に39県の緊急事態宣言解除、05月21日には京都、大阪、兵庫を解除、そして05月25日には残る北海道、千葉、東京、神奈川、埼玉も解除されますが、39県の解除後に感染増に転じていないように見えるのは良い傾向です。
39県は元々、感染者数が少なめでしたので、関西3府県で考えてみると、1週間後は5月28日、2週間後は6月4日あたりに感染者数がどう変化していくのか、が注目の集まるところと思います。
上記図の緑線のように、皆が行動変容をした結果、入院者数が減少していくというのが望ましい姿ですが、自粛解除の結果として、赤線のように減少傾向にブレーキがかかり、増加に転じてしまうかもしれず、その予想は誰にもできません。
なにせ、現状は「感染者数を抑えたが、感染しなくなった訳ではなく、南米や中東などでも感染者増が続いており、世界的に見れば収束には程遠い」のですから。
誰かが頑張ればなんとかなるのではなく、全ての国民が行動変容を続けないと、減少傾向は続かない、それが現実です。
その時々の状況に応じて臨機応変に対応していくしかない……政府(都道府県首長含む)の苦労を思うと胃が痛くなってきます。
ちなみに、アメリカのニューヨーク州は人口1945万に対して23195人が亡くなっています。それに対して、東京都は人口927万に対して271人が亡くなっています。人口差を考慮してもニューヨーク州は東京都に比べると約43倍もの死者が出ており、感染爆発の恐ろしさがよくわかります。
一歩間違えれば日本もそうなるかもしれない、そうならないかもしれないが、誰もそれを保証できない……それでも経済を止め続けたら死んでしまう……解除はできるだけ早く行わなければならない……極めて難しい舵取りと思います。
◇
最近はやっと、PCR検査しろしろ、というマスコミの煽りも少なくなってきましたが、今度は、「日本の感染者増加を抑えられたのは国民が頑張ったから」という論調が増えてきました。
失敗したら政府のせい、成功したら国民頑張ったね
……何かおかしくないでしょうか。
幸い、ニュースへのコメントなどを見ている限りでは、政治は結果で語るモノ、それならば日本政府は十分、対策に成功している点は評価すべきだ、という論調が多く見受けられるのは幸いでした。
テストで60点取れば、40点足りないと怒られて、70点取れば、30点足りないと怒られ、80点取れば、20点足りないと怒られ……というのは典型的な子供を潰す駄目親の反応です。
相変わらず、後出しの論調で、あれは無駄だった、これは駄目だった、という非難記事が多く見受けられますが、それらに「後出しなら何とでもいえる」と冷静にコメントする方が多いのも嬉しいことです。
マスコミや野党の非難を正面で政府が受け続けて、専門家会議の皆さんの活動を守り続けた結果が、この入院患者数の減少と思うと、少し誇らしいものがあります。……自分だったら、ここまで罵倒され、貶され続けても、政策を続けられたとは思えないので。
◇
東京都は小池知事が頑張っており、情報公開も積極的に行っています。東京都の新型コロナ感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)ですが、多くの情報をわかりやすく掲載しているので、おすすめです。
・検査陽性者の状況(内訳)
・新規患者に関する報告数の推移
・モニタリング指標
・モニタリング指標1~7の推移
・陽性患者の属性(公表日、居住地、年代、性別、退院)
・陽性患者数(区市町村別)
・検査実施状況
・検査実施人数
・検査実施件数
・PCR検査陽性者の発生動向
・新型コロナコールセンター相談数
・新型コロナ受診相談窓口相談件数
・都営地下鉄の利用者数の推移
・都庁来庁者数の推移
興味深いのは、やはり地下鉄利用者数の推移あたりでしょうか。人々が移動をとても控えていることがよくわかります。
元通りに活動してしまえば、感染増加間違いなし、これは誰でも(日本国民であれば)理解している状況ですので、このまま、グラフが0%にまで戻ることはないとは思います。テレワークで済む仕事はそのまま継続されることになるので、通勤電車の混雑もある程度は緩和された状態が続いてくれるのではないかと思います。
◇
さて、連載が始まった頃(2020年04月末)と比べて、新型コロナウィルスに対して様々な対策を各国は打ち出してきましたが、それがどうなってきたのか記して今回は終わりとします。
1.スウェーデン
→感染拡大でも休校なし、休業なしで行き、多くの人が感染し免疫を獲得することで、感染拡大の抑制を目指すものですが、人口約1000万に対して、死者数が3925人とかなり多く、抗体保有率も7.3%にとどまるという結果になっています。経済活動への抑制を控えている割には集団免疫には程遠いようです。感染が広がらないのは皆が行動変容している&環境が感染しにくい(衛生的で距離を取れるとか)のかもしれません。
2.ドイツ
→外出制限措置を緩和しましたが、感染が再拡大しており、1人の感染者が何人に感染を広げるかを示す「再生産数」が「1.1」に上昇したとの報道が出ていたり、感染防止の規制に反対するデモが起きたり、協会のミサで集団感染発生というように、予断を許さない状況のようです。
3.アメリカ
→州ごとに対応がバラバラというモザイク状の対策が進んでますが、いまだに感染者数、死者数でトップを独走中です。感染者数についてはアメリカが豊かな国で検査をそれだけ行える国力があるから、という話ですが、死者が多い理由としては、経済格差の酷さがあります。白人と黒人では抗体保有率も倍も違っていたり、貧しい地域では感染率が40%を超えていたりと、光と陰の差が露呈してきています。
医療保険に入っていないと、治療を受けるだけで破産する、とも言われるようなお国柄ですから。貧しい人は治療に行かない、となればそれは蔓延が止まる筈もないでしょう。中国との対決姿勢を明確にしてきていますが、トランプ大統領でなければ、どうなっていたか、と思うと恐ろしいものがあります。
4.ブラジル
→死者数が2万1000人、しかも貧困地区を中心に感染拡大が続いており、先住民の死亡率は2倍の水準という報道もあって、厳しい状況です。しかも南半球はこれから冬の時期ですから、新型コロナウィルスが増えやすく危険です。ちなみに大統領は経済を動かせ、と言ってますが、各地の知事は都市封鎖をしていたりと、対応はカオスな感じです。貧弱な医療体制は完全に崩壊状態に陥っているそうです。隣国のチリでも感染爆発が発生しており、どうなるか予想すら困難です。
5.日本
→感染を抑え込むことができたため、緊急事態宣言を解除することになりました。EU諸国などと比べてみるとわかりますが、そもそも都市封鎖をしている国々が「ピークを越えた」と言っている状況は、日本とは桁違いでまだ死者が出ている状況であることは注目すべきでしょう。自主的な国民の行動変容がどれだけの効果を出すか……ある意味、他の国の参考にならないパターンと言えるでしょう。
6.中国
→感染者が殆どゼロといっていい状態で、全人代も開催しています。……が、都市封鎖をしている地方もあるとか言われており、実際のところ、どこまで抑え込めているのか、よくわかりません。というか黒孩子(戸籍を持たない人=一人っ子政策の闇)が人口の1%(1300万人!)いるとか言われている国で、本当に感染者をトレースすることなどできるのか? という根本的な疑問が消えません。世界各国が苦しむ中、香港の一国二制度を崩壊させる法案を通そうとしたり、南沙諸島などで動きを活発化したりと、世界中に喧嘩を売る勢いで、勢力拡大に邁進しています。札束で相手の頬を張り倒すような真似を続けており、そのまま押し切るかどうか、注目せざるをえません。
7.台湾、ニュージーランド、オーストラリア
→幸いにして新型コロナウィルスの抑制に成功しています。今後の出口戦略を学ぶ良い先行事例となってくれることでしょう。
8.シンガポール
→成功している北朝鮮とか言われるだけあり、労働者層の劣悪な環境エリアでは感染爆発が起きました。ただ、一応、感染は抑え込むことに成功し、6月からは経済も徐々に再開していくとのことです。公表されている死亡事例が22人と言うことですが……。
<おまけ>
・WHO
テドロスはまだトップの座にしがみついてますが、アメリカが「WHOは中国からの独立性が危険なほど欠けている」としてWHOの15%に当たる資金供出を停止する、と表明しました。30日間の期限内にWHOが「本質的な改善」が見られなければ、アメリカは脱退する、とも表明しており、今後どうなっていくか予断を許さない状況です。
自浄作用も期待できませんし、テドロスは「私が黒人だから非難されるんだ」などと妄言まで垂れ流し始めている始末。
台湾をオブザーバーとして参加することすら中国の反対で潰されてしまい、存在価値自体が疑われてきています。トランプ大統領でなかったなら、中国のやりたい放題状態は続いていたことでしょう。
これだけまっすぐ入院者数が減り続けるとは、ちょっと予想外でした。今後もこの傾向が続いてくれると良いですね……。