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勇者を庇って死ぬ当て馬キャラだったけど、物語の進みがおかしい  作者: エイ


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8/25

完全に邪魔者だけど?






 聖都に到着してから一週間、心構えも準備もろくにできないまま、俺たちは出立の日を迎えた。


 レオはなにやら魔王に関する伝承とか過去の大侵攻における魔物の出現傾向なんかをレクチャーされていたみたいだけど、この俺は一体この討伐においてどういう立ち位置で行けばいいのかと、国のエライ人たちが頭を悩ませていた。


 そもそもお偉いさんたちの思っていた勇者パーティーの頭数に俺なんか入っていなかったのだ。それを無理言ってついて行こうとするから、予算も含めどういう扱いにするべきか、お偉いたちは困ってしまったらしい。


いや、別に俺がごり押ししたわけでもないのになんで俺が迷惑な人みたいに扱われてるの?


 結局、パーティーの補佐役……というか荷物持ち兼食事係みたいな雑用に落ち着いたらしい。戦力外だしね、そんな役しかなかったんだろけど。




 盛大な見送りとかやめてくれとレオが言ったので、俺たち討伐チームは大司教様とか騎士団長さんとか数人だけに見送られ、ひっそりと聖都を旅だった。




 森までどれくらいかかるんだっけ……。

 雑用係として渡された地図を開いて荷馬車に揺られながらぼんやりと眺める。


馬の手綱を繰る御者はもちろん俺。雑用係だからね。

でもなぜかレオまで御者台に座っている。



「レオ様ぁ、どうかこちらに来てくださいませ。そちらではお風邪を召されます」

「レオ様、エルフの伝承についてお話がしたいのですが」

「レオ様、腕相撲しようにゃー」



「おい、後ろ行けよレオ、呼ばれてんぞ……なんでお前御者台にいるんだよ」


「だって三人いっぺんにしゃべるから対応に困るし、なんかあの子らみんな距離が近いから居心地悪い」


 女子三人はどうやら肉食系女子らしい。傍で見ている俺も引くくらい、レオにグイグイくる。なんなん?ハーレムなん?神様の脚本まじでどうなってんの。


 俺とレオがいた孤児院にいた女性と言えば、シスターだったし、孤児の女の子たちもシスターを見本に育つから、穏やかで控えめな子ばかりだった。俺たちはこういう自己主張の強烈な子に免疫がないのだ。

レオはグイグイくる三人に、初っ端から引き気味で、事あるごとに俺のところに逃げてくる。

 つか、それやられると、あの三人に睨まれるのは俺なんだけど、そこんとこ分かってる?




 だってさ、最初に宿場町で宿を取ろうとした時、あの三人『我々は勇者様と同じ部屋で』とか言い出すから、『???』てなったよね。



いやいやフツーに考えて嫁入り前の女子と同室とかアカンでしょ、て俺が言ったら、『勇者様の心身を癒して差し上げるのも、我々の大切な役目でございます』とかいうから、目玉ポーンなった。


 俺は前世知識で『あっ……そういう癒し?……』て分かったけど、エロ本のひとつもない孤児院育ち純粋培養のピュアボーイレオくんにはよく分からなかったらしい。


 フツーに、『いや、くつろげないからみんな一緒なんて無理』と一蹴して、さっさと俺と同室にしていた。あの時の女子三人の般若顔が俺は忘れられない。

 


 三人がレオにまとわりつくと、すぐに俺のところに逃げてくるもんだから、最初っから余計者だった俺がさらに邪魔な存在になったらしく、レオの見ていないところでかなり風当たりが強くなってきた。





 そんなことが移動中何度も繰り返され、イライラがマックスに到達した彼女たちに、校舎裏……もとい、途中寄った町で裏路地に連れ込まれた。


「あなた、なぜ私たちとレオ様の邪魔をするの?私たちが勇者様と親交を深めることも、大切な使命のひとつなのですよ?あなたは魔王討伐を失敗させたいのですか?」


 ひえ……美人の怒り顔ってこわ……聖女様こめかみに青筋浮いてますよ……


「いや、俺はなにも……レオはまだこの状況に戸惑って不安なんだと思いますよ。アイツは無理に距離を詰めると逃げる野生動物だと思って接してみればいんじゃないすか?それに……そもそも恋人でもない女性と同じ部屋で過ごすとか、親交の深め方が間違っているというか……」


「ボクたちは御使い様から『そういう』意味で仲を深めるよう言われているニャ。魔王を討伐した後の世界を創っていくうえで、これも重要な役目となるのニャ」


「は?声の人……じゃなかった、御使い様が、勇者を口説けとか言ったってこと?」


「身もふたもない言い方をすればそうです。そもそも勇者の翼賛者は花嫁の意味でもあります。もしレオ様がお気に召してくださるのなら、わたしたちは皆レオ様の花嫁となります」


「わぁ~……まじかぁ……リアルハーレム……」


「討伐メンバーと無関係のあなたはご存じないことだったでしょうが、そう言った事情がございますので、これからはどうぞご遠慮なさってくださいませね?」


 話はもう済んだとばかりに、女子三人は踵を返して裏路地から去っていった。

 



 おいおい、まじかよ声の人……。この世界の脚本は、勇者のハーレムエンドなわけ?うわ……引く……神様ってゲスじゃん……。


 あの子たちは、それが神様の脚本なのだとは知らないから、あんなアホみたいな指示も、尊い神の啓示だと信じて疑っていない。


 でも、もし俺がその事実を伝えたとしてもまず信じないだろうし、知ったところで俺の意見に彼女らが従うわけがない。



 あの子らも、この世界の被害者なんだよなあ……。


 いや、あの子たちだけじゃない。誰よりもこの世界の脚本に振り回されているのは、レオだ。アイツは元々ケンカとか苦手で、誰かと揉めたり傷つけたりするくらいなら自分が我慢しようって思うような優しい性格なんだ。こんな風に、剣を持たされて凶暴な魔物と戦うなんて、本当はしたくなかったはずだ。

 

 俺だけが、この世界の犠牲にされているような気でいたけれど、そうじゃないんだよな……。


 俺は、どうすべきなんだろう……。



***


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― 新着の感想 ―
そもそも啓示なんて、何処のでも神の脚本/シナリオを実行するためのものだし、知ったところでというか知ってるのでは?
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