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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-88 アルボスティア 奪還戦3

◆前回のあらすじ


ゴーシュはウルハを殴り倒し、リーナを連れ去ってしまった。

 「……こっわ」

 

 リーナが連れ去られた牢獄。

 それまでウルハとリーナ二人だけが囚われ、その内一人が連れて行かれた後の牢には横たわる一人と、もう二人が立っていた。

 

 「いや~……自分じゃないと静観してましたが、あの光景は堪えます」

 

 ウルハは横たわる自分の形をした霊体分身を顔をしかめながら見ている。

 

 「にしても、リーナは迫真の演技だったねぇ」

 

 「声を上げなかった私の方も褒めてくださいよ~」


 「だってウルハは声上げても結界で遮断してるからどうせバレないし」


 「あ~そうでしたね……」


………


 ほんの数分前


 「やっほー」

 

 「あ、アイリ様」


 再び牢獄に顔を出したアイリは、カイルがゴーシュに楯突いて姿を消した顛末を説明していた。

 

 「それでゴーシュが今ここに向かってるんだけど……」

 

 「私たち、どうなるんでしょうか?」

 

 「んー……事情を訊かれるだろうと思うんだけど」


 カイルが魔法剣を使用したことがゴーシュの中で引っかかっているのであれば、同じように使えるはずの無い飛行魔法を使えたウルハを詰めにここにやってくるのだろう。が、今ここにはよりひ弱(と思われているであろう)リーナも一緒にいる。

 

 「奴ならどうする……? リーナかな」

 

 「私、ですか?」

 

 「か弱そうだし……するとウルハは……」

 

 どうするだろう?

 相手が黒なのはもはや明白だが、どの程度下衆かまでは私には分からない。

 まぁ順当に行くなら……得体の知れない力を振るわれないよう大人数で囲んで尋問、下手すれば拷問と言ったところだろうか。

 ゴーシュ一人にそれができる力があればそうするかもしれないが、正直言ってゴーシュ程度では今の一行の各々の相手にもならないようなレベルと見ていいだろう。……私が施した加護を加味してではあるが。


 ゴーシュがどの程度まで事態を把握できているかはわからないが、安牌を採るならリーナを攫うだろう。


 「一応、分身(ダミー)用意しておこうか」


………


 「にしても、バッチシ読み通りでしたねぇ」


 「読み通りでよかったよ……」

 

 もちろんゴーシュにのされたウルハは霊体分身で、ウルハ自身は一切の身体的ダメージは負ってはいない。……精神的には堪えるものがあったと思うが。


 「とりあえず、こういうことだからもうここに留まる理由もないでしょ」

 

 「そうですねぇ…… はぁ ショックだなぁ」


 「次に会ったときは一発ブチかましてやりなよ」

 

 「そうします……」

 

 ウルハはショックこそ受けているが、やはり地力が強くなったのが影響してか彼女自身の心の芯も強くなっている。彼女が思う正義と平和のために力を振るう勇気が今の彼女にはある。


 力なく寝そべるウルハの分身を残し、私たちは牢獄を後にした。


………


 「今ゴーシュがリーナを連れ去って、ウルハはアイリと共に牢を脱出したようです ……ゴーシュはウルハを殴り倒したようですね」

 

 「はぁ!?」

 

 「()()()、ですが 本人は無傷で脱出したようですよ」

 

 「……」


 「言ったでしょう 大丈夫だと リーナの行く先も追跡しています 加護も生きているので、万が一にも傷付けられることはありません」


 ベルは淡々と告げる。


 「向こうも動き出したようなので、こちらも動きます ……あなたはそこでしばらく這い蹲っていてください」


 「はぁ!?」


 仲間が危険の真っ只中にいるのに、こんなところで這い蹲って事が済むのを待っていろという。


 「待て! 俺も……! 俺も行く!」

 

 「あなたは来なくていいですよ 邪魔なので」

 

 ベルはそれでも尚淡々と告げ、エドを伴って発とうとする。


 「お前はこの街とは無関係だろ! 何ででしゃばってきてこんな真似しやがるんだよ!」


 言うなり、ベルは再びカイルの元へとやってきて


 ザンッ


 剣を這い蹲るカイルの目前に突き立てた。


 「あなたのような感情に飲まれたガキが戦場では一番邪魔です 役に立たない、統率を乱し 結果仲間を不要に失う羽目になりかねない」


 ベルは跪くと、カイルより少し高い目線から凍りつくような冷たく、それでいて燃え盛る炎のような怒気を孕んだ目でカイルを射抜く。


 「あなたが小さな世界で必死にもがいていようが知りません 私たちは世界を救うために戦っているんです あなたの短絡的な情緒がその邪魔をするなら、今ここでもう一度首を刎ねてもいいんですよ」


 言ったベルの迫力は、冗談ではなく彼女は本気でやるという強固な意志を二人に焼き付けた。

 

 「カイル……気持ちは分かるが少し頭を冷やした方がいい」

 

 そして、なおも心の炎を燻らせるカイルをエドもベルの側から諫めた。


 「結界は張っておいてあげますから、安心して待っていてください」

 

 そう告げるだけ告げるとベルはカイルの周りに人一人分ほどの結界を展開し、エドと共に今度こそ前線へと出て行った。


 「…………クソォ!!!」

 

 結界で遮断された空間の中でカイルの叫びは虚しく響いた。

引越しであたふたするため、次回更新は早くて18日になります。


◆第一章クライマックス間近です。

予定より少々押しましたがおおよそ当初の計画通り本編100程度で第一章〆ると思います。

ここからはバサバサ無双ターンです。楽しみにお待ち下さい。

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