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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-83 アルボスティア 投獄1

◆前回のあらすじ


ウルハは部屋に戻ったリーナと夜のアルボスティアの空を散歩(?)することにしたが

 「ウルハとリーナが牢獄に!?」


 カイルは突如エドと共同の自室にどこからか現れたベルの報告に、起き抜けで寝惚けていた頭が一瞬で覚醒した。

 と、同時に驚愕の余り大声を出してしまったことを後悔する。


 「大丈夫ですよ 今この階には私たち以外はいません 結界を張っているので会話を聞かれてもいません」

 

 「……どういうことか説明して欲しい」

 

 傍で話を聞いていたエドもベルに詰め寄る。

 

 「どういうことも何も言った通りですよ 今朝ほど二人とも教官らしき男に連れられて牢獄に 二人とも無事です」


 何でお前がそれを知っている……などと今更訊くのも億劫だ。この人がそう言うならそうなのだろう。

 だがウルハとリーナが牢獄に入れられる謂われは何だ?


 「昨晩二人は寮を抜け出して浮遊魔法で空を飛んでいました ウルハが言うには恐らく何者かがそれを目撃していて、テロ実行犯の疑いをかけられているようだと」

 

 テロ?ウルハとリーナが?何でそういうことになるんだ。


 「嫌疑の詳しい内容は聞いていませんが、もしかするとこの街の至るところに仕込まれていた攪乱(ディスターブ)をアイリが消してしまった犯人と疑われているのかもしれませんね」


 「お前たちのせいじゃないか!!」

 

 カイルの怒号にベルは黙る。

 いや、今そんなことを言いたいんじゃない。アイリさんたちも悪意で精神攪乱魔法を消し去ったわけではないと分かっている。だが高ぶった感情をぶつけずにはいられなかった。


 「まぁ、あなたの怒りは理解しますよ ですがあなたが怒ろうが怒るまいが事態に影響はしませんよ アイリの加護が彼女たちを守りますから」

 

 「……」

 

 それはその通りかもしれない。が、そう言うのを手放しで信用していいのか……


 「エド、教官のところに行くぞ」

 

 「……あぁ」

 

 エドはベルの方を気に留めてはいれど、牢獄に送られた二人の方が気がかりなのかベルを置いてそのまま出て行ってしまった。

 

 「……全く、世話の焼ける」

 

 ベルは牢獄の二人も、カイルもエドも何ら心配はしていない。今彼らにはアイリの施した加護による絶対的な守りが働いている。命に危険が及ぶことは万に一つもあり得ないからだ。

 しかしそうと知った上でベルは二人を餌にしていることに若干の後ろめたさもある。とはいえこちらにもこちらの目的がある。この小さな街に収まらず、今後世界規模で対峙することになるかもしれない相手の情報を少しでも引き出しておきたい。

 

 「これだから子どもは嫌いなんですよ」

 

 ため息を吐きながら、ベルは認知妨害結界を自分に施して二人の後を追った。


………


 一時間ほど前


 目覚めて間もないウルハとリーナの部屋に一人の教官がやってきた。

 

 「二人に聞きたいことがある 付いて来い」

 

 有無を言わさぬ語気に二人は反抗しようもなく着いて行く。

 

 連れて行かれたのは、養成所では説教部屋として有名な離れの一室だった。

 昨日の夜寮を抜け出したことを叱られるのかな……などという悠長な考えは、そこに教官一同が集う光景を見て一瞬で吹き飛んだ。

 森で大量の魔物と相対したときを思い出す、邪悪で濃密な敵意が私たちを囲んでいる。

 

 「昨日の夜、空を飛んでいたのはお前たちだな?」

 

 養成所の筆頭教官であるゴーシュが二人に問いかける。

 否、その強面で大柄な体躯から響く重く威圧的な声色はもはや問いという段階になく、二人を空を飛んでいた犯人と決め付け断罪しようという怒気を孕んでいるようにも思えた。

 

 やはり見られていた。ベルの忠告を受けて初めてウルハは自身の行いの迂闊さを自覚したが、そのときには既に手遅れだったのだ。

 

 「……すみません、寮を抜け出して」


 「そんなことはどうでもいい 問題なのは、()()()()()()()()()()使()()()()()ということだ」

次回分は明日更新予定です。

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