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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-80 アルボスティア 招集命令

◆前回のあらすじ


アイリたちは溝鼠の依頼に疑問を抱き、受付嬢に訊ねることに

 自由組合で溝鼠の依頼について訊ねた私たちは、思いがけず名前の上がった“アルボスティア役場”とやらに早速足を運ぶことにした。

 

 「またここも、豪勢な作りですね 役場ってやつは……」

 

 周辺の住宅とは明らかに質の違う豪勢な作りに、ベルは「これだから役人というやつは嫌いだ」とでも言いたげな顔をする。

 

 「覗きますか?」

 

 「……いや、(バグ)にしておこう」


 先ほどの術喰蟲が精神攪乱魔法の術式の保定に用いられていた魔力をそのまま食い尽くして得た魔力が豊潤にある。地産池消ではないが、この地で得た魔力だからこの街で使っていくとしよう。


 「“隠式・潜蟲(ハイド・ワーム)”」


 今度は術喰蟲とは違った芋虫状の蟲を放ち、そのまま役場の木柱に巣食わせる。偵察子機としてしばらくそのまま役場に忍ばせておこう。


 「本当便利ですね、蟲」


 ベルは変幻自在に活躍する蟲の召喚魔法を羨ましげに見ている。

 

 「ベルも覚えればいいじゃん 便利だよ、蟲」


 「私、虫は苦手なので」

 

 鬼のように強い彼女だが、昔から虫が苦手なところだけは変わらず年頃の乙女相応に可愛らしい。

 

 さて、役場は様子見として、この後どうしようか。

 あまり悠長に構えるべき状況ではないように思えるが、奮って敵を叩きに行けば大元が早々に尻尾を切って逃げてしまうかもしれない。

 裏で手を引く者がいるなら、その何者かに繋がる手がかりを掴んだ上で掃除にとりかかりたい。この街程度の規模と潜む魔族の質から考えれば事が起こった端であれば市民の犠牲を出さずに対処に当たれる自信はある。

 不本意ではあるが、泳がせて相手の手の内を見るておくことにしよう。


………


 「あ、お二方、良かった! ゴーシュさん! 帰ってこられましたよ」

 

 特にすることもないので、適当な依頼を(霊体でも遣わせて)こなして暇を潰そうと自由組合まで引き上げてきたところ、先ほどの受付嬢が待ちわびていた様子で駆け寄ってきた。

 

 「お前たちが新参のCランク二人組か」


 そして受付嬢に連れられてやってきた背に大剣を差した剣闘士風の男は私たち二人を値踏みするように眺める。


 「実戦試験では猛威を奮ったと聞いたからどんな屈強な戦士かと思えば、何のオーラもないな」

 

 それは当然、私もベルも意図して隠しているんだから。


 「……だが、そんな見てくれで実際に強いというのだからお前たち二人は間違いなく猛者なのだろう」


 と、それでも聞き及んだ情報だけで納得してくれた様子だ。


 「お前たち二人に依頼だ “招集命令”なので基本的に拒否権はない」

 

 だが男が持ち寄った話は何やら面倒ごとのようだ。ベルは「拒否権はない」との言にムッとしたようだが、一旦は男の話を聞き入っている。


 「おっと、名乗るのが遅れた 俺の名はゴーシュ 元アルボスティア冒険者自由組合(ギルド)支部長で、今は養成所(アカデミー)の筆頭教官をやっている」


 「へぇ、貴方が」


 名ばかりの養成所の筆頭教官さん。この人自身はそれなりに腕は立ちそうだけど、だとすれば教鞭を執る素質がないのだろう。


 「アルボスティア役場から隣国へ特使を送る 二人にはその護衛の一員として同行してもらいたい」


 「護衛?」


 と、ゴーシュの説明にベルが口を挟む。

 

 「それは私たちのような新参者が同行すべきものなのでしょうか?」

 

 ベルは新参者と言ったが、先の試験以外に実力を裏付ける評判がないことだけでなく、流れ者の私たちが()()にふさわしいのかということも暗に問うている。が、


 「今回は特例だ 今街中でも少々問題が起きていてな、人手が足りんのだ」

 

 言いながらこちらを見据える眼は、何者か得体の知れない私たちへの疑念も孕んでいるようだった。

次回分は明日更新予定です。

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