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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-72 アルボスティア

◆前回のあらすじ


無事アルボスティアに潜入成功

 アルボスティアの街並みは長閑(のどか)の一言に尽きる、一見平和で穏やかそうなものだった。

 

 「ここが皆が住んでるところかぁ……」

 

 木工が盛んな街であると道中聞いていた通り、あらゆる建築物は木材によって精巧に組まれた美しい造りをしている。

 そんな木々でできた家の立ち並ぶここは、まるで森の中にいるように豊かな木の香りを漂わせている。

 

 地上では、の話だが。

 

 「何か……変な気配が……」

 

 ずっとこの街で暮らしてきた一行だからこそ、その()()()()()()()()()()()()街の違和感をより強く感じているようだ。

 

 問題は地下だ。

 

 「……蠢いてるな」

 

 エドは端的に指摘した。

 

 地表より下、普段ここの住民たちが覗きようもないであろうそこはこの街の下水施設が巡っているようだが、その広大な地下空間にはここに居てはならない者の気配が蠢いていた。


 「あんまり()()()()()()ようにね 気取られると地上に出てくるかもしれない 当面は地上に出てこないだろうから、私たちがいる間は皆は地上だけ見ていればいいよ」

 

 一行は忠告に従い、魔力感知を絞っていった。

 

 ティラノの森で散々魔物を屠ってきた一行だが、その地下を悠然と蠢く濃厚な邪悪の気配には顔を青ざめさせている。


 「私たち、これに気付かずに暮らしていたんでしょうか……?」


 「まぁそうなんだろうねぇ……」

 

 嫌な予感の一つが的中した形になる。

 目覚めてからこちら既に二箇所、理性も知性も持たない魔物がいずこかの拠点に大勢潜んでいた。目覚めた森にしてもティラノの森にしても、アルボスティアの市民は近づくなと教わってきたそこには、近くに命が大勢ありながらそれに引き寄せられることもなく魔物が留まっている。恐らくこの地下の下水施設についても……

 誰かが意図的に魔物を駐屯させているということだろう。だがアルボスティアの地下の方はこれまでのそれとはワケが違う。

 

 「……魔族が居ますね」

 

 理性も知性も持たない風船のような魔物と違い、肉体を持ち知能に従い動くより強力かつ危険な個体。それも数体なんて生易しい規模ではない。それがただ地下に留まっているということは、誰かしらがそれを統べているに違いない。


 そしてそれを裏付け得る要素がもう一つある。


 アルボスティアの柵内――つまり国土を丸々覆う大きな一つと、その節々に付帯的に仕込まれている待機型魔法陣。小さく点在しているものは召喚魔法(サモン)の類だろう。一行や衛兵に見るアルボスティアの魔導師の練度からは想像も付かない高度な組まれ方をしている。これだけの規模であればアルボスティアに存在する魔導師単体では全て発動させることはできないだろうが、もし発動する時が来るとすればそれは恐らく()()()()()()()()()()()()()()だ。

 一行は地下を蠢く邪悪な気配に萎縮してしまっているが、ベルの方も巧妙に画された国土に点在する魔法陣に気付いているようだ。

 

 「探ってみましょうか」

 

 目配せすると、ベルはそれ以上説明するまでもなくその場を一瞬で発った。

 

 「あれ!? ベル様が消えた!」

 

 と、気を揉んでいた一行は一瞬でベルを見失ってしまった。

 

 「まぁベルは一人でも何とかするだろうから、こっちはこっちで動こうか ……の前に、ちょっと皆こっちに寄って」

 

 神妙な顔をする一行をすぐ近くまで寄せ、それぞれの体内に私の魔力を流し込んだ。

 

 「“魔石(スタチュス・)生成(ソーサライズ)” “魔法付与(スペル・エンチャント)”」

 

 流し込んだ魔力で一行それぞれの体内に私の魔力を凝縮した魔石を生成し、それに彼らの身を守るための何重もの付与を施していく。

 

 魔力障壁、魔素清浄循環、魔素修復循環……そしてそれらに重ねた隠匿。

 

 もし私やベルの目の届かない範囲で一行に何かあっても、これで当面は生き延びることができるだろう。それに仮に何かあれば離れていようと魔石の魔力を通じて私が感知できる。

 

 「もし離れることがあっても、念じれば通じるから 助けが必要な時は私を呼んでね」


 一行はそれぞれしっかりと私の目を見て頷いた。

次回分は明日更新予定です。

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