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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-71 アルボスティアへ

◆前回のあらすじ


沼竜に導かれ、さっさと森を抜けることに成功。ついでにマーキングもつけてもらい…

 「さ、森も抜けられたことだし、ちゃっちゃとアルボスティアへ向かおうか」

 

 「ちょちょちょ……待ってくださいアイリ様」

 

 意気揚々と歩き出した私をウルハは止める。

 

 「その……何ていうか、私的にはとてもありがたいんですけど、良かったんですか? こんなにアッサリ森を抜けちゃって」

 

 「もう半日くらいはかかると思ってたな」

 

 一行も森抜けを覚悟の上で意気込んでいただけに拍子抜けしたのだろう。まぁ欲を言えば森もじっくり散策して実地の経験を積めれば良かったが、思いがけず沼竜(バジリスク)の印をもらえたのと、アルボスティアまで急ぎたい理由が私の方にはできていた。

 

 「まぁ、その半日で学ぶ以上のモノももらえたし、今回はいいんじゃない?」

 

 「いいのかなぁ……」

 

 とはいえアッサリ行き過ぎたように思えてか腑に落ちない様子だ。


 「その地その地の主に渡りをつけて事を有利に運ぶのも安全に旅を進める上では大事なことです 今回はそれの見本ということで納得してください」

 

 ベルはそう言いながらも、こちらをキッと見据える。「にしてもやりすぎに思いますけどね」とでも言いたげだ。しょうがないじゃない、サウリオスも困ってたんだから。

 

 だがアルボスティアまで急ぎたいのは本当だ。この森の現状を知ってしまった上で、やはり付近の人族の国の現状も気になる。

 

 「ほら、行くよ! 善は急げ! ね!」

 

 そうしてやはり腑に落ちていない一行を引き連れ、アルボスティアへと向かうのだった。


………

 

 アルボスティア――アストラ古語では“樹木の里”という名を冠したその小国は、樹木とは名ばかりではなく十数メートルは下らない木造の柵に覆われた立派な人里のようだった。

 余所者の侵入を拒むような作りの柵にいくつかある、人族くらいであれば余裕を持って通れそうな申し訳程度入り口の一つに今一行と共に並んでいる。

 

 「入るときには何か通行証のようなものが要るの?」

 

 「アルボスティアの住民は住民証を、商人であれば通商登録証、冒険者であれば冒険者証とか……」

 

 まぁ当然ながら、どれ一つ持ち合わせていない。

 

 だが大層な柵を構えている割に本当に柵だけで、常時展開型の結界や障壁魔法は施されていない。

 魔力感知で探ると街中にはそれらしき術式が敷かれているには敷かれているが、起動はしていないようだ。何のための障壁なのか……

 まぁそれなら、普通に通ればいい。

 

 私とベルはそれぞれの装束に魔力を通し、そのまま一行に連れ添って入り口に立つ衛兵の前へと立った。

 

 「養成所(アカデミー)の四人だな よく無事で帰ってきた しっかりと休むといい」

 

 衛兵は朗らかにそう告げると一行を、そして連れ添う私とベルにはノータッチでそのまま通してしまった。

 

 「どういうことなんですか~?」

 

 ウルハは興味津々のようだ。

 

 「普通に姿を消してただけだよ」

 

 それぞれ装束に付与した隠匿の術式を展開して、ただ衛兵に認識されない体を取っただけだ。

 

 「簡単そうに言いますよねぇ……」

 

 まぁそれは簡単だからだ。本来衛兵たる者この程度の()()()()()()は何らかの魔力感知で以って見破らなければならない。一行が()()()()()()()()()()()ように。

 だが現実にそれができず、そんな程度の衛兵がこの大仰な柵の門番を任されている。


 アルボスティア……いろいろ骨が折れそうだ……


 そんな苦難を予感しながら、私たちはアルボスティアに足を踏み入れた。

次回分は明日更新予定です。

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