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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-70 ティラノの森 沼竜4

◆前回のあらすじ


無事沼竜の不浄のみを祓い、一行を連れ立って沼竜に合間見えることに

 「ありがとう、サウリオス」

 

 一行は自身の魔力に馴染んでいく沼竜(バジリスク)――ティラノの森の主 サウリオスの魔力を感じ、そしてそれが敵対する者との対峙でないことを理解してか顔を輝かせた。

 

 「これは……もしかして加護を授かったんでしょうか……?」

 

 リーナはわなわなと肩を震わせながら訊ねる。

 

 「残念だけど、これは加護と呼べるほどのものじゃないよ 加護はその主に個々の力を認められないと享けられないからね」

 

 一行に与えられたのは一種のマーキングのようなものだ。その恩恵は加護には遠く及ばないものの、その主は一つの森を統べる竜のものである、本来であれば一行の手には余りすぎるほどの代物だ。

 

 『恩は巡る 私がアイリ・トライソルに享けた恩、そして貴方たちがこの森の不浄を祓ってくれた恩の返礼として私が貴方たちに授けるものだ 貴方たちは次はそれを人のために使えば良い』


 沼竜の真髄は“迷”……派手な能力ではないが、戦闘のみならず要所要所で役に立つなかなか癖のある特性だ。その一片は必ず一行の危機に生きるだろう。

 

 『この森から見守っている その力が正しく使われることを祈りながら』

 

 サウリオスがそう告げると、固有結界空間が歪み、収束しながら消滅して行った。

 

………


 「あれ?」

 

 次の瞬間、私たちは元々立っていた場所とは全く違う、どこか森の出口に立っていた。


 「アルボスティアに一番近い出口ってお願いしてたんだけど、ここで会ってるかな?」

 

 問うと一行はハッとしたように辺りを見渡す。

 

 「そうだな」

 

 問いにはエドが答える。

 

 「導いてくれたでしょ?」

 

 聞くと一行はそれまでの緊張が解けてか大げさに肩を撫で下ろしため息をつく。

 

 「もう……何が何だか……」

 

 ウルハは出鼻をくじかれたようにぐったりと疲れた様子だ。


 「初めて見た……あれが竜か……」

 

 カイルは畏怖を感じていながら同時に感激もしているのか、気持ち目を輝かせている。

 

 「あんなのがこの森にはいるんだな」

 

 エドもそれに同調しながらしみじみと言う。

 

 「まぁ沼竜は普通の人は会うことはできないからね 迷わせて追い返すのが本分だから」

 

 強くあるというのは屠る力を持つというだけに限らない。彼の竜はそうしてこの森の秩序を守ろうとしているのだ。


 「竜が棲む、とは聞いていましたけど、その姿を見たという話は聞かないので、正直半信半疑ではありました」

 

 リーナはそう言った。

 現状のアルボスティア国民がどの程度の水準の魔道師等を有するのか定かではないが、正直高が知れているだろう。恐らく今現在のカイルたち一行の方が一個体としては間違いなく強くなっている。そんなカイルたちでも沼竜を感知するのが精一杯で、能動的に出会うということはまず不可能だろう。竜との力量差とは本来そういうものだ。

 

 「皆はこれからはサウリオスに導いてもらえるから良かったね」

 

 「コレは何なんですか?」

 

 ウルハは自身の胸に手を当てて沼竜の魔力を探っているようだ。


 「それは沼竜の魔力そのものですよ 沼竜の職能の片鱗があなたたちを守り、またこの森では通行証のようなものになります」

 

 一行の疑問には代わりにベルが端的に答えた。

 

 「とんでもないものを頂いてしまった気が……」

 

 リーナは身に余るそれを重く感じているようだが


 「それくらいの気持ちで抱えておく方が、使い方を誤らないで済むんじゃない?」

 

 力を手にして変わる者は多い。自分自身で自身の持つ力を恐れているくらいの心持ちであれば、無茶苦茶に力を振るうこともないだろう。一行のことなので端から不安ではないが、今後もそのように謙虚でいてもらいたいものだ。

明日は『設定資料』の新ページを追加

次回分は明後日更新予定です。

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