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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-69 ティラノの森 沼竜3

◆前回のあらすじ


沼竜を侵す魔物の不浄を祓うことに

 “不浄祓い(エクソシス・)し大聖鎌(ギガ・サイズ)


 魔力で武器を強化、あるいは武器そのものを生成する魔法は無数にあるが、これはその中でも上位に当たる特殊魔法系統の一種だ。

 その形状や形質は問わない。実はウルハの指導の際に使用した“雷光蛇(スネーク・ボルト)”もその一つだ。共通するのは魔力特性を添加し魔法効能を()()()()()()使()()()()()()()()()特性で、その増幅機構を様式によって生成する魔法を一括りに“媒介召喚(アンプリファー)”と呼ぶ。

 顕現した大きさを遥かに上回る威力を発揮するこの鎌は、まともに振るえば強固な鱗鎧を持つ竜の身体を丸ごと塵にし得るものだ。

 

 沼竜(バジリスク)に振るった聖鎌(せいけん)は一刀両断するその瞬間凝縮した光の魔力を爆散させ、沼竜の固有結界空間に一筋の眩い光を瞬かせた。


 私の言葉を信じてか信じずか、沼竜は安らかな顔でその一閃を受け入れた。

 強大な光の一閃は沼竜の身体を丸ごと飲み込み、消し炭さえ残さないほどの熱量で不浄を消滅させていった。

 

 だが

 

 「はい、終わり」

 

 『……』

 

 沼竜はその身体を塵に散らし死に至ることもなく、そのままその場に佇んでいる。

 先ほどと違っているのは沼竜の身体を侵していた黴のような邪悪な魔力の染みだけが跡形も無く消え去っているということだけだ。

 

 『これは…………どういうことだ』

 

 邪悪な魔力を自分ごと消滅させられたと思ったのか、その不浄だけが消え綺麗に残った自分の身体を見回して沼竜は目をぱちくりと瞬かせる。


 「“武纏(ブテン)”……と言ったら分かるかな?」

 

 聖鎌を振るう直前、私はそれを自身の()()()()で覆った。

 魔力操作の究極の一つ、纏殻系統最上位の戦闘技術“武纏”。それは戦闘において重視されがちな威力の増強だけが持ち味ではなく、このように特定の対象に攻撃を()()()()()といった使い方もできる。一〇〇〇年前の大戦で編み出したユニークスキルの一つだ。

 

 『ふふ ……ふはは これは驚いた いや、何分森に引きこもって過ごしているもので、永く生きてはいるがこのような芸当は見たことがない』

 

 不浄が祓われた沼竜は心なしか先ほどより調子の良さそうな声色だ。

 

 『そして貴方自身も ……見くびっていたようだ ありがとう、アイリ・トライソル』


 「どういたしまして」

 

 『……して、貴方の望みは何だ』

 

 沼竜は改めてこちらを向き直る。

 

 「実はね……」

 

………


 「“沼渡り(スワンプ・ウォーク)”」

 

 これから森を抜けようと意気込んだ一行の足元が沼のように変質し、その身体を飲み込んでいく。

 

 「はぁ!?」

 

 「なん 何ですかこれぇ!?」

 

 一行はじっくり混乱する間も無く、沼竜の固有結界空間に導かれると

 

 「この子たちなんだけど」

 

 そこにぼんやりと姿を現した巨大な竜に、身体を硬直させた。


 「……」

 

 茶黒く縦縞の入った灰色の体躯、地味な体色ではあるが竜と呼ぶにふさわしい高貴で高潔な佇まいをした巨大な竜を前に、一行は言葉を発することすらままならないようだ。

 

 まぁ生物として圧倒的に格上の竜を前にして、立ち竦む他ないだろう。

 一行も竜と合間見えるのに心の準備くらいはしたかったかもしれないが、しようがしまいがここに来てすることは決まっている。ならば善は急げだ。


 『……承知した』

 

 沼竜は一行それぞれの顔を見渡すと、四人の身体に障らない量の自身の魔力を焼き付けた。

 

 「ありがとう、この子たちのこと宜しくね」

 

 沼竜はこちらを一瞥すると、再び一行を向き直る。

 

 『人族の子どもたちよ その命、アイリ・トライソルの命の下、このサウリオスが見届けよう』

次回分は明日更新予定です。

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