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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-67 ティラノの森 沼竜1

◆前回のあらすじ


一行は無事野営拠点の造り方を学んだので一休みすることに

 「さぁ、じゃあ出発しようか」

 

 明くる朝、一行は自らが設えた野営小屋でしっかりと眠り、万全に近い状態で朝を迎えた。

 夕方以降は木陰が闇に拍車をかけていたが、陽が昇ればそれが嘘のように見通しがいい。気持ちよい木漏れ日で目覚め、保存した肉と周辺にあった山菜や茸で滋養満点の食事を摂り、アルボスティアに向けて出発することにした。

 

 「ここからどの方角に進めばいいんでしょう?」

 

 リーナは首を傾げる。

 

 森の中へは進んできた道とは全く関係ない途中地点にベルの転移魔法で侵入したので、一行は今現在の位置とアルボスティアへ向かう方角も分からないだろう。

 もっとも、道なりに森に入ってきたとして、一行が方角を見失わずに森を進めたかは疑問だが。

 

 「今回はあんまり気にしなくても導いてくれると思うよ」

 

 「導いてくれる?」

 

………


 事の起こりは一行が寝静まった深夜

 

 「ベル、まぁ大丈夫だと思うけど、一応皆のこと見ておいてもらえる?」

 

 「はい 気をつけて」

 

 「ありがとう、行ってきます」


 私はこの森で一等濃密で強大な魔力を持つ個体“竜”の元へと足を運ぶことにした。

 

 場所は魔力感知で捕捉している。後は空から直線距離で飛べばいい、と思っていたが


 トプン


 「おっと」

 

 これから向かおうと歩み出したところで、向こうもその気だったのかこちらまで()()()()()()()()

 

 それまで何ら変哲のなかった森の地面はまるで沼のように変質し、沈み込む私の身体を飲み込んだ。

 

 飲み込まれたそこはまさしく沼を思わせる茶色く濁った空間。だが水の中にいるような感覚ではない。これは“竜”がその魔力で作り出す固有の結界空間で、先ほどの沼のような感触はここに私を引きずり込む召喚魔法のようなものだ。

 

 「“沼竜(バジリスク)”だね?」


 私はこの空間の主に語りかける。


 「私はアイリ・トライソル ディアンに導かれてここに来た」

 

 ふと、それまでは単純な魔力の奔流であった空間に、体中に苔を生やし、同頭長ほどもある長く立派な尾を持つ巨大なトカゲを思わす躯体が現れる。

 

 『強き者よ 我が森の不浄をよくぞ祓ってくれた』

 

 沼竜(バジリスク)は魔物の掃討を喜んでくれているようだ。

 道理でディアンがわざわざ私たちを遣わせて掃除させるわけだ。この竜も強力な個体であることに違いないが、沼竜(バジリスク)では確かにアレらを屠るには相性も効率も悪い。

 

 「私たちも勉強になった いい機会を与えてくれてありがとう ……ところで」

 

 私は背に向いた空間に三つの汎用魔法様式(スロット)を展開させた。

 

 「私たちはこの森を抜けてアルボスティアという人里に向かいたい 通してもらえるかな?」

 

 “竜”は人族など下位の種族にとってはまさしく天上の存在だ。私たちはその竜の治める土地を横断しようとしているが、虫が脇を横切る程度のことを本来竜は歯牙にかける由もない。

 だが相手は沼竜(バジリスク)だ。沼竜(バジリスク)は付帯的に『迷』を司る森の守り手である。森に彷徨える者を迷わせ追い出すことで森の生態系を守るのが本分と言える。

 今回はディアンが直々にその竜を指して“稽古”などと言った。一行に向けて言っていたが、深読みすれば私に向けたものでもあるだろう。

 竜に頼み言を申すときにすることは何れの竜を相手取るときも決まっている。ただ単純に“力を示す”ことだ。

 この沼竜(バジリスク)に私の力を示し、アルボスティアへの道を抜けさせてもらうとしよう。

 

 が、

 

 『良い 貴方の力は既に垣間見た』

 

 相手はそれを不要と言った。

 

 『望むならば人里へ導こう だがその前に一つ頼みがある 聞いてはくれないか』

次回分は週明け月曜0時頃更新予定です。

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